ラスティが・・・死んだ?
その事実がどうしても信じられなくて・・・。
私はただ、真っ暗な宇宙空間を眺めていた・・・。
宇宙の暗さは、人の心を沈ませるには十分すぎる暗さだった。
戦場の歌姫
ACT.3 消えゆく光に別れを・・・
「隊長!俺も出撃させて下さい!!」
珍しく激しい自己主張をするアスランを、
私は黙って横目で見守っていた。
ニコル達が戻った1時間後・・・
アスラン、ミゲル、オロールも無事に帰艦した。
それと同時に帰艦したクルーゼ隊長。
ネビュラ勲章を授与された経験もあるあの隊長が被弾して戻った事に、
一同は騒然とした。
そして、アスランのこの焦り・・・。
ヘリオポリスで一体何があったのだろうか・・・?
「君には機体が無いだろう?
ここはミゲルとオロールに任せたまえ。
、君には引き続いて緊急事態に備えてMSで待機してもらう。」
「はい。」
ミゲルとオロールは、残った1機を仕留める為、
再びヘリオポリス内部へと向かった。
奪えないのなら破壊してしまえ・・・。
アスラン達が奪取して来た機体のスペックを見たら一目瞭然だ。
たった1機でも、残しておくには危険すぎる。
クルーゼ隊長の判断は賢明だ。
やはり、ラスティの姿は無く、彼と2度と言葉を交わす事が出来ないのだと思うと、胸が締め付けられそうになった。
しかし、悲しんでいる場合では無い・・・。
ここは戦場なのだから・・・。
男も女も関係ない。
それを承知で私はこの領域に踏み込んだんだ・・・。
「・・・えっ!?」
私の機体の隣に並べられていたイージスが突如動き出し、
無心で居た私は思わず目を見開いた。
「・・・誰!?」
『アスランです!!、止めてください!!』
アスラン!?
「アスラン!!何をしているの!?
出撃命令は出ていない筈よ!?」
『頼む!!行かせてくれ!!』
アスランは私の制止も聞かず、外へと飛び出した。
隊長も諦めたのだろう。
ハッチはごく簡単に開かれた・・・。
今まで彼を見て来て、ここまで感情の高ぶったアスランは初めてだった・・・。
今から追って私のMSで間に合う筈も無い・・・。
私には祈る事しか出来ない・・・。
アスランが・・・
そして、ミゲルとオロールが無事に帰艦する事を・・・。