「アスラン、何か食べたくない?何か買って来ようか?」



「いや・・・大丈夫。ありがとう。」




自分も怪我をしている身なのに・・・


の優しさについ甘えてしまう自分が居た。




こんなにと長く一緒に居るのは何年ぶりだろうか・・・










戦場の歌姫


 ACT.7 嘆きの光











は毎日俺の病室に通ってくれた。



何気ない話をしてくれたり・・・


時には林檎を剥いて出してくれた。



意外にも手先が不器用だった・・・。


いびつな形になってしまった林檎を見て謝る・・・。



そんな仕草に癒される自分が居た・・・。





イザークには悪いと思う。


こんな形でを独占してしまっていたら、
さすがのイザークも文句を言えないのだろう・・・。



それをいい事に、俺はと過ごす時間を楽しみにしてしまっていた。









「荷物、これで全部?少ないのね。」



が多過ぎるんだよ。」



「仕方ないでしょう?女の子は色々と持ち物が多いのよ。」




ようやく歩けるようになったアスランと共に、プラントへ戻る日がやって来た。



重たい荷物を片手にアスランについて通路を進む。








結局、イザークとロクに会話も出来ないままこの日になってしまった。



イザークは事務処理に追われ、外に出てのんびりする暇もなかったらしく、
全く姿を見ていなかった・・・。




避けられていたのかもしれない・・・。



当然の事だけれど・・・。











ドンッ!!



前方を歩いていたアスランが急に立ち止まったせいで、
私は彼の背中に顔面から激突してしまった。



「いったぁ・・・。アスラン何・・・」



彼の背中越しに見えたのは、イザークの姿・・・。




「・・・イザーク・・・。」




銀色の髪をなびかせ、彼は私達をアイスブルーの瞳で見つめた。




「イザーク、色々と済まなかったな。」


先に口を開いたのはアスランだった。



「・・・上で待っていろ。すぐに追い越してやる。」



不器用なイザークの精一杯の祝福の言葉なのだろうか・・・。


そう返すイザークに、アスランが手を差し伸べた。


その手を堅く握り返すイザーク。






、先にシャトルに行ってるから・・・。」



アスランは振り返ると私にそう告げ、イザークの横を通過した。




「今度は俺が部下にしてやる!!」



イザークはアスランの背中にそう叫んで、アスランを見送った・・・。













「・・・イザーク・・・」



イザークと2人きりになるのは久しぶりだった。


これを逃したら・・・しばらく先になってしまうかも知れない・・・。




「イザーク・・・ごめんね・・・。」


「・・・覚悟は出来てるさ。
 結局、にはアイツしか居ないんだな・・・。」



イザークは・・・分かってたんだね・・・。



私の・・・捨て切れなかった想い。



「アスランが無事だって分かった瞬間、
 もう彼しか見えなかった・・・。
 この恋だけは・・・捨て切れなかった。
 本当にごめんなさい。」



決して嫌いではなかった・・・

ううん・・・


きっと、アスランが居なかったら、私はイザークを迷わず愛してた。


言い訳かもしれないけれど・・・



イザークに救われた私もいるのが事実だから・・・。





「最後に・・・抱き締めてもいいか・・・?」


「え・・・?」




イザークの瞳は真剣そのもので・・・


私は黙って頷いた。





イザークが恐る恐る私の体を包み込む・・・。



抱き締められて初めて、彼の力強さを感じた・・・。



微かに震えるイザークの腕・・・。








「俺はアイツに負けたんじゃないからな。
 お前の・・・の想いに、俺の想いが負けただけだ・・・。」



「・・・うん・・・。」



「後で後悔したって知らんからな・・・。」



「うん・・・。」




、俺はお前を本気で愛してた・・・。」












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