出会ってはいけなかった・・・。
惹かれ合ってはいけなかった・・・。
けれど・・・
もう、後戻りは出来ない・・・。
私達は出会ってしまったから・・・。
7Days Love
<<3>>
『様、通信が入っております。』
3日目の朝・・・。
私を起こしたのはディアッカからの通信だった。
「朝から呼び出しちまって悪いな。」
「いいよ。どうせ暇してたし・・・。」
ディアッカに呼び出されたは評議会へやって来ていた。
「で?何なの?」
「まぁ、いいから付いて来てくれよ。」
ディアッカに連れられ、一室へ通される。
その部屋に入った瞬間、は絶句した。
部屋自体は綺麗だし高級。
けれど、床や机、棚には書類や書籍が山積みになっていた。
まるで迷路かと思ってしまうくらいの状態で、歩くのも一苦労。
「何・・・ココ・・・。」
「イザークの仕事部屋。」
「は!?」
そこへ、奥から両手一杯に本を抱えたイザークが現れた。
「済まんな。ディアッカがどうしても連れて来ると聞かないからな。」
「当たり前だろ。一人でも多い方が助かるじゃん。」
「・・・何の話?」
そう言うと、ディアッカは紙切れをの前に突き出した。
「この書類、がやったんだろ?」
「え・・・?あぁ・・・そうね。」
確かに昨日、私がイザークの寝ている間にやった物だ。
「頼む。この仕事、手伝ってくれないか?2人だとなかなか追い付かなくてさぁ〜。」
「それは貴様がフラフラしているからだろう!?」
「そう言っての迎えや相手をさせてるのは誰だよ・・・。」
2人の口論にはクスクスと笑いを漏らした。
「いいよ。どうせ時間も持て余してるし。私に出来る事であれば何でも言って。」
「助かったぜ!じゃ、早速、そっちの机の書類、頼むわ。」
「・・・コレ・・・全部・・・?」
「ふぅ。これで8割方終わったかな・・・?」
気が付けば時刻は18時を指していて・・・
部屋の窓からみえる夕焼けがプラントを赤く染めていた。
「・・・お昼食べるのも忘れてたね・・・。」
「だな・・・。食事に行くか。」
「あ・・・待って。」
上着を羽織り、出掛ける支度するイザークをが制止した。
「・・・どうした?」
「イザーク達って、いつも外食なの?」
「あぁ、今は一人暮らしだからな。」
「それじゃ体に良くないわよ。今日は私に作らせて?」
「いや・・・しかし・・・」
「気にしないで。こうやって招待してもらって、高いホテルに泊まらせてもらって。
食事まで毎日ご馳走になってたら悪いもの。」
「じゃ、お言葉に甘えようぜ。な?」
ディアッカの一言で、話はまとまった。
「・・・綺麗に片付いてるのね・・・。」
初めて訪れるイザークのマンション。
仕事場もこれくらい綺麗に整理すればいいのに・・・。
「ここは帰って寝るだけの場所だからな。散らかしようが無い。」
それだけでこんな高級マンションに住むのか・・・。
ディアッカの言った通り、相当のお坊ちゃまらしい。
「じゃあ、すぐに作るから座って待ってて。」
帰り道で買い揃えた食材を受け取り、はキッチンへと入った。
「お前さ、と・・・どうなの?」
「何がだ・・・?」
「何がって・・・それなりに気持ちがあるから呼んだんだろ?」
キッチンに立つの後姿を見ながら、イザークに問い掛ける。
「純粋に礼がしたくて呼んだだけだ。」
「それで1週間・・・ねぇ。」
「何が言いたい?」
「いや、別に?!何か手伝おうか!?」
眉間にシワを寄せるイザークから逃げる様に、ディアッカもキッチンへと足を進めた。
「じゃあ、お皿出して貰える?」
笑顔で手際良く料理を作るの姿に、イザークは目を細めた。
普段、自分でさえまともに使った事のないキッチンに、こともあろうに女が立っているなんて・・・。
どこか不思議な気分だった・・・。
「はい。大した物は作れなかったけど・・・。」
そう言いながらも、テーブルの上には色鮮やかな料理が並んだ。
「うわ・・・手料理なんて久しぶり♪」
「味の保証はしないからね。」
少し作り過ぎたかな・・・?
そう心配しただったが、男性2人には丁度良い位の量だったらしい。
料理は一つ残らずイザークとディアッカの胃袋へと入った。
カラカラ・・・
一人テラスで夜風に当たるイザークの背後で、窓の開く音がする。
「良い眺めね・・・。」
「あんまりゆっくり見る事は無いがな・・・。」
イザークの隣に立ったは、そこから見える夜景に目を細めた。
「今日は済まなかったな。料理、美味かった。」
「そう言って貰えて光栄です。」
嬉しそうに微笑みを返す。
「ディアッカは?」
「TV観てる。観たい番組があったんだって。」
「そうか・・・。」
「一つ・・・聞いてもいいか?」
「なぁに?」
「オーブで・・・アスラン達と一緒に暮らしていると言っていたな?」
「あぁ、うん。ちょっと離れた小島でね、のんびり出来る所なのよ。」
「家族は・・・?」
イザークの問い掛けに一瞬、の動きが止まった。
「・・・どうした?」
「・・・両親と妹が居たんだけど・・・戦争で死んだの。」
寂しげに言葉を放つにイザークはハッとした。
「済まない・・・」
「ううん。大丈夫。」
「だから・・・今の平和を守りたいの。もう、誰も傷付く事の無いように・・・。」
「そうだな・・・。」
再び景色に目を向けると・・・
流れ星が一つ、静かに流れて行った・・・。
【あとがき】
1日ずつまとめて行くのって結構難しい…。
どうも心の微妙な揺れ動きを表現するのが難しいですね。
今回は手料理ネタでw
イザークって、自分の家のキッチンに人が立つのは気に入らないってイメージが…。
それを今回崩してみました♪
まぁ、あくまでも梨惟菜のイメージだけど…。
では、4話も読んでいただけると嬉しいです♪
2005.3.20 梨惟菜