、君には本国に戻ってもらう。」



ようやく医師から外出の許可が下り、私は早速クルーゼ隊長に呼び出された。


「プラントに・・・ですか?」


「君に是非就いて貰いたい仕事があるそうだ。
 詳しくは本国に戻ってから指示がある。」


「・・・分かり・・・ました。」



「君は確かに優秀だった。
 しかし、前線に出るには精神的に脆すぎたな・・・。」



隊長の言葉が胸に突き刺さった・・・。



「それと・・・本国に戻るのは数日先になる。」


「え・・・?」



「アスランにも転属命令が出ていてね。
 彼が回復してから共に戻るといい・・・。」










戦場の歌姫


 ACT.7 嘆きの光












アスランを最後に見たのはストライクとの戦闘の前だった。


そんなに前の事ではないのに、すごく久しぶりな気がして・・・




扉を叩くのを一瞬ためらってしまった・・・。




コンコン・・・




「はい?」


扉の向こうから聞こえる彼の声に安堵した。



「・・・です・・・。入ってもいい?」


「あぁ・・・どうぞ・・・。」





カチャ・・・




「あ・・・無理しないで横になってて・・・。」


私を迎えようと体を起こしていたアスランの体をゆっくりと押さえた。


吊られた片腕が戦いの激しさを物語っていた・・・。


脇に構えられた椅子に腰掛け、私はふっと笑みをこぼした。





「・・・無事で・・・良かった・・・。」



「心配かけたな・・・。
 それに・・・を巻き込んでしまった・・・。
 本当に済まない・・・。」



「ううん。命令を無視して飛び出したのは私だもの・・・。」


「・・・そうだったな・・・。」


そう言ってアスランは苦笑した。











「止めたかったの・・・。
 アスランもキラも・・・大事な幼馴染だから。」



「俺は・・・その大事な幼馴染を討ったんだな・・・。」




アスランは視線を合わせない・・・。


ずっと・・・窓の外の景色を眺めながら淡々と言葉にする。





「・・・プラントに戻るんだってね。隊長から聞いた。」



ストライクを討った功績を認められ、ネビュラ勲章を授与されたアスランは、
特務隊への転属が言い渡された。



も・・・戻るんだろ?」


「私に前線は無理だってさ。」




私も苦笑しながらアスランに答える。



その時、アスランがようやく私に視線を向けた。




「良かった・・・。」



「・・・何が・・・?」



「正直、には戦って欲しくなかったから・・・。」





「アスラン・・・」



「罪を背負うのは俺だけで十分だよ・・・。」






アスランの一言にはっとした・・・



戦いの中で誰より傷付いたのは彼・・・



キラと再会して・・・

ずっと敵対して・・・



常に前線でキラと対峙しなければならなかったアスラン・・・




その表情はひどく沈んでいて・・・



「そんな事・・・言わないで・・・」


静かに涙がこぼれ落ちた・・・。



・・・」




私もその罪を背負えたらいいのに・・・












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