「え?アスランの輸送機、遅れるの?」




「あぁ、トラブルで少し遅れるって。
 先に行って待機しててくれ。」



こうしてアスランを残し、4人は先にジブラルタルを発つ事になった。



それぞれの輸送機に向かう。



私の機体は降下時にかなりのダメージを受けてしまった為、
カーペンタリアで新しい機体を手配して貰う事になっていた。



はイザークと一緒でいいんだろ?」


イザークとを気に掛けるディアッカはにそう問い掛けた。


「え・・・あぁ、うん。」


そう言われてしまったら断る事も出来ず、
は仕方なくイザークの元へと向かった。







戦場の歌姫

 ACT.6 動き出した想い










イザークの後を追って輸送機に乗り込む。


中は割と広かったが、乗るのは私とイザークだけ・・・。



私はイザークが腰を掛けたのを確認すると、
通路を挟んで反対側のシートに腰を下ろした。




丁度、窓からは基地が見え、輸送機を見送るアスランの姿が遠目に見えた・・・。





突然、私の背筋をゾクッと悪寒が走った。



何だろう・・・


嫌な予感がする・・・。





輸送機がゆっくりと発進し始め、
少しずつアスランの姿が遠くなって行く・・・。




少し遅れて出発するだけ。

後でジブラルタルで合流出来るじゃない・・・。



なのに、

この胸騒ぎは何なんだろう・・・?







もう、アスランの事は想わない。


そう心に決めた筈なのに、
何でだろう・・・

そう決めてからの方が、アスランを気にしてしまう。





、どうした?」



イザークの声に、はっと我に返った。


輸送機は既に基地を発ち、上空を真っ直ぐ進んでいた。


「あ・・・うぅん。何でもない・・・。」



「アスランが気になるのか?」



「・・・そうじゃ・・・ないよ・・・。」


イザークと2人なのにアスランの事を考えてしまうなんて失礼にも程がある。




「俺は別に気にしていないぞ。」


「え・・・?」



の気持ちが簡単に変わるなんて思っていない。
 別に俺に気を遣う必要もない・・・。」




この人は本当に変わった気がする・・・。



普段、アスランとのやりとりを見ていると、
年上の筈なのに年下に見えてしまう部分が多かったが、
今のイザークはまるで別人の様だった。


それ程に自分の事を想ってくれる人なんてそうはいないだろう・・・。





トクン・・・



静かにの胸が高鳴った。


自身もその胸の高鳴りに気付き、
そっと胸に自分の手を当てる・・・。





こんなに優しいイザークなんてらしくない・・・


でも、その優しさにどこかで安心している。










私・・・

このままイザークを好きになれるのかもしれない・・・。







少しずつでいい・・・


この人を見て行こう。



いつか、この人の事を愛せるようになるまで・・・。















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