「お…久し振りだな。その格好。」





夕方になり…予定通りに2人がを迎えに来る。




2年振りにが赤を着ている姿を見た2人。



懐かしいようで…何だか新鮮なその姿…。




イザークは思わず言葉を失う。



その代わりにディアッカが茶化すように言葉を添えた。












「えっと…これからの予定は…?」







何も聞かされておらず…結局は指示があるまでイザーク達の言われるがままに行動を取らなければならない。





「あぁ…今日の予定はこれにて終了。…って事で、これから俺らと晩飯。」




「…はい。」




が乗り込むと、車はゆっくりと走り出す。










「イザーク…何か無口になった?」







ここへ来てから、ディアッカとばかり会話をしている事が気になったはイザークに声を掛ける。





「気のせいだ…。」



「ならいいけど…。」




元々口数は少ない人だけど…ディアッカと一緒に居る時は結構喋ってたりしたのになぁ…。




2年の間に…少し変わったのかな?









「あ〜。気にすんなって。に会うのが久し振りで戸惑ってんだろ?」




「ディアッカ!!」





イザークの怒鳴り声を聞くのも久し振りだった。




だから、は思わず声を出してクスクスと笑い出す。





「…やっぱりその方がイザークらしくていいね…。」






















戦場の歌姫 〜Destiny〜








  ACT.2 新たなる旅立ち


























「じゃあ…オーブはこれからどうなるんだ?」




「…分からない。カガリが不在の今、実権を握ってるのはセイラン家だから…。」




「セイラン家…ねぇ。実際どうなんだよ?」




「…正直…危険だと思う。大西洋連邦からの同盟の要請が来てて…」




彼らはその同盟を受け入れるべきだと主張して…



それをカガリが懸命に阻止しようと反対して…





だから、カガリが不在となった今は絶好の機会…。





「そうなるとやっぱ…厄介なのは連合って事か…。」




「どうあっても潰したいらしいな…プラントを…。」







プラントを潰す…か…。








確かに開戦のきっかけはこちら側にあるのかもしれない。



でも…



あの映像はどこから手に入れたもの…?




誰が…何を狙ってあんな…






考えても考えても…この戦いの目的が理解出来ない。





どうして戦いたいの?









コーディネイターが憎い…?




だから…滅ぼそうとする…?






確かに…前の戦いではザラ議長はナチュラルを滅ぼして戦争を終わらせようとした。



でも…デュランダル議長は違う…。




そんな事は思ってない。



それどころか、ナチュラルとの共存を目指して…頑張っていらっしゃる方なのに…。



















「…?」




「え…あ、ごめん。」




考え込んで黙ってしまうのは私の悪い癖。




アスランはそんな私を見ていつも苦笑してたっけ…。






「その話は置いといて…明日の事だが…。」




「あ…はい。」





「明日も評議会だ。10時に来るようにと議長から言われている。」




「また議長の所…?」









明日はてっきり…軍の基地にでも行くんだと思ってた。






「俺達もそれしか聞かされてないからな…何とも言えないけどさ…。」




「そっか…。」





















「おはようございます。議長。」





「また呼び立てたりして悪かったね。」





「いえ…」





命令である以上は、このプラントの頂点に立つ人に従うのは軍人の務め。




議長の考えを信じているからこそ、共感できるからこそ…ここへと戻る事を決めた。




アスランもきっと同じ…。














「これから君に就いて貰う任務について説明しようと思ってね…。」



「議長が…ですか?」




「私では不満かな?」




「い、いえ!とんでもありません!!」











まさか議長から仕事の説明を受けるなんて予想もしていなかったから…



単純に驚きが書隠せず、そう返してしまった。







「私は間もなく地球に降りる予定でね…」




「地球へ…?」




この情勢下で議長自ら地球へ降りるなんて…大丈夫なのかな?






「その際にラクス・クラインを同行する事になっているんだよ。」





ラクス・クライン…




「そう嫌な顔をしないでくれたまえ…気持ちは分かるがね…。」




「あ…申し訳ありません…。」





顔に出していたつもりは無いんだけど…出てたんだ…




別に…嫌って訳じゃない。



でも…ラクスの身代わりを務めている彼女は…一体どういうつもりで歌っているんだろう…








「君に我々の護衛も兼ねて共に降下してもらいたいんだが…」




「私が…護衛…ですか?」




「その際にミネルバへも赴こうと思っていてね…ミネルバに合流するまでの間、頼めないかな?」






私が…議長とラクスの護衛…?



戸惑って返事を決め兼ねているを見て、議長は言葉を付け足した。








「心配には及ばんよ。何も君1人に頼もうと言う訳では無い。」




「え…?」







「…彼を呼んでくれないか?」




議長は通信回線を開くと、一言だけ相手に告げる。









コンコン…







すぐに、扉を叩く音が聞こえた。







「入りたまえ。」




「失礼します!」






扉を開けて入って来たのは一人の青年…





同じ赤服に…襟元にフェイスのバッヂ…




何者…?











「紹介するよ…彼はハイネ・ヴェステンフルス。今回君と共にミネルバに配属になる。」





「ハイネ・ヴェステンフルスだ。宜しくな!」





気さくそうな彼は笑顔で手を差し出す。




「…です。宜しくお願いします。」





良かった…良い人っぽい。



どこかで聞いた事のあるような…懐かしい声…



でも思い出せない…




















「お前、アレだろ?元クルーゼ隊。」




「あ…はい…。」




議長室を出て、ハイネに話そうと誘われてカフェへとやって来た。




「俺は元ホーキンス隊なんだ。ヤキン戦も前線に居たんだぜ?」




「へぇ…そうだったんですか…。」






ならば、彼が特務隊の証を持っていてもおかしい話じゃない。




話しやすそうな人だし…部下からも慕われてそう。






「そのさ…敬語、やめようぜ?」



「え…でも…年上ですし…軍歴だって…」




「俺、そういうの嫌いなんだよな〜。関係無いだろ?前線に出たらさ、軍歴も立場も。」




「ハイネ先輩…」



「呼び捨てで良いって!先輩とか言われるのも苦手なんだ。」





「…じゃあ…ハイネ…。」








陽気な彼のペースに乗せられるまま…気が付けば従って敬語を止めていた。




「そうそう。それ行こうぜ、な?」




あまりの面白さに笑みが零れる。





色々と不安はあるけれど…1人じゃないから何とかやっていけそうな気がする。









「じゃあ、改めて宜しく…な?」



「…宜しく。」





















【あとがき】

ハイネの登場です。

やっぱりこの人書くの難しい…

またまた偽者状態になってしまうかと思われますが…

ミゲルに続いてハイネとも仲良しになっちゃいます♪

そろそろアスランとイチャイチャさせたくなって来た…






2005.9.21 梨惟菜









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