出会ってはいけなかった・・・。
惹かれ合ってはいけなかった・・・。
けれど・・・
もう、後戻りは出来ない・・・。
私達は出会ってしまったから・・・。
7Days Love
<<4>>
「はい、こっち終わったよ!!」
「マジ?早いって!!」
「パソコンは得意だからね。」
翌日も3人は仕事部屋に籠って書類の処理に追われていた。
朝になって更に追加された仕事・・・。
その仕事に手が付けられるのも、昨日大方の仕事を片付けていたから。
今日もの手伝いのお陰で順調に仕事は進んでいた。
「ね、そろそろお昼にしない?お腹空いちゃった。」
「・・・そうだな。今日はだいぶ余裕があるし・・・。」
「じゃあ私、外行って買って来る。近くに美味しそうなパン屋さん見つけたの♪」
は嬉しそうにコートを手に取ると部屋を飛び出した。
「ホント・・・凄いよな。さっすがモルゲンレーテの技術職員?」
「あぁ・・・。」
仕事は速いし要領も良い。
いつもクルクル忙しそうに走り回っていて・・・
見ていて飽きない。
部屋にはの甘い香水の残り香・・・。
その香りがイザークの鼻を霞める。
「この分だと、明日は俺だけでも十分片付きそうだな。
イザーク、明日は休み取ってとデートでもして来いよ。」
「お前一人に任せられるか。」
「大丈夫だっての。それよりもに悪いだろ?
せっかく休暇取って来てんのにここでも仕事。少しはプラント案内してやれって。」
ガチャ・・・
「何?私がどうかした?」
丁度そこへ戻って来た。
両手には大きな紙袋が2つ。
「すごい量だな・・・」
「うん。昨日も結構食べてたから、これくらいイケるでしょ?」
いや・・・が張り切って作ってくれたから残す訳にはいかないだろ・・・
そう思って全部食べたのが失敗だったか・・・。
「で、何の話してたの?」
色とりどりのパンにの淹れたコーヒー。
それらを囲みながら始まったランチ。
「あぁ。思ったより仕事が早く片付きそうだからさ、
イザークに明日から休み取ったらどうだって話してたんだ。」
「・・・そうなんだ。」
「もせっかく来てんのに振り回してばっかで悪いし。
イザークにプラント案内して貰えよ。初日に案内してやれなかったしさ。」
「でも・・・」
は横目でイザークを見た。
4日間イザークと一緒に過ごして、何となく把握しつつある彼の性格。
仕事をディアッカに任せて休みを取るなんて、彼のプライドが許すのだろうか・・・。
「・・・そうだな。たまにはディアッカに押し付けるのも悪くない。」
イザークの口から出た言葉は意外なものだった。
「もう8割方終わってるんだ。貴様でも明日一日あれば十分片付くだろう?」
「ま、それくらいはね・・・。」
「なら、明日はお前の行きたい場所へ連れてってやる。」
「・・・いいの?」
「あぁ。俺で良ければどこでも案内してやるぞ。」
口元を緩め、微笑しながら答えるイザークに、の頬が少し赤く染まった。
「じゃあ・・・よろしくお願いします。」
「どこへ行きたいか考えておけ。」
「うん。」
「ホント、2日も引っ張り回して悪かったな。」
「ううん。結構楽しかったし。」
「着いたぞ。ここでいいのか?」
「うん。」
明日から休みを貰う為、もう少し仕事を片付けてから帰ると言うイザークを残し、
はディアッカに頼んで書店へと連れて来て貰った。
「何買うんだ?」
「・・・ガイドブック。」
明日イザークに案内して貰う場所の下調べか・・・。
「こっち。」
ディアッカに案内され、ガイドブック売り場の前で立ち止まる。
種類も豊富ではその場で考え込んでしまった。
「・・・どれがいいかなぁ・・・。」
「これがいいんじゃねぇ?最新号って書いてあるし・・・。」
「あ・・・いいかも。」
ディアッカが手に取った本を見たは一目で気に入り、それをレジへと持って行った。
そんな嬉しそうなの表情を見ながら、ディアッカは複雑そうに見送った。
次第に惹かれ合い始めた2人・・・。
今まで寄って来る女はことごとく拒否し続けたイザークが始めて興味を示した女。
「運命って奴なのかな・・・。残酷だな・・・。」
喜ばしい事なのに、これから先の事を思うと素直に祝福出来ない・・・。
「ディアッカ!お待たせ!!」
「ん?あぁ。じゃ、戻りますか。」
は買ったばかりの本を大事そうに抱え、エレカへと乗り込んだ。
【あとがき】
今回はヒロインとイザークの絡みが少なかったです。
何やらディアッカはヒロインに隠された秘密を知っている…?
みたいな雰囲気醸し出してます。
ディアッカはこのお話ではかなり重要な存在なので、これからも頑張って貰おうかなぁ…と。
ようやく折り返し地点までやって参りました♪
ここまで読んでくださってありがとうございます。
続きも読んでいただけると嬉しいです。
2005.3.21 梨惟菜