「!!」
クリスマスの装飾で華やかさを増す街を1人で歩いていた休日の午後…。
偶然にもディアッカと遭遇した。
「珍しいね。1人?ルームメイトは?」
「何か今日機嫌悪くってさぁ…。逃げて来た。」
「ディアッカも大変なんだねぇ…。」
「こそ1人?暇だったらその辺の店入らないか?」
「…いいよ。ちょうど買い物も終わった所だし。」
愛情と友情のはざまで
2
「それ、クリスマスプレゼント?」
喫茶店に入り、隣の椅子に置いた紙袋を見てディアッカが問う。
「そ。色々悩んでやっと決まったの。
ディアッカはもう買った?」
「まだ。結構難しいよな。男でも女でも使える物選ぶのってさ。」
「だよね〜。」
今年のクリスマスは5人でパーティーをする事になっている。
定番だけど皆で一つずつプレゼントを用意して交換しようって話になって…。
アスランに当たったらいいな…って考えながら選んじゃった自分が情けない。
「それ、誰に当たって欲しくて選んだ?」
私の心を読んだかの様にディアッカが問い掛けてきたから、思わず飲んでいた紅茶でむせてしまった。
「ゴホッ…な…」
「悪い。気になったからつい…さ。」
もしかして…
「まぁ…あえて口に出すのも何だから言わないけどさ…。」
…気付いてるんだ…
「…私、分かり易い?」
ようやく咳が治まった私は落ち着いて聞き直す。
「いや…そんな事も無いんだけどさ。
何となくそうなんじゃないかなぁ…って見てたから。」
「まぁ…今の段階ではどうこうするつもりは無いんだけど…ね。」
「もしかして、カガリに遠慮してる?」
「…カガリの事も知ってたの!?」
「いや…あいつは分かり易いから…。」
「遠慮してるってワケじゃないんだけど…。」
「じゃ、何?」
「友達のままでいられなくなったら…イヤじゃん?」
それは…アスランは勿論、カガリとの事も含んでいるワケで…。
そこが友達の難しい所なんだと思う。
この事が原因で5人の友情に亀裂が入ったりしたらイヤだし…。
「そりゃまぁ…そうだよなぁ…。」
クリスマス…か。
また蘇る去年の記憶…。
去年は彼と2人で過ごしたっけ。
プレゼントに指輪をくれて…。
でもそれが薬指には緩くて中指のサイズで。
交換して来るって彼は言ってくれたけど、初めてのプレゼントだったからこのままがいいって言った私。
『来年のクリスマスにはちゃんと薬指のサイズの、プレゼントするから』
そう言ってくれたっけ。
来年のクリスマスは無かったけど…。
あの時の彼の困った顔がすごく可愛くて…。
ずっと一緒に居られたらいいなぁ…って思ったっけ…。
こんな事思い出しちゃうなんて私も女々しいなぁ…。
「?」
「あ…ゴメン。」
「どうした?ボーッとしちゃってさ。」
「去年のクリスマスの事、考えてたの。
ディアッカも去年は元カノと過ごしたんでしょ?」
「あ〜。そうだなぁ。
クリスマスなんだから贅沢したいって高いレストラン奮発した記憶が…。」
「今年は皆一緒だけど…来年は一緒に出来るか分かんないんだよね…。」
喫茶店の窓から見える並木道に視線を移す。
先月は黄色い葉で染められていた木も今は散ってしまい、その面影は無い。
冬って人肌恋しくなる季節なのかなぁ…。
カレッジに入ってから最近までは、彼の事、忘れてた筈なのに…。
「なぁ…」
「…何?」
「がアスランの事好きになったのっていつ?
何がきっかけなワケ?」
ディアッカの質問に、は顔を正面に向け直した。
「夏休みの終わり頃、きっかけは元彼との再会。」
「そりゃまた…穏やかじゃない話だな…。」
「でしょ?まさか街で偶然再会するなんて思ってなかったから…。」
飲み干して空になった紅茶のカップを突付きながら私は微笑んだ。
「ねぇディアッカ、まだ時間ある?」
「ん?まぁ…特に用事があるワケでもなく出て来たんだし…。」
「じゃ、ちょっとだけ、私の昔話に付き合ってもらってもいい?」
「いいぜ。何か面白い話、聞けそうだし。」
「じゃ、もう1杯頼もっか。私の驕り。」
「マジ?ラッキー♪」
ディアッカは嬉しそうにメニューを開いて物色を始めた。
【あとがき】
何となく書いたたらアスランが出て来なかった。
ヒロインの回想ばっかです。
やっぱり今回もディアッカが相談役になっちゃってるし…。
いい奴だなぁ…マジ。
私、もし真剣に恋人として選ぶなら、アスランの次にディアッカがいいかもしれません。
何だかんだ言って大事にしてくれそうだ。
2005.4.13 梨惟菜