「じゃあ私、議長の所に行くから・・・。」



「あぁ・・・じゃあ・・・また。」





シャトルから降りて、私とアスランは別々のエレカへと乗り込んだ。

アスランは軍本部に報告をしなければならない。


私は指示通りにザラ議長の元へと向かう。





エレカから見える懐かしいプラントの景色・・・。


そんなに長期間離れていた訳でもないのに、すごく久しぶりな感覚だった。








戦場の歌姫

 ACT.8 溶ける心の行く先に・・・







エレカは市内を通り抜け、最高評議会へと入った。


です。ザラ議長と面会のお約束を・・・。」



「伺っております。どうぞお通り下さい。
 議長室でお待ちになっていらっしゃいます。」





議長室の入り口まで来て、私は軍服の襟を正した。




プラントの最高権力者の部屋だ・・・。 


いくら幼馴染の父親とはいえ、緊張するなぁ・・・。






「失礼いたします。、出頭致しました。」


議長を目の前に、キリッと敬礼を行う。



「ご苦労だったな。長期の降下で疲れただろう?」


「いえ、私は何もしていませんから・・・。」



薄暗い議長室の一角にあるソファに通される。


「それで・・・お話というのは・・・?」




早速本題に入った。

何故、自分がここへ呼ばれたのか・・・?


私の新しい配属先はどこなのか・・・?


まだ、何も知らされないままだった。





「あぁ、君には私の秘書兼ボディーガードをして貰おうと思ってね。」


「秘書・・・ですか?」


「クルーゼから聞いているよ。
 前線に出すには未熟だが、優秀な軍人ではあると。
 だから、秘書と護衛を兼任して貰いたい。」




意外な言葉に私の頭は混乱していた。


「それは・・・クルーゼ隊長の計らい・・・ですか?」



「いや、私が彼に頼んだんだよ。」


「・・・どうして・・・私を・・・?」



その言葉に、向かいに座っていた議長が立ち上がった。


「直接ここへ来たのだったな?」


「?・・・はい。」


「なら、クライン派の反逆については何も聞いていないな?」





「・・・は・・・?」



今・・・何て・・・?



「ラクス・クラインがスパイの手引きをして国家反逆罪として指名手配されたいる。」





急に思考回路が停止した気分だった・・・。


ラクスが・・・反逆者・・・?


そんなバカな・・・




「もう、彼女はアスランの婚約者などでは無い。」


「議長!それはどういう事なんですか!?
 ラクスが・・・彼女がスパイの手引きだなんて!!」



どうしても信じられない・・・。


平和を愛する彼女がそんな事をする筈が・・・



「証拠が無ければ騒いだりなどせんよ。」



そう言って、議長がモニターの電源を入れる。

「!!」



モニターに映し出されたのは、間違いなくラクスの後姿だった・・・。


その隣にはザフトの赤を着た少年らしきシルエット。

顔までは見えなかった・・・。



そして、2人の前には見た事の無いMS・・・。

あの機体・・・どこかで・・・






、君にもう一つ話がある。」


「・・・何でしょう・・?」


「君を・・・アスランの婚約者として迎え入れたいと思っている・・・。」



「・・・私を・・・!?」



何を今更・・・


ラクスが反逆者となったから・・・

次は私を・・・?


「勿論、受け入れてくれるとは思っているが確認しておこう。
 この話、受けてくれるな・・・?」


きっと、ザラ議長は私の想いに気付いているのだろう・・・。

そして、私が頷くと確信しているに違いない・・・。





「すみません・・・。
 少し、お時間をいただけませんか・・・?」



私は迷った末、そう答えていた・・・。








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