「このままここで待機する。」



無事に合流し、艦へと戻った早々のアスランの一言。



「何だと!?何を考えている!!」


アスランの指示にイザークとディアッカは眉を寄せた。





ディアッカもニコルもストライクのパイロットの正体は知らない・・・。


しかし、アスランは知っていた。

工場区で会った少年・・・。


彼がストライクのパイロットである事を・・・。








戦場の歌姫

 ACT.6 動き出した想い











隊長命令は絶対。



艦はオーブ領海から少し離れた場所でひっそりと待機していた。




久しぶりに訪れた休息の時間・・・。



ザラ隊のメンバーはそれぞれの時間を過ごす。






アスランとニコルはデッキに腰掛けて、
海を眺めながらそれぞれの思いを語り合っていた。



反対側のデッキで一人佇む・・・。


同じ様に海を眺める・・・。



太陽に照らされて輝く海が眩しくて・・・

は目を細め空を仰いだ・・・。



・・・その時、の視界が急に暗くなる。

光を遮り、の顔を覗き込んでいたのはディアッカだった。







「・・・何か用?」


「連れない事言うなよ。隣、いいか?」


「一人で過ごしたい気分だったんだけど?」


「ま、すぐに済む話だからさぁ。」





今日は何となく一人で居たい気分だった。

イザークと2人きりの時間をオーブで過ごし、
2人で去る姿をアスランに見られ・・・。


何だか複雑な気持ちだった。



だから、今朝もイザークから射撃に誘われたのを断ったのだ・・・。






「イザークとさ・・・どうなってんの?」


「しつこいわね・・・。」


「気になるだろ?降下して来てからずっとゴタゴタしてんだしさ。」



確かに・・・

降下してからのとイザークの姿をずっと見守って来たのはディアッカだった。



の弱りかけた心を癒したのはイザークだし、
イザークの不器用で真っ直ぐな想いを良く知るのもディアッカ。




「・・・好き・・・なのかな・・・?」


の一言にディアッカは目を見開く。


「な・・・何よその顔・・・。」


「いや・・・まさかの口からそんな言葉が聞けるとは思ってなかったから・・・。」




自分でも信じられなかった。


私はイザークの事が好きなのだろうか・・・?



アスランに抱いていた想いとは全く違う・・・。


だから戸惑ってる・・・。





アスランは・・・

一緒に居ると落ち着く人。

ただ側に居たくて・・・

私の事を見て欲しくて。

見ているだけで心が温かくなる・・・。






イザークは・・・

一緒に居ると落ち着かない・・・。

いつもドキドキさせられて・・・

危なっかしくて放っておけない。




この違いって何なんだろう・・・。




そんな複雑な表情を見せるの横顔を見つめるディアッカ・・・。




「ま、決めるのはだしな・・・。」


そう言ってディアッカはゆっくりと立ち上がった。





・・・結局、何が言いたかったのよ・・・。

ただ聞きたかっただけじゃん・・・。




も立ち上がり、自室へと足を向けた・・・。










バンッ!! バンッ!!


ディアッカが射撃場の扉を開くと、
部屋中に銃声音が鳴り響いた。


防音設備が完璧なこの部屋に響く音は相当なもので、
慣れているとはいえ、入った瞬間には少し耳が痛む音だった。




奥のブースで一人黙々と射撃訓練を続けるイザーク。


ディアッカが入って来た事に気付いていない。





「何だ・・・居たのか。」



しばらくして一息つこうと銃を台に置いたイザークは口を開いた。


「休みだってのに頑張るよなぁ。」


「余計なお世話だ。何か用か?」


イザークは汗を拭いながら壁にもたれ、腕を組んだ。


相変わらず無愛想だな・・・。

そう思ったが口にすると後が厄介なのは十分承知している。


ディアッカは用件だけ簡潔に述べた。




「一つ・・・聞いていいか?」


「何だ。」


「もし・・・アスランもを想ってるとしたらさ、
 お前、どうすんの?」




その言葉にイザークの眉がピクッと僅かに動いた。



「どういう意味だ?」


「だからぁ、もしもとアスランが今の段階で両想いだったらどうするって聞いてんの!」






「だったら何だ?」

「何だって・・・聞いてんのは俺・・・」



「関係無い。」


イザークはアイスブルーの瞳をディアッカに向け、キッパリと告げた。




「アスランが動かんなら俺には関係ない。
 ヤツの事まで気にしていられるか。」




アスランの気持ちが誰にあろうと関係無い。


自分はを愛していて・・・


今はの想いを自分に向ける事しか考えていない。




イザークの揺るぎない想い・・・。



いつか・・・に届くのだろうか・・・











 ACT.6 動き出した想い

     end






【あとがき】


6章・・・

長かったです(*>Д<)o”

頑張ったつもりです・・・。



ヤバイ・・・
マジでイザ夢になってないかコレ・・・??


もう少し・・・


もう少しだけ我慢してくださいね!!ヒロイン!!


きっと私が幸せにしてやるからさぁ!!
(アスランじゃないのかよ!!)




・・・オーブ潜入ではかなりオリジナル入ってます。

イザークのお守り購入エピソード。
書きたかったんですね♪


物語も中盤に入って参りました!!


さて、これからどんな展開が待ち受けてるんでしょうか♪


7章もお付き合いくださいねぇ〜〜♪





2005.2.11 梨惟菜





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