、アスラン。ちょっといいか?」



コロニーから無事に戻って来たディアッカは格納庫で2人を呼び止めた。



どうしても2人に伝えなければならない話がある・・・。



きっと悲しい顔をするだろう・・・。


けれど、話しておかなければ・・・。




ディアッカの瞳は真剣だった。









戦場の歌姫

 ACT.9 交わる心










「イザーク・・・が?」



コロニー内に居たザフト軍とは・・・イザークの事だった。

ディアッカから聞かされた2人は顔を沈ませた。



「イザークと・・・話したの?」


「あぁ、ショック受けてた。」



「・・・そう・・・。」





結局・・・アスランとはカーペンタリアで別れたきり・・・。

最後に抱き締められたあの感覚を今でも覚えてる。



初めて私を愛していると言ってくれた人。


後悔はしない・・・



あの日そう誓ったけれど、敵同士になるなんて思ってなかった。




「でも・・・元気だったのよね?」


「あぁ、銃向けられたし?」


苦笑するディアッカに私も安堵した。




「ちゃんと言っといた。アスランとラブラブだ・・・ってね。」



「「なっ!!」」



2人が真っ赤になったのはほぼ同時だった。















「キラの様子、見に行こうか・・・」



コロニーから戻ったと同時に倒れてしまったキラ。


フラガさんもクルーゼ隊長と戦って負傷したらしく・・・。


誰もが身も心もボロボロだった。






「カガリ・・・さんとキラが双子?」



「あぁ、カガリが2人の写真を持ってて・・・。」



コロニーで何かあったのだろうか・・・。


キラの寝室に入ると、ラクスとカガリがベッド脇でキラを見守っていた。


・・・アスラン・・・。」



苦しそうにシーツを握り締めるキラ・・・。


「精神的なものだそうですわ。」

「色々張り詰めてたからな・・・。」



眉を寄せるアスランを見やる。


「アスラン・・・2人が付いてるから大丈夫だよ・・・。」




オーブのジャケットを羽織ったアスランの裾を軽く引っ張った。


「そう・・・だな・・・。」


心配そうに見つめるに何かを悟ったアスランは、
と共に部屋を後にした。









「アスランも少し休んで。」

「いや、大丈夫・・・」


「アスランの大丈夫はちっとも大丈夫じゃないの。
 ずっと戦闘続いてるんだから、休める内に休んでおかないと。」


エターナルに用意されたアスランの個室。


ラクスの気配りでその隣にの部屋が設けられていた。



はアスランの部屋の前で動きを止める。


だって働きっ放しだろ?」

「前線と艦内じゃ違うよ。」


「駄目だ。俺も休むからも休む!」



「・・・じゃぁ・・・ちょっとだけ、アスランの部屋に居てもいい?」




「・・・ちょっとだけだぞ?」






何も持たずにプラントを飛び出してきた私達だから、
部屋に私物は無かった。


備え付けの備品が少し棚に並ぶ程度のシンプルな個室。



アスランがベッドに腰を下ろす。

はベッドに凭れ、床に座り込んだ。




「隣に座ればいいのに。」


「今からアスランが休むんだからいいの。
 ね、アスランが寝るまでここに居てもいい?」


「監視されてるみたいだな・・・。」


苦笑しながらアスランはの髪の毛に指を絡めた。



「何なら・・・一緒に寝る?」


「はっ!?」


真っ赤になるを見て、アスランが苦笑した。


「冗談だよ。」


「・・・もうっ・・・。」



「じゃぁ、もちゃんと休むんだぞ?」

「分かってる。ホラ、早くベッドに入って!」



に言われ、アスランは渋々とベッドに横たわった。


横になるのと同時に、瞼が重くなるのを感じる。


が濃紺の髪の毛を優しく撫でる・・・。


その一定のリズムが眠気を誘った。




視界に映るのは愛しい恋人の憂いを帯びた瞳・・・。



何故、もっと早く彼女への想いに気付かなかったんだろう・・・?





遠回りしちゃったな・・・。



少しずつ遠のく意識・・・。


脳裏に浮かぶのはの柔らかい笑顔だけ。


















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