「隊長!!納得出来ません!!」




作戦室にイザークの怒鳴り声が響く。


「イザーク!落ち着けって!!」



彼を制止しようとした私に代わって、ディアッカがイザークを止めに入った。






イザークが苛立つ気持ち、分からない訳ではないのだけれど・・・











戦場の歌姫

 ACT.6 動き出した想い














プシュー




依然、納得出来ない様子のイザーク。


そこへ部屋の扉が開く。



入って来たのはアスランとニコルだった。





「イザーク!!」


アスランとニコルは、イザークの額に刻まれた傷を見て驚愕した。






「隊長!!我々を足付きの追撃任務から外すとはどういう事ですかっ!!」


アスランの姿を見て、更に声を荒げるイザーク・・・。





「すでにカーペンタリアからモラシム隊が足付きの追撃に向かっている。」




そんなイザークをクルーゼ隊長は冷静にあしらうが、イザークも負けじと喰らい付く。





「隊長、俺も同じ気持ちです。」




意外にもディアッカがイザークに賛同した。

確かに、ずっと足付きを追って来たんだもの。


他の隊に任せるのは納得がいかないんだろう。


ディアッカも強い瞳で隊長に意見した。





「スッピトブレイクの準備もある。私は動けんが・・・
 君達だけでやってみるかね?」



少し考えてから隊長は言葉を発した。




「はい!!」


イザークが力強く返事する。




「ではイザーク、ディアッカ、ニコル、アスラン・・・
 そして、の5名で隊を結成し、指揮は・・・そうだな。
 アスラン、君に任せよう。」



「・・・え!?」



突如、隊長は振り返ってアスランに視線を送った。



明らかに動揺を見せるアスランに、隊長が微かに笑ったように見えた。


「色々と因縁のある艦だが・・・君になら出来るだろう?」




「・・・分かりました。」



「ザラ隊・・・ねぇ。」

「フン。お手並み拝見と行こうじゃないか。」



イザークは明らかに納得していない表情だったが、
隊長の指示に従わない訳には行かない。




「アスラン、あの約束は覚えているな?」


「・・・はい。」



あの・・・約束・・・?




「カーペンタリアで母艦を受領出来る様、手配しておく。
 すぐに移動の準備を始めたまえ。」











!!」


部屋を出た所で、アスランが私の名を呼んだ。



「久しぶりだな。無事で良かったよ。」


「・・・アスランこそ。降下作戦、疲れたでしょう?」




久しぶりに見る深緑の瞳・・・。


ずっと聞きたかった・・・その声・・・。



目の前に・・・アスランが居る・・・。




「降下して熱出してたんだって?
 もう大丈夫なのか??」



「うん。もう平気。完治したから。
 降下した時の摩擦熱でね・・・。」


「そうか・・・。」


「・・・イザークが庇ってくれなかったら死んでたからね・・・。」



「イザーク・・・が・・・?」


「うん。」



そう・・・。

イザークが私を守ってくれなかったら

私はこうしてアスランと再会する事なんて出来なかったんだ・・・。






!!荷物まとめてないんだろう!?
 行くぞ!!」



久しぶりのアスランとの会話をイザークが遮った。

さっき降下して来たばかりのアスラン、ニコルとは違い、
私達はしばらくここに滞在していた。

だから、荷物をまとめる必要があったのだ。


「あ、ゴメン!!今行く!!
 じゃ、アスラン。後でね。」



名残り惜しかったが、私はアスランに軽く手を振り、
イザークの後を追って駆け出した・・・。











「ようやく砂漠から離れられるのねぇ・・・。
 私、ここの暑さダメだわ・・・。」


「・・・情けないな・・・。この程度の暑さで。」


イザークからの告白があって以来、
少しイザークとの距離が縮まっていた。



イザークは前みたいに激しく怒鳴ったりしないし、
ちゃんと私の話も聞き入れてくれる。

不思議な感覚だったけど
イザークと居る事に違和感が無くなりつつあった・・・。




人はこうして・・・

受けた傷を癒して行くのだろうか・・・?













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