『核』




それだけは・・・戦いに・・・争いに持ち込んではいけない・・・。



暗黙の了解だと思われていたそのルールが破られてしまったその時、
世界は大きく傾いて行く・・・。



こんな事・・・誰が望んだというのだろう・・・。





ナチュラルとコーディネイター




私にとってはどちらも同じ人間・・・

生きる術だった同じだし、

抱く感情だって同じ・・・。




そう、私が彼を愛したように、
ナチュラルにだって同じ感情が心の中にあるんだから・・・。











戦場の歌姫


 ACT.9 交わる心
















ボアズが落ちた・・・。


それが、地球軍からの核攻撃の始まりだと知った時、
目の前が真っ暗になった・・・。



決して使われる事はないと思っていた核・・・。



それが、遂に使われてしまった・・・。







「プラントは・・・どうするつもりなんだろう・・・?」




誰もが抱く不安・・・


まさか核攻撃に対抗して・・・


そんな事、あってはならない。

けれど・・・




不安そうな顔のアスランが視界に映った。


彼の父・・・ザラ議長はどうするおつもりなんだろう・・・。





「とにかく、これ以上核を撃たせる訳には行かないわね。」





また・・・戦いが始まる・・・。



今度こそ、終わらせなくては。

こんな戦いに意味なんて無い。




傷付けて、傷付けられて・・・。



たくさんの人がたくさんの物を失った・・・。


こんな命の奪い合いの先に、本当に幸せな未来はあるの?





「アスラン・・・待って。」



パイロットスーツに身を包み、格納庫へと向かう彼を呼び止めた。


「・・・どうした?」





不安に満ちた瞳・・・。


アスランにも分かっていた。


ここから先、自分は愛しい恋人を置いて戦場へと赴く身。



無事に帰って来れるという保障は無い。



けれど・・・行かなければならない。




彼女を・・・を守る為・・・。







「これ・・・持って行って欲しいの・・・。」




が上着のポケットから出したのはお守りだった。



「これは・・・」


色は違うが見覚えのあるお守り・・・。




「イザークに貰ったお守り。アスランのはイージスに置いたままだったでしょ?
 だから私のを・・・持って行って欲しいの・・・。
 きっと・・・アスランを守ってくれると思うから・・・。」



そう言ってお守りを差し出すその手は小刻みに震えていて・・・


そこからの言えない想いが伝わってくるようだった。



『イカナイデ・・・』



はきっと、そう言いたいに決まっている。


でも・・・決して口には出さない。




いつからか、彼女は滅多に本心を口に出さないんだと理解出来るようになった。



何年も一緒に居た筈なのに、最近になってようやく理解出来るようになった。





・・・」

「・・・ん?」




自分は大丈夫だから・・・。


目で訴える



だからこそ今、伝えたかった。






「・・・正直、無事に戻って来れるか分からない・・・。」


アスランの言葉に、瞳が揺れる・・・。


「俺にもしもの事があったとしても・・・の事だけは守るから・・・。
 俺がいなくても・・・幸せになれるように守るから・・・。」



「・・・そんな事・・・言わないで。
 私は・・・アスランが居なくちゃ幸せになんてなれない。
 じゃなかったら、とっくにイザークを選んでる・・・。」



もう帰って来ない様な言い方をしないで・・・。



あなたが居なくなってしまったら・・・

そう考えただけで心臓が止まってしまいそう。

呼吸が出来なくなりそう・・・。




「ごめん・・・言い方が悪かったな・・・。
 ちゃんと・・・の所に帰って来る。」


「・・・待ってる。」


「だから・・・戦争が終わったら・・・」



不安そうな瞳の少女をアスランは抱き締めた。


簡単に腕の中に納まってしまう小さな体・・・。




「結婚して欲しい・・・。」



そっと、耳元で囁かれた永遠を誓う言葉・・・。





「アスラ・・・」


「ちゃんと・・・のご両親にも挨拶に行こう。」





「・・・うん・・・。」









小さい頃からずっと一緒だった存在なのに・・・

こうして心が繋がった今、

今までのアスランとは違う人みたい・・・。



同じ人なのに不思議ね・・・。



ただの幼馴染ではなくて・・・

お互いに大切な恋人・・・。



関係が変わるだけで、こんなに違うあなたが見える・・・。






守るよ・・・


の未来を・・・








守るよ・・・


アスランの幸せを・・・












 ACT.9 交わる心


     end






【あとがき】




9章終わりましたぁ!!
ようやく2人が晴れて恋人同士に!!
梨惟菜もホッと一息・・・って感じです♪


実は・・・
2人をくっつけるまでの話は考えてたんですけどね・・・
肝心のクライマックスが全く考えられていない状態だったりして・・・(汗)

どんなラストになるのか・・・
これから試行錯誤して行きたいと思います♪

あ、ハッピーエンドなんで安心してね♪



では、10章で完結出来る様に頑張ります〜♪

ここまで読んでくださってありがとうございました♪



2005.3.4 梨惟菜


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