「いいな、アスラン、
 何があっても足付きを地球に降ろしてはならん。
 それまでに必ず落とすのだ。」



「「了解しました」」




足付きを追って、遂にここまで来てしまった・・・。

前方に広がる青い星・・・


母なる大地、地球・・・。



まだ踏み入れた事の無い未開の大地・・・。












戦場の歌姫

ACT.4 心の在り処













激しい戦火の広がる戦場に飛び出したら、
見覚えのある機体が激闘を繰り広げていた・・・。





「ニコル!!」


近くでメビウス部隊を相手にしていたニコルに合流する。



「イザーク、出ても大丈夫なの!?
 ストライク相手に怪我したって聞いたけど・・・。」




『本当なら絶対安静なんですよ。
 なのに言っても聞いてくれなくて・・・。
 あれだけ動けているのが不思議なくらいです。
 片目、見えてないんですよ!?』


そんな状態で何やってんのよ!!


つくづく、負けず嫌いな男なんだと痛感した・・・。


正直、ここまで来ると馬鹿だと思う。



「私、イザークの方行って援護するから。
 こっちはアスランとお願いね!!」


『分かりました!!』




ブリッツの背を向け、イザークの乗るデュエルが戦う方へと機体を急がせる。





「イザーク!!」


『・・・か!?』



「前に出過ぎよ!!落ち着いて!!」


『煩いっ!!ストライクが・・・ヤツが出て来なきゃ意味が無いっ!!』



そりゃ・・・プライドの高いイザークだもの・・・。


ストライクに乗っているのがナチュラルだと思い込んでいる彼にとって、
受けた傷は屈辱でしかないのだろう・・・。



「ストライクは出ないわよ!!
 メネラオスに守られてるじゃない!!」


足付きは月艦隊のメネラオスの後ろにピッタリと付き、動く気配が無かった・・・。

どうあっても地球に降ろすつもりらしい。




あの艦にキラが乗っていなかったら・・・


私は躊躇わずにあの艦を撃てたのだろうか。






イザークの性格は十分理解出来たつもりだった。

だからこそ危ないと思った。


イザークは熱くなると周りが見えなくなる傾向があって・・・。



放っておいたら何をしでかすか分からない・・・。



放っておけない・・・。




 

「イザーク、後ろから来る敵は私がやるから。
 前方の敵は任せたわよ。」

デュエルに背を向け、背後からの攻撃に備える。

『煩い!!俺に命令するな!!』


「これ以上犠牲者出したくないの!!
 黙って戦いなさいよ!!」



私の叫び声に返事は返って来なかった・・・。




イザークはの言葉に返事が出来なかった・・・。



ミゲルが撃たれた後、戻って来てすぐに倒れてしまった・・・。

恋人を失ってしまった・・・。

まだミゲルとの関係を勘違いしていたイザークは、
の叫び声に何も言えなかった・・・。




もう失うのは嫌だ・・・



彼女の叫びが耳にいつまでも残っていた・・・。









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