「・・・行方不明!?」
私達から30分程遅れてアスランがジブラルタルを発ったと言う連絡が入った。
・・・にも関わらず、アスランは1時間経過してもカーペンタリアには到着しない。
それどころか、通信一つ送って来ない・・・。
そんな最中、アスランの乗る輸送機からの通信が途絶えたという連絡が入ったのだった。
戦場の歌姫
ACT.6 動き出した想い
「アスランが・・・行方不明・・・?」
どうしてそんな・・・
カーペンタリアまでの道程はずっとザフト勢力圏内。
なのに行方不明・・・?
一体、どういう事なの・・・?
代表で詳細を聞きに行ったイザークを私とディアッカ、ニコルの3人は一室で待つ・・・。
窓からの景色に目を向けながら、私は視線を落とした。
地球の天気はプラントと違って調整されていない。
遥か先には暗い雨雲のようなものが見えた。
プシュー
そこへ、扉が開き、イザークが中へと足を進めた。
「イザーク!!アスランは!?」
誰よりも先にイザークに詰め寄ったのはニコルだった。
「ザラ隊の諸君!栄えある最初の任務が言い渡された。」
隊長代理を任されたイザークは、
にチラッと視線を送った後、口を開いた。
「・・・重要な任務だ。
・・・隊長殿の捜索である。」
アスランの・・・
その言葉に、ディアッカがククッと声を漏らした。
「そりゃ・・・ここだって忙しいワケだし?
自分達の隊長は自分達で探せって事??」
皮肉めいた発言をするディアッカをは軽く睨み付けた。
「・・・とは言ってももう日没だ。
捜索は明朝からかな・・・?」
イザークも嬉しそうに笑う。
そうだ・・・。
アスランに対しては挑戦的なイザーク。
突然の立場逆転で上機嫌そのものだった・・・。
そんな2人の様子に、ニコルとは深く溜息をついた。
「イージスに乗ってるんだ。ザフト圏内だし、そんなに心配はいらねぇよ。
じゃあ今日はこれで解散でいいんだろ?」
「あぁ、今日は宿舎に戻ってゆっくり休み、明朝またここに集合だ。」
イザークの言葉と同時に、ディアッカは踵を返して部屋を出て行った。
私もディアッカに続いて部屋を後にする。
イザークが何か言いたそうな表情だったが、
今はイザークと話をする気にはなれなかった。
アスランは・・・大丈夫。
アスランは一番優秀じゃない・・・。
イージスだってあるんだもの。
何があったって自力で回避出来る人・・・。
私が心配する必要なんてないんだから・・・。
そう自分に言い聞かせ、
宿舎へと足を運んだ・・・。
窓から見える夕焼けはとても眩しくて・・・
何だかとても切なく儚げで・・・
思わず涙が零れそうになってしまいそうだった・・・。
とにかく今は、彼の無事を祈るしかない・・・。