「笑っちゃう・・・。」
敵う筈が無い・・・。
相手はプラントNo.1の歌姫で・・・
最高評議会議長の一人娘・・・。
誰もが憧れる存在なのだから・・・。
戦場の歌姫
ATC.1 淡い淡い恋心
「はぁ・・・」
とても暖かい午後・・・。
何も予定のない私は、庭で一人、紅茶を飲んでいた。
春の陽射しがとても心地よくて・・・。
この時だけは全てを忘れてしまえそうだった・・・。
特に仕事も無く、淡々と過ごす日々・・・。
最初の頃はそんな穏やかな時間が嬉しかったけれど・・・
こうも何日も続くとそれも退屈で、午後はいつも庭で過ごしていた。
「様、旦那様と奥様がお呼びですよ。」
「・・・分かったわ。」
私は重い腰を上げて屋敷へと向かう。
特別な日でもないのに、両親が揃って私を呼ぶなんて・・・
あんまり良い予感がしない・・・。
そう・・・
その呼び出しが
私の人生を大きく変えるなんて思ってもいなかった・・・。
「・・・そう・・・ですか・・・」
「、分かっているとは思うけれど・・・。」
「勿論です。こればかりは仕方ありませんから・・・。」
アスランとラクスの婚約が正式に決まった・・・。
両親からその言葉を聞かされた時、頭の中が真っ白になった。
いつかはこういう日が来るとは分かっていたけれど・・・
心の準備なんて出来てない。
私の大好きな幼馴染が・・・
別の人と婚約して・・・
その人の夫になって・・・
家族を築いて行く・・・。
そんな事・・・
考えたくも無かった・・・
イヤ・・・
私の物にならなくてもいい・・・
ダレノモノニモナラナイデ・・・
「!!起きて大丈夫なの!?」
「えぇ。ご心配お掛けしました・・・。」
その日から3日間、私は寝込んでいた。
重い体・・・
起きたくても体が言う事をきかなくて・・・
その間にも、二人の婚約はプラント中に発表され、話題は二人の話で持ちきりだった・・・。
華々しい二人の門出に誰もが祝福する中で・・・
私の心だけがどんどん深みに嵌って行く・・・。
そして・・・
行き場を失くした私の想い・・・
消したいのに消せなくて・・・
どうして良いか分からなくて・・・
そして・・・
辿り着いた答え・・・
「母様、お願いがあります・・・。」
「なぁに?行って御覧なさい。」
優しい両親。
ずっと私を愛してくれて・・・
私の気持ちを尊重してくれて・・・
だから・・・
これから言う事はきっと二人を悲しませる・・・。
でも・・・
もう他に方法が無い・・・
「軍に・・・志願したいの・・・。」
ACT.1 淡い淡い恋心 end