「!久し振り〜!!」
「ミリィ!久し振り!明けましておめでと〜♪」
「風邪は大丈夫なの?」
「うん。お陰様で。散々な年末年始になっちゃったんだけどね…。」
年末に突然熱を出してしまった私…。
お陰で、皆と約束してたカウントダウンも初詣もパス…。
気が付けば年は明けて、ロクに遊べないまま冬休みは終わっていた。
「何か損した気分なのよね…休み丸潰れってカンジで。」
「でもホラ、すぐに試験で春休みじゃない?
春休みになったら旅行行こうって話してたのよ。」
「それいいね〜。行こう行こう♪」
「そう言えば…アスランとカガリは?」
もうすぐ授業が始まるのに、2人が現れる気配が無い。
「何かギリギリになるかも…ってメールあったんだけど…。」
ミリィも気になるのか、ドアの方に何度か視線を送る。
「あの2人ね、何か年末辺りから怪しいのよ…。」
「え…?」
愛情と友情のはざまで
9
「怪しいって…?」
「う〜ん。良く2人で出掛けたりしてるみたい。」
「そう…なんだ…」
その言葉に胸がドクンと高鳴る…。
「まぁ、ミリィはバイトで忙しかったし、俺も同居人の相手であんまり会えなかったからさ…。
は寝込んでたし…。」
2人だけ暇だったんじゃね?
ディアッカが私に目配せしながらそう言ってくれる。
本当にそうだったらいいんだけど…。
思わず目を伏せながら、私もドアに視線を向けた。
「ゴメン!遅くなった!!」
ちょうどその時、アスランとカガリが講義室へと駆け込んで来た。
「、久し振りだな。体調はもう良いのか?」
「あ…うん。お陰様で完治!」
一番にアスランが私に声を掛けてくれたのが嬉しくて、私はようやく沈んでいた顔を上げた。
2人が一緒に来たのは気になるけれど…。
アスランとカガリが並んで座る。
まるで当たり前の様に…。
「ね、最近2人、怪しくない?何か隠してるでしょ〜?」
私とカガリの気持ちを知らないミリィは、興味深そうにアスランとカガリに向かって聞く。
「「え…」」
アスランとカガリは一瞬動きを止めたが、すぐにカガリがミリィに向かって言葉を返す。
「あぁ…付き合う事になったんだ。」
…付き合う…?
アスランと…カガリが…?
「嘘ぉ!良かったじゃない!おめでとう〜!!」
「あぁ…ありがとう…」
決して私と視線を合わせようとしないカガリは、微笑しながら答える。
言葉が浮かんで来ない私は、どう反応して良いのか分からず、思わず机に目線を落とした。
アスランの好きな人って…カガリだったんだ…
あの日、私に言った言葉は…
カガリを想って言った言葉だったんだ…
「、久し振りに皆で寄り道して帰らない?
カガリとアスランのお祝いも兼ねて…ね?」
今日はちゃんと授業に集中出来ると思ってたのに…
2人の交際宣言を聞いてしまった私は案の定、上の空だった。
今日も白紙のノート…。
「ごめん…今日は行かなきゃいけない所があるんだ…。」
「そっか…じゃ、また今度ね。」
「うん、またね。」
4人に軽く手を振ると、アスランとカガリの姿を見ない様に背を向ける…。
その場から早く立ち去りたかった私は、小走りでカレッジを後にした。
「!!」
カレッジの門を抜け、一度立ち止まった私をカガリが追って来ていた。
「ゴメン…私…言おうと思ったんだが…
その…なかなか言い出せなくて…。」
謝らないで…
カガリが悪いんじゃない…
だから嫌なの…
誰が悪い訳でもないから嫌なの…。
誰かのせいにしたいのに出来ないから嫌なの…。
「良かったじゃない。気持ちが通じて。」
「でもが…」
「私なら気にしてないって。
ホラ、元彼とやり直すかも知れないし…。
だから早く戻って。皆が待ってるよ。ね?」
「あぁ…じゃあまた明日…」
「元彼とやり直すかも知れない…だってさ…。
何言ってんだろ…。」
バカみたい…。
キラにハッキリ断るって決めたくせに…。
アスランが好きだから、失恋してもキラとやり直す事は無いって言うつもりだったくせに…。
このままじゃまたキラに縋っちゃいそう…。
「おめでとう」だなんて、嘘でも言えなかったの…
認めちゃうのが嫌だったの…。
「ふっ…うぅ…っ…」
人通りの少なくなった帰り道で、堪えきれなくなった私は声を押し殺して泣いていた…。
友達と同じ人を好きになって…
その人と友達が両想いになって…
目の前で幸せそうにしている姿なんて見たくないよ…
毎日そんな光景を見るなんて耐えられないよ…。
誰か…誰か助けて…
こんなに苦しい想いをするくらいなら…
いっそ、アスランの事なんて忘れてしまいたい。
出会う前に戻ってしまいたい…
「…キラ…?」
重い足取りで家まで辿り着くと、玄関先にキラが立っていた。
「キラ…何して…」
「電話、何回掛けても繋がらないから…会いに来ちゃった。」
「あ…私、電源切ったまま…」
私の姿を見つけて安堵したのか、キラは笑顔で駆け寄って来た。
「!?何かあったの!?」
泣き止んではいたものの、涙で目元が赤く腫れたままで…。
その顔を見てキラは驚愕する。
「や…ちょっと失恋しちゃって…」
「それって…」
「アスランね、私の友達と付き合う事になったみたい。」
そう言った瞬間、瞳から再び涙が溢れ出た。
言葉にして言ってしまったら、それが本当なんだって痛感しちゃって…
本当は、まだ信じたくないのに…。
それでも受け入れなくちゃいけない現実…。
「……」
キラから伸ばされた手が私を抱き締めようとする…。
「キラ…止めて…」
その手を拒んだ私は、視線を地面へと向けた。
「私…キラに言おうと思ってたの。
どんな結果になったとしても、キラとやり直す事は無いから…って。
だから…もう終わりにしよう?ね?」
「でも…傷付いたを放ってはおけない…。」
「キラ…止め…」
「これは僕の我が侭でやってる事だから…。」
そう言われ、伸ばされた手を拒む事が出来なかった…。
キラは、壊れ物に触れる様に、私を優しく抱き締めた…。
「辛い時には、誰かに縋ったって良いんだよ…。
勝手な事かもしれないけど…が傷付いてる時には側に居てあげたいんだ…。」
「キラ…っ…」
どうしてこんなタイミングで現れるの…?
どうして私なんかに優しくするの…?
もう…これ以上、優しくしないで…
その優しさが辛いの…。
キラの気持ちには応えてあげられないから苦しいの…。
【あとがき】
すっげぇ急展開…
私自身もビックリしてたりして…。
でも、あんまりダラダラ書いてたら終わらない気がしたんですよ…。
あぁ…反アスカガ派の方々の視線が痛いぃぃぃ…
これからの展開を考える上で必要だと思ったので、今回はやむを得ずくっつけてしまいました(汗)
出来れば苦情は…遠慮してください…(笑)
ここまで読んでくださってありがとうございました。
今後の展開としては、反アスカガさんに満足して頂ける様な展開をご用意してお待ちしておりますので、
どうか見捨てないでやってくださいませ!
2005.4.24 梨惟菜