夢を見た・・・。



小さい頃の夢。



私とアスランとキラが3人で遊ぶ夢・・・。



私は小さい頃から歌うのが大好きで、
いつも2人の前で歌っていた。


2人は私の歌が大好きだって言ってくれて・・・。



その時だっただろうか・・・

歌手になりたい・・・


そう思ったのは・・・









戦場の歌姫

ACT.5 愛する事、愛される事













「うっ・・・」


熱い・・・



体が・・・熱い・・・




全身が引き裂かれそうに痛い・・・




思うように体が動かない私は、重い瞼をゆっくりと開いた。





「・・・気が付いたか・・・?」


私の顔を覗き込むディアッカ・・・。


前にもこんな光景あったっけ。

あの時はアスランだったなぁ。






「ディアッカ・・・ここは?」


目の前に広がる広い天井・・・。

それだけではここがどこなのかは認識できない。



「ジブラルタルだ。地球だよ。」


あぁ・・・


私、生きてるんだ。



「助かったみたい・・・だね。」


「近くにイザークが居なかったら死んでたぞ。」


「・・・うん。」






ディアッカが立ち上がり、医務室の通信回線を開く。



、目ぇ覚ました。」



それだけ言って通信を切る。

「今先生呼んだからさ、俺、飲み物取って来るわ。」


「うん。ありがと・・・。」






一人医務室に取り残される・・・。


まだハッキリしない意識の中で、宇宙での戦いの記憶が蘇る。



意識を手放す直前、確かに私の視界に見えたのはデュエルだった。



どう考えても、私のジン単独で降下していたら助かる筈が無い・・・。



私を助けてくれたのはイザークなんだ・・・。











プシュー



しばらくして、医務室の扉が開いた。



医師だろうと思った私は、そのまま布団の中から動かなかった。




「・・・気分はどうだ・・・?」



カーテンを開け、私の様子を伺ったのは医師ではなく、イザークだった。



「イザーク・・・。」



イザークの整った顔には包帯が巻かれていた。

そう言えば、怪我をした後に彼に会うのは初めてだった事に今来気付いた。



イザークはゆっくりとベッドの側に来て、椅子に腰掛けた。



「うん。だいぶ良くなったみたい。」


「そうか・・・。」


「イザーク、ありがとう。
 降下する時庇ってくれたの、イザークでしょう?」




私が素直にお礼を言ったら、
イザークは頬を少し赤くして顔を逸らした。



「・・・ジンなんかで降下して助かる筈がないだろう・・・。」



「そう・・・だよね。」


「全く・・・無茶するんじゃない。」


「うん。ありがと・・・。」




イザークとこんなに穏やかに話すのは久しぶりだった・・・。


相手が病人だからなのか・・・
いつもの気性の激しいイザークはどこにも無く、
とても穏やかな表情だった気がする・・・。






「イザーク・・・怪我は・・・大丈夫なの?」


「ん?あぁ、これか。」


私の問い掛けに、彼は片手で包帯に触れた。


「見た目程大した傷じゃない。
 最初は相当痛んだが今はもう痛みも無いしな・・・。」


彼が黙って私の目の前で包帯を外し始めた。


露わになった彼の片目を見て、私は言葉を失った。




彼の顔には・・・


その美しさに似合わない大きな傷が横切っていた・・・。













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