「悪い。強引だったな・・・。」



どれくらい歩いただろうか・・・。


しばらくして、イザークは立ち止まって私に謝った。



「・・・別に・・・。」

気まずそうに俯いて返事をする。




「それより・・・足付きの手掛かりを探さなくちゃ・・・。」


「・・・あぁ、そうだな・・・。」








戦場の歌姫

 ACT.6 動き出した想い










イザークは再び歩き出した。

の手を握ったまま・・・。




握られた手が気になって仕方が無い・・・。

けれど、言うタイミングを逃してしまい、どうしようもなかった。



戸惑いながらもイザークと並んで歩く。

作業着を着た男女が手を繋いで歩く光景は端から見たら変なんだろうな・・・。



はふとそう思いながら、
別れ際に見たアスランの表情を思い出していた。




アスラン・・・驚いてたなぁ・・・





大通りを抜け、2人は人通りの少ない道へと出た。


華やかだった大通りに比べると静かなその道の先に、
は不思議な建物を見つけた。



「・・・イザーク・・・」

「・・・どうした?」


「あの建物・・・何かな?」


イザークはが指した先に目を向けた。



「あぁ・・・。」


「知ってるの・・・?」


「前に文献で読んだ事がある。
 実際に見るのは初めてだが・・・。」



イザークはその建物に向かって歩き出した。


もイザークの後を追う。



「・・・で、これ、何なの?」


「あぁ、神社だ。」



「・・・ジンジャ・・・?」




変わった造りの庭・・・。

奥には大きな建物・・・。



「ここに神がいるそうだ。」


「・・・はぁ・・・。」


目の前に置かれた箱にイザークが小銭を投げ入れた。

「こうやって手を叩いて、願い事をする。」



イザークに倣っても真似をした。

願い事か・・・



叶うとは思わないけど・・・。












「イザークは何をお願いしたの?」

「・・・言ったら叶わないから言わん。」

「そうなんだ・・・。」





「あ・・・あれは何?」


神社の隅にある小さな小屋・・・。


「あぁ、お守りでも売ってるんだろ・・・。」



「お守り・・・。」


「買って行くか・・・。」



イザークはその小屋に向かって歩き出した・・・。







イザークは『安全祈願』と書かれたお守りを5つ購入した。


「お前の分だ。」


一つだけ赤い色のお守りをに手渡す。


「あ・・・ありがと。」




残りの4つは・・・

あえて聞かなかった・・・。


聞かなくても分かっている事だったから・・・。




このお守りをどうやって渡すのだろうかと考えたら少しおかしくて。


は小さな声で笑った。



イザークに気付かれないように・・・。










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