ここは戦場…



 たくさんの悲しみを生み出す場所…




 そんな場所で、大切なたった一人の人と出会えるなんて、思ってもみなかった。














 Four Hearts

    プロローグ(Boy’s Side)



















 「皆さん、聞きましたか?」





 ラウンジで休憩を取る赤服達。


 笑顔で現れたのは一番年下の少年、二コル。



 フワリと髪を揺らし、嬉しそうに話す。






 「話の筋が見えんのに分かるか!」





 一番の年長者であるイザークは不機嫌そうに返す。



 確かに正論ではあるのだけれど、隣に座るアスランは少し理屈っぽく感じていた。





 「何か面白い事でもあったのか?」




 「えぇ、今度入って来る赤服の事なんです。」




 「あぁ…新人?そう言えばクルーゼ隊長が言ってたな。」




 褐色の青年、ディアッカは読んでいた雑誌から目を離し、視線を向ける。









 「で?その赤服がどうしたんだ?」




 「女の子らしいんですよ。しかも4人。」





 「「女ぁ!?」」




 同時に叫んだのはイザークとディアッカ。




 言葉のトーンは正反対であったが…。








 ディアッカは嬉しそうに顔を綻ばせ、逆にイザークは不機嫌そうな表情になる。







 「この女好きが!!ヘラヘラするなっ!!」





 「何だよ…イザーク、硬いよな。それくらいの楽しみがあったっていいじゃん?」



 根が真面目なイザークはどうもこの手の話が好きでは無い。



 見た目、相当な美形なだけに、言い寄ってくる女性はそれなりに多いが、それもその気が無ければ迷惑な話。








 「赤を着た男女がそれぞれ4人…ちょっとしたドラマじゃねぇ?」




 「はっ!下らん事を…」




 「まぁまぁ、落ち着いて下さいよ、イザーク。」




 「ディアッカもそれくらいにしておけ。」





 結局、2人の仲裁をするのがアスランとニコルの仕事。



 特にイザークが怒り出してしまうと手が付けられないから厄介。









 「第一、アスランには婚約者が居るんですし…。そんなドラマ、あり得ませんよ。ね?アスラン。」





 「…あぁ、そうだな。」





 結局、アスランも然程興味無さそうに淡々と返した。





 「でも所詮は親同士が勝手に決めた婚約者だろ?それでいい訳?

  んなもん、本気で他の女に惚れたら後々厄介だろ?

  それとも…ラクス嬢の事、本気で惚れてたりする?」





 「いや…俺は別に…」





 「まぁ、確かに可愛いけどな。可憐で守ってあげたくなるっつーか…。」





 守備範囲の広いディアッカはどんな女の子でもとりあえず恋愛の対象として見れるらしく…


 ニヤニヤと笑みを浮かべながらアスランを見た。





 「でも確かに…ディアッカの言う事も一理ありますよね。」






 「ふざけるなっ!女とじゃれ合っている暇などあるか!!」






 一連の会話を黙って聞いていたように思われたイザークは突如怒り出し、ラウンジを後にした。




















 「どうしてすぐムキになるかねぇ…。」





 「イザークにもその内、好きな人が現れますよ。」




 「相手の女性が可哀想だな…。」





 「イザークはともかく、楽しみが出来て嬉しいぜ。」




 ニヤリと笑うディアッカに不安が過ぎるアスランとニコル。




 「ディアッカ…4股だけは絶対に止めて下さいね。」



 「…決まってるだろ?」


















【あとがき】





初めて夢小説を書こうと思った時に浮かんだ作品です。


最初だし、ザフト4人全員が主人公の話が書きたいなぁ・・・と思いまして。


このシリーズは4部構成となっております。


各キャラが主人公の物語にする予定です。


今回は4人サイドのエピローグ的な話にしてみました。


次は主人公サイドを書きます。


まだ絡みはありませんが読んでいただけたら幸いです。











2004.12.21 梨惟菜










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