私が眠っていた3日間・・・
アスランが付きっきりで看病してくれていた。
その話を聞いて、正直嬉しかったと感じた私は不謹慎だと思う。
でも、アスランが私の為に何かをしてくれる事が心から幸せだった。
単純かもしれないけれど、そんな事で幸せを噛み締める事が出来るのなら、
私は十分幸せ者だと思う。
戦場の歌姫
ACT.4 心の在り処
「ごめんね。大変な時に迷惑かけて・・・。」
ようやく起き上がれるようになった私は自室に戻れる事になった。
部屋まで送ってくれたアスランをそのまま帰す訳にもいかず、
私は彼を部屋に招き入れた。
「仕方ないさ。だって色々と張り詰めてたんだろ?」
私に促され、アスランはベッドへと腰掛けた。
向かい合うように私も椅子に腰掛ける。
「アスラン、一つ聞いても良い?」
「ん?何だ?」
「どうして・・・あんなにムキになって出撃したの?
いつものあなたらしくなかった・・・。」
私の質問に、アスランの表情は一変して沈んでしまう。
「あ・・・話したくない事ならいいの。
ごめん。踏み込みすぎた・・・よね?」
「いや・・・にも関係の無い話じゃないし・・・
やっぱ、今後の為にも話しておいた方がいいと思う・・・。」
彼の言葉に私は首をかしげた・・・。
「私にも・・・関係のある事・・・なの?」
でも、明らかに良い話では無い事は分かり切っているから、
出来るものなら聞き流してしまいたい内容なのだろう・・・。
でも、それがアスランを追い詰める原因なら、
聞いておかないときっと気になって仕方が無い・・・。
「ストライクに・・・キラが乗ってた・・・。」
「・・・え・・・?」
キラ・・・
キラ・ヤマト・・・。
4つの頃、私とアスランは月へ留学していた。
アスランは身分を偽って・・・
私は名前を偽って・・・
アスランと私は兄妹として、月の幼年学校に通っていた。
私の名前は、・ザラだった・・・。
そこで出会ったのがキラ。
両親はナチュラルで、いわゆる一世代目のコーディネイター。
私達はすぐに意気投合し、仲良くなった。
アスランのお母さんは忙しい方で、私達はキラの家で遅くまでお世話になる事も少なくは無かった。
それくらい、いつも一緒に居た私達・・・。
けれど、戦争が悪化すると噂され、私達はプラントに呼び戻される事になった。
キラもすぐにプラントに来るものだと信じていた。
けれど、彼は来なかった・・・。
それが、3年前の出来事・・・。
「どうして・・・キラが・・・?」
「俺にも分からないよ・・・。
でも、確かにキラだったんだ・・・」
唇を噛み締めるアスランに、私は何も言えなくなってしまった。
実際に会って会話をして・・・
そして、剣を交えたアスランが言っているのだ。
大事な親友と・・・戦場で再会したなんて。
そんな悲しい現実があっていいのだろうか・・・?
私達は・・・また笑って再会する為に別れたはずだったのに・・・。