「・・・何かあったんですか・・・?」



仕事を終え、評議会に戻ると、何か様子がおかしかった。



ロビーで慌しく動き回る議員達・・・。



私は議員の一人に声を掛け、様子を伺った。





「あぁ・・・議長のご子息が戻ったそうなんだが・・・。」



「・・・アスランが・・・?」



「地球軍のシャトルで戻ったって話なんだ・・・。」




「・・・え・・・?」








戦場の歌姫


 ACT.8 溶ける心の行く先に・・・









地球軍のシャトルって・・・


ジャスティスは・・・?



何が何だかさっぱり分からなくて、真実を確かめる為、
議長室へと急いだ・・・。



「ここから先は誰も入れないようにと議長から言われております。」



途中でSPの一人に止められた。



「私は議長の秘書兼護衛です。通して下さい。」

「分かっています。ですが、あなたも通さぬようにとの指示ですので。」




・・・どういう事なの・・・?




その時、廊下の先から銃声が響いた。


その場に居た人々が廊下の先に視線を送る。



この先には議長室しか無い・・・。



まさか・・・!!



「・・・っ!!通して!!」

「出来ません!!」


強引に通ろうとしたが許されず、私は唇を噛んだ。







「・・・ア・・・アスラン!?」



奥から現れたのは議長の護衛に拘束されたアスランの姿・・・。



乱れた軍服・・・

右肩からは真新しい血が滲み出ていた・・・。



あの傷は・・・


「アスラン!!」



もう一度彼を呼んだ。


その声に反応し、アスランが私の方に視線を向ける。




「・・・・・・」


アスランが私の目の前を通過して行く・・・。



何があったのか分からないけれど、
これから彼がどうなってしまうのか・・・


何となく予想がついた私は身震いした・・・。



議長・・・


自分の息子でも関係ない・・・


そうおっしゃるのですか・・・?



私はアスランが連行された方へと駆け出した。







「アスラン!!」


「下がってください!!ここから先へは通せません!!」



連行されるアスランが車へ乗るように指示されている。



腕を掴む衛兵を必死に振り払おうとするが、さすがに男の力には敵わなかった。







「・・・くっ・・・」


車の扉が開かれた瞬間だった。


「なっ!!」


アスランは一瞬の隙をついて両側に居た護衛を蹴り飛ばした。


「・・・アスラン!?」



背後からはの声が聞こえる。


振り返ると、衛兵に押さえられるの姿・・・。



目の前に見えるの姿・・・。


必死に自分を見つめる姿・・・。



何を言っているのか、聞き取れなくて・・・

アスランは何を思ったのだろう・・・。







!!俺と一緒に行こう!!
 必ず守るから!!」



時が止まった・・・。



アスランの言葉が頭の中に響く・・・。



今・・・何て言った・・・?




!!」


もう一度私を呼ぶ彼の声に、我に返った。


アスランの瞳は真っ直ぐに私を見つめていて・・・

さっきの言葉・・・本気なんだよね・・・?


そう思った瞬間に、目頭が熱くなった。



「ごめんなさい・・・」


そう言って、私は衛兵を蹴り飛ばしていた。



「うわっ!!」


衛兵の手を振り切り、はアスランの元へと走った。




アスランとの指先が絡まる。


「アスラン・・・!!」


「行くぞ!!」



アスランはを庇いながら駆け出した。


慌てて銃を構える衛兵・・・。


中の一人がその行為を阻止し、2人の盾になる。



「!?」

「早く!!建物の陰へ!!」


言われるままに2人は角を曲がった。



「・・・アスランっ!!」


気が付けばはアスランに抱き付いていた。


アスランも動じる事無く、その行為を受け入れる。


「ごめん、心配かけたな・・・。」












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