「え・・・?」



アスランの一言にの肩の力が抜ける・・・。


「もう一度言う。
 、君は艦で待機だ。」



「な・・・!!どうして私が待機なの!?」



私はアスランの指示に納得が行かず、思わずテーブルを叩いて反論した。


その気迫にディアッカが驚き、アスランに目を向ける。




「俺が気付いてないとでも思ったか?」


「・・・痛っ・・・」




アスランは見透かした様な表情での腕を掴んだ。




「この腕でMSに乗れると思ってるのか・・・?」










戦場の歌姫

ACT.7 嘆きの光












イザークですら気付いていなかった・・・。



が先の戦闘で片腕を負傷していた事。



ニコルが討たれた直後だった。


の見えない怪我に気付く余裕なんて無かった筈だ。


しかし、アスランは気付いていた。



が無意識にその怪我を庇って行動していた事を。





アスランにとって好都合だった。


次の戦いで自分はキラを討つ。

そう決めた。



だから、は出撃させたくなかったのだ・・・。



の親友でもあるキラ・・・。


そのキラを殺そうとしている・・・。



にそんな場面を見せたくない・・・。




アスランは右手をギュッと握り締める・・・。




「アスラン・ザラ、出る!!」











ブリッジからモニターを眺める・・・。



出撃する3機・・・。




空には暗雲が浮かんでいた・・・。


嵐の予感・・・。



は身震いした。




どうか・・・3人が無事に戻って来ますように・・・。



そう願う事しか出来ない自分が悲しくて・・・。



私はどうして軍人になったんだろう・・・?

ずっと考え続けて来た疑問・・・。





こんな時が来る事を覚悟して赤服を着ている筈だったのに。


肝心な時に出撃出来ない自分・・・。



痛めた片腕をギュッと力を込めて握る・・・。



腕に広がる痛みに思わず顔が歪んだ・・・。






動けない程の痛みでは無い・・・。



私は踵を返してブリッジを出た。



アスランに怒られるかも知れない・・・。

でも・・・




今ここで行かなかったら、きっと後悔する。


もう一人の自分がそう告げている様な気がして・・・




私は通路を足早に歩いた・・・。





もう後悔するのはたくさんだった・・・。



アスランとラクスの婚約が決まったあの日・・・


私はどれだけ泣いただろう・・・。

どれだけ後悔しただろう・・・。



自分の想いを秘めてしまった事に・・・。





今、2人を止めなければ・・・


止める事が出来るのは、私しか居ないのだから・・・。





例え、アスランの命令に背く事になったとしても


軍の方針に逆らっているとしても・・・。






私が守りたいのは・・・





アスランの未来・・・











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