私の目の前で・・・



一つのコロニーが崩れてゆく・・・。




こんな光景を目の当たりにしたのは初めてで、



ただ、言葉を失ったまま、その残骸を見つめる事しか出来なかった・・・。


















戦場の歌姫

 ACT.3 消えゆく光に別れを・・・
















「これはどうなっているの!?
アスランは!?ミゲルとオロールは!?」







作戦開始から6時間・・・。



何が起こったのか・・・



ヘリオポリスが崩壊した。





何ともあっけないこの光景にただ言葉を失う。




人々が何ヶ月もかけて作ったコロニーは、いとも簡単に人の手で破壊されてしまったのだ・・・。









ヘリオポリスから何隻かの救命ポッドが飛び出す・・・。



市民は無事なのだろうか・・・?




中立国・・・



所詮は奇麗事だと言う人が多いけれど、
それでも戦争なんかしたくない。
そう思って中立を選んだ人間だって少なくは無い。


出来る事なら、私だって平和な世界で暮らしたい・・・。





そんな願いも虚しく、中立国のコロニーは崩壊した・・・。






















「・・・アスラン!?」




信号をキャッチしたのは数分後。




アスランは無事、ヴェサリウスへと帰艦した。




格納庫で待機していた私は、一番に彼の元に駆け寄る・・・。






「アスラン!!大丈夫!?怪我は無い!?」



見た所、アスランに目立った外傷は無い・・・。

それでも本人の口から聞くまでは安心出来ない・・・。




「あぁ、大丈夫。」


その言葉にホッとした後、私は続けて問い掛けた。





「ミゲルとオロールは!?
もしかしてこの混乱で別の場所に!?」





「・・・」





「・・・アス・・・ラン?」







「2人は・・・ストライクに・・・残りの1機に討たれた。」









「!?」









アスランの衝撃的な一言・・・



アスランが嘘を付く筈は無い・・・。




でも、嘘だと思いたい・・・。





ラスティだけでなく、ミゲルとオロールまで・・・?




そんな・・・













「隊長に報告に行かないと・・・」




「え、あぁ、そうね・・・。」





格納庫を出るアスランを追って、ブリッジへと向かう・・・。





一度に色んな事が起こり過ぎて、
心と体のバランスが取れない・・・。





分かっている・・・

分かっているの・・・。




私達がしているのは『戦争』

私達が居る場所は『戦場』





全ての人が無事で済む場所では無い。



私だってアスランだって・・・



明日、突然死んでしまう可能性だってある。



命の保障など出来ない場所・・・。







でも、あまりにも突然過ぎて・・・




数時間前に笑って別れたミゲル・・・。



あの笑顔が鮮明に蘇って来て・・・



もうあの笑顔に会えないなんて・・・




そんな事、信じられない・・・





信じたくなかった・・・。















 ACT.3 消えゆく光に別れを・・・
          
           end









【あとがき】

3章は流れに乗って一気に書ききってしまいました。

ミゲルぅぅぅ〜!!


ヒロインの兄貴的存在のミゲルがここで戦死。



はぁ、ヒロイン、どうなってしまうのでしょう??





ここからヒロインにはもう少し苦労してもらおうと思います♪






では、また4章でお会いしましょう☆




2005.1.15 梨惟菜









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