『写真の意味が知りたいんだ…。』




その言葉に対しての返事に戸惑う


それもその筈。


簡単に口に出せる答えであれば、当の昔に告げている。



それが言えないから…

それが言えたら…



私達の関係はどんな物に変化してしまうのだろう…。





今までの関係が壊れてしまうのは嫌…

アスランを失うのは嫌…



だったらいっそ…ずっとこの想いを封じ込めて…

友達として接して行く方がいい…。



でも…この状況では私のそんな意地もそろそろ終わりなのかもしれないと悟った。





















愛情と友情のはざまで


    14
























「アスランだったら…どう思う?」



「え?」



「手帳から自分の写真が出て来たら…普通はどう感じるもの?」



「それ…は…」




自分はが好きだから…

もしも同じ気持ちならば…嬉しいに決まっている。



でも、実際には未だ明らかにされていない、の心の内。





知りたい…

でも、知るのが怖い…












「アスランが…好きよ。
 だから、写真を大事に持ち歩いてた。」



意外にもアッサリと口に出せた、アスランへの想い…。




「本当…に?」


問い返すと、今度は黙ったまま、首を縦に振った。





「でも…気にしないでね。私は…今の関係、壊したくないから。
 今まで通りに接して欲しいの。」



「え…?」




「確かに…カガリとの事はショックだったけど…。
 でも、私の気持ちに遠慮してカガリと距離を置くなんてダメだよ?」



「ちょ…ちょっと待ってくれ!」


「…?」




は…俺の好きな相手がカガリだと勘違いしてるのか…?



「俺とカガリはそんな関係じゃない!
 少なくとも、俺はカガリに対してそんな感情は持ってないんだ。」



「アスラン…痛いっ…」



「あ…済まない…」



思わず興奮しての肩を思い切り掴んでしまっていた。


はその痛みに顔を歪める。







「俺が…俺が好きなのはなんだ…。」



「…え?」



何を…言ってるの…?



「ちょっと…冗談は止めてよ…」


「冗談なんかじゃないさ…」



「嘘っ!」


「嘘じゃない!!」





アスランと視線が合う。



真剣な瞳…


その目を見れば、冗談なんかじゃないって事はすぐに分かった。



でも…


ならどうして…





「だったら…どうしてカガリの恋人のフリなんて引き受けたの!?」


「そ…それはっ…」





の好きな人が自分だとは思ってなかったから…




「帰る…。」



突如、ベッドから起き上がったは、フラフラとした足取りで医務室を出ようとする。



…まだ寝てた方がいい…。」


「離して…」



引き止める為にアスランが掴んだ手首を振り解こうとするが、びくともしない。



「嫌だ。離さない。」


「アス…」


その手を引いて、アスランはを胸の中に抱き寄せる。








「好きなんだ。彼に…渡したくないんだ…。」



彼…

キラの事…?




の好きな人にずっと嫉妬してた。
 の側に居る昔の恋人に嫉妬してた…。」


を抱き締める腕の力が次第に強くなっていく。


息苦しいのは、きっとそれだけのせいじゃない。




が好きだと言ってくれるなら…何があってももう離さない。
 嫌だって言われても側に居る。」














涙が零れた…。






悲しいから…?


嬉しいから…?




自然と流れる涙の理由が分からない…。


でも、これだけは言える。






アスランの腕の中は安心する。



好きな人に抱き締められて、いつもよりも確実に高い心拍数。


でも、アスランの心音と自分の心音が心地良い音を奏でて…。



ずっと…こうしていたい…。






「そんなの…ずるい…。
 そんな事言われたら…離れられなくなっちゃう…。」




その存在を確かめるように、もまたアスランの背中へと腕を回した。




「離れなくていいさ…。」





















結局、日が暮れるまで医務室に居た私達…。


外に出た頃には、構内にはほとんど人は残っていなかった。




先に立って歩くアスランは、の手をしっかりと握ったまま…。


アスランの手から伝わる温もり…。







『すき…』



「ん…?何か言った?」


「ううん。何でもない。」



アスランに聞こえないように、小さな声で呟いた一言には頬を染める。


再び前を向いたアスランの頬も同じ色に染まっていた。




ちゃんと聞こえたよ……。




















ピルルルルッ…





「…の携帯じゃないか?」



「あ…」


ゴソゴソとカバンを探ると、確かに中からコール音が聞こえる。




『着信:キラ』



画面を見たまま、電話を取ろうとしないにアスランは首を傾げる。



?電話、誰から…」

「…キラから…」



ピッ…



は電話を取る事無く、そのまま電源を落とした。


「ちゃんと話しなくちゃ…って分かってるんだけどね…。
でも…今はこうしていたいから…。」



は再びアスランの手をギュッと握り返す。


恥ずかしさのあまり、前を向けなくなったは俯いて歩き出した。





の仕草に愛しさを感じながら、アスランはの手を引いて再び歩き出す。












明日…キラに会ってちゃんと話そう。


私の今の気持ち…全部話そう。




それがキラを傷付ける結果になってしまうとしても…。
















【あとがき】


書きたい事が頭の中でグルグルと回って混乱しております。

文字にまとめるのに一苦労。

無事に互いの想いを打ち明け合った2人なんですが…

次は遂にアスランVSキラになる予定…です。





2005.5.8 梨惟菜




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