ビーッ!!





艦内にアラートが鳴り響く。


2人きりのデッキで抱き締め合っていた私達は、
咄嗟に互いの体を引き離した。




「・・・敵!?」



「行こう!!」



アスランに手を引かれ、ブリッジへと急いだ。




これから先、何があったとしても・・・


アスランの手だけは離したくない・・・。


心からそう思った。











戦場の歌姫

 ACT.9 交わる心












「エターナルはまだ最終調整が済んでいません。」



『分かりました。アークエンジェルとクサナギで応戦します。』




通信回線を切った後、ラクスが振り返って私達を見た。



「フリーダムとジャスティスに出て貰います。いいですね?」



「あぁ・・・。」




アスランとキラがブリッジを出て行く。


私も2人の後を追って通路に出た。




「アスラン!!」



振り返るアスランとキラ。



「先、行ってるね。」


そう言って、キラがアスランに目配せした。







「・・・どうした?」


心配そうな目でアスランを見つめるに、
アスランはそっと髪に手を触れた。



「私も行く・・・。
 クサナギにMS、余ってるでしょう?」


の言葉に、アスランが触れていた手を引いた。




「・・・アスラン?」



「駄目だ。」



「な・・・何で!?
 私だって元クルーゼ隊のパイロットなのよ!?」




「隊長に前線は向いてないって言われたろ?」


「そうだけど・・・!!」



どうしても納得がいかない私はアスランに反論するが、
アスランは私の唇に人差し指を置いて言葉を遮った。





「ここで・・・待っていて欲しいんだ。
 には誰も傷つけて欲しくない。
 例え、相手が敵であっても・・・。」




「アスラン・・・。」



「俺が・・・を守る存在でありたいから。」






アスランの優しさが胸に沁みた。


ずっと・・・こんな風に特別扱いされたかったんだと思う。



今は・・・私だけのアスランで、
アスランが私を守りたいと言ってくれる。



私もあなたを守る存在になりたいのに・・・。



「私だって・・・アスランを守りたい。」


「だったら尚更、ここに居てもらわないと。」



「・・・どうして?」


「戦場でもしもに何かあったら、
 自分が保てなくなりそうだから・・・。」



その言葉に、私の頬が真っ赤に染まった。


アスランってこんなセリフをサラッと言えるタイプだった・・・?






「もう行くよ。エターナルで出来る仕事、あるだろ?」



「・・・気を・・・付けてね。
 絶対に帰って来てね。」



「分かってる。」





少しずつ近付く距離・・・


そっと、瞳を閉ざす。



そして・・・


初めて触れる、互いの唇・・・。




アスランを守る為なら何だってする。


心からそう思った・・・。











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