「カガリは…本当にそれでいいの?」
「あぁ。私はユウナと結婚する。オーブの為にもそれが一番良いんだ。」
カガリがオーブの事を誰よりも大事に思っているのは私も良く知っている。
オーブの為…世界の為…
カガリが決意した事を心から祝福してあげる事が出来ないのはどうして?
2人の結婚が国の為の政略結婚だと分かり切っているから?
結婚を決めたカガリの表情が幸せそうに見えないから…?
戦場の歌姫 〜Destiny〜
ACT.1 募る不安
「ふぅ…。」
ユウナ様にカガリの護衛をするようにと言われて数日が経過した。
ハッキリ言って退屈だ。
私とカガリは結婚の準備の為にセイラン家へと入り、カガリは式典の準備と称して色んな花嫁修業をさせられていた。
そんな状況で私に出来る仕事など何も無く…。
今更ながら、何故ユウナ様は私にそんな役目を言い渡したのかが分からない。
結局、仕事の無い私は部屋に押し込められたまま…
ウナト様の秘書から外されてしまった事で現在の情勢も全く分からないし…。
大体、何でこんな時期に結婚式なんて…
ユウナ様の思惑が理解出来ない…。
セイラン家は海の一望出来る場所に建てられていて…
私が居るこの部屋からも広がる一面の海…。
今日も晴れたオーブの海を眩しい太陽が照らす。
「ちょ…ちょっと待って下さい!!どういう事なんですか!?」
「だから…言った通りだよ。」
「カガリの結婚式に参列させて頂けないなんて…納得出来ません!!」
カガリの護衛をするように言いつけられたのにも関わらず、出る幕の無い自分。
これじゃあ…何の為にここに居るのかが分からない…。
「国家元首の結婚式なんだよ?当日だって何が起こるか分からないしね…。」
「つまりは…足手まといになり兼ねない…と?」
そういう…事ですか…?
「君の力を信用していない訳じゃないんだよ?
でも君も女の子なんだから…あまり危険には晒したくは無いんだよ。」
「お気持ちは嬉しいです…けど…」
私は…無力…?
結局、誰を守る事も出来ないの…?
「とにかく、には悪いけど、君を会場に出す訳にはいかないんだ。」
分かってくれるね…?
ユウナの真意を知らずに…
でも、彼の指示に逆らう事も出来ず…
黙って従う事しか出来ない。
「凄いドレスね…。」
「…」
純白のドレスに身を包み…
化粧を施されたカガリはまるで別人のよう…。
「2人にしてもらえないか…?」
カガリが周りに居た付き人を追い払う。
「何か…そのメイク…きつくない?」
「もそう思うか?私もどうかと思うんだが…」
まぁ…一応は大事な儀式な訳だし…
でももうちょっと…控え目でもいいんじゃないかと思うんだけど…
「ごめんね…式、出ちゃダメだって…。」
「心配し過ぎなんだ…ユウナは…」
「何か私…オーブに居る意味、あるのかな…」
「アスランと…一緒に行きたかったか?」
「少し…ね。」
「少しだなんて言ったらアイツ、拗ねるぞ?」
本当、の事で頭が一杯のバカだからな…
「カガリ様…そろそろお時間です。」
「分かった。」
「…行って…らっしゃい。」
「行って来る。」
背筋を伸ばして凛と立つ姿は令嬢を感じさせる。
ゆっくり、導かれる様に一歩ずつ扉へと進む…
「…」
「ん?」
「私はお前がオーブに残ってくれて嬉しかったぞ。」
私…何でここに居るんだろう…
ここ数日、同じ事ばかり考えている自分。
だって…本当に分からないんだもの…。
私は少しでも役に立ちたくてオーブに残ったのに…
カガリは…自分がすべき道を見出して歩み始めたのに…
じゃあ…私は…?
「ん…」
考え疲れて眠ってしまったらしい…。
何だろう…外が騒がしい気が…
「何か…あったんですか…?」
廊下で集まっている数名のメイドに声を掛けた。
「あ…様…それが…」
「…え!?」
メイドの1人がに耳打ちする。
『カガリ様が…フリーダムとアークエンジェルに連れ去られたと…』
「ユウナ様がお戻りになられると思います。」
さぁ…早くお部屋へ…
メイドに促され、は渋々と部屋へ戻る…。
何だか…様子がおかしい…
私が何でこんな手厚いもてなしを受けてるんだろう…?
【あとがき】
本編沿い…スランプ期に突入でしょうか…
きっとアスラン不足なんでしょう…。
早くアスランを地球に降ろして来ないと…
先に話が進まないって(汗)
ヒロインを式に参列させなかったのはユウナの思惑です。
独占欲強いからね…奴は。
この辺り、かなりのオリジナル要素に編集してますのでご了承下さいませ。
では、いつもお付き合いありがとうございます。
2005.6.20 梨惟菜