失って気付く、大切な物の愛おしさ・・・




でも、二度と戻る事の無い幸福な日々をただ悔やむばかり・・・





あなたを心から愛して・・・


あなたに心から愛されて・・・







そして、その手を離してしまったから・・・





もうあの頃には戻れないのだろうか・・・















7Days Love


   <<4>>



















もしもまだ、望みがあるのなら・・・。




そんな甘い考えを抱きながら、を想い目が覚める俺が居た。





時計は5時を指している。


昨日よりも1時間早く目が覚めた。





ゆっくりと体を起こしたイザークは、静かに部屋を出た。







バタン・・・









玄関のドアが小さな音を立てて閉まるのが聞こえた。



恐らくはだろう・・・。



こんなに早く起きて出掛ける人間は彼女しか居ない。




イザークは後を追う様に外へと出た。

















「寒・・・」



珍しく曇り空の朝。



少し冷たい風がの頬を刺す。



羽織っていた上着のボタンをしっかりと留め、は小型機に向かって歩く。






彼が・・・イザークが来てからの3日間、どうしても眠れない・・・。



まだ仕事に行くには早い時間だけれど、イザークと顔を合わせるのが気まずくて早く出ていた。



考えても思い浮かばない、イザークがここへ来た理由。




プラントではあんなに忙しそうにしていた彼なのに、のんびり休暇を取って旅行などしていていいのだろうか?



それも、わざわざ私の住む島へ・・・。




分からないイザークの真意に悩むは毎晩なかなか寝付けない。














・・・」


小型機に乗り込もうとしたを誰かが呼び止める。



低めのトーンに、の肩が僅かに動いた。



ゆっくりと振り返ると、風に揺れる銀糸が目に飛び込む。











ここへ来て、初めて彼の口から出た自分の名前・・・。



心臓が大きく跳ねたのが自分でも良く分かった。






「お・・・はよう。早いのね。」



も・・・毎朝早いんだな。」



視線を合わせるのが気まずくて、は伏し目がちになってしまう。


そんな戸惑いを見せるにイザークは眉を寄せながら続けた。




こんな顔をさせたいんじゃない・・・。


ただ、あの時のように笑った顔が見たいんだ・・・。


そう素直に言葉に出来たらいいのに、それが思うように行かない。




散々傷付けて突き放した相手が、まだ自分を想ってくれている筈もないから・・・。




一度壊れてしまった心を元に戻すのは容易い事ではない。




見えない相手の想いに互いの心は揺れる。






『もう、終わった筈の想いなのに』・・・と。








「気を付けて・・・な。」



そう告げると、イザークは素早くに背を向けた。



わざわざ・・・それだけの為に追って来てくれたの・・・?



風に揺れる銀色の髪に、は目を細めて微笑した。




「ありがとう・・・行って来ます。」



イザークには聞こえない小さな声で呟く。






















「イザーク、そろそろ島にいるのも退屈してきたんじゃないか・・・?」




の居ない朝食の最中、アスランが思い立ったように口を開く。




「急に何だ・・・?」


「これから用事でオノゴロに行くんだ。一緒に行かないか?
モルゲンレーテにも用事があるし・・・。」




モルゲンレーテ・・・。


が働く場所・・・。




「このままじっとしてても何も変わらないだろ?
それに、の働く姿を見るチャンスなんて滅多にないと思うけど・・・?」



「そうですわね。いい機会ですわ。行かれては如何でしょう?」



ラクスも迷うイザークを後押しする。


「しかし・・・。」


「ちょうどお買い物をお願いしたいと思っていましたの。
けど、アスランだけでは荷物も多いですし・・・。
お買い物、お願いできませんか?」
















結局、ラクス嬢に後押しされオノゴロに向かっている。



以前、潜入調査で島へ入った事があったが、その平和な様子には驚くものがあった。


今も変わらず賑やかな街なのだろうと窓の外を眺めながらイザークは考えていた。





がかつて家族と過ごしていた街・・・。



そして今も、働く街・・・。















アスランの用事を済ませ、ラクスに頼まれた買い物も済ませた2人はモルゲンレーテへと入った。





国の代表であるカガリから渡された通行証を首から下げた2人は中へと通される。





は・・・どこで働いてるんだ?」


そう言えば、の仕事の話はあまり聞いた事が無かった。



先の大戦ではMS開発に携わっていたと聞いていたから、恐らくはそこにいるのだろうと思っていたが。




「あぁ、以前はMS関係の仕事をしてたけど、今はMSより艦の人手が足りないから造船課に異動になってる。」



造船課・・・。




「こっちだ・・・。」



ここへ来て内部に詳しくなったアスランの後に付いて中へと進んだ。















「いたいた。ホラ。」




アスランが指す先には居た。



作業服を身に纏い、資料を片手に走り回っている。


普段の愛らしい表情とは全く逆で、キリッとした表情。



次々と指示を出し、作業を進めて行くに、イザークは魅入っていた。








「そろそろ昼休みだし、声掛けて一緒に食事でも行こうか。」



アスランがに近付こうとした時だった。





!!」




を呼ぶ男の声。


その声に笑顔で振り返る・・・。



イザークの表情が僅かに曇った。





恐らくは同じ課の同僚だろう・・・。


よりもだいぶ年上の印象を受けるが、爽やかそうな男。



の顔を見ていれば、どんな男なのかも予想は付く。





心を許しているような笑顔にイザークの顔は歪んだ。



ここからでは遠くて何を話しているのか聞き取れない。





「イザーク・・・彼は先の大戦でアークエンジェルに・・・」



彼の事を知るアスランはイザークに説明しようとしたが、それを聞く事無くイザークは踵を返した。









にはの生活がある・・・。


知らない事があって当然だ。





けれど、苛々する気持ちは拭い去れなくて・・・。



とにかく早くここを出ようと出口へ急いでいた。




















「それで・・・イザーク様はと何もお話せずに戻られましたの?」



「あぁ。アレは・・・相当気にしてると思うんだけどな・・・。」






島へ戻ったアスランから話を聞いたラクスは眉を寄せた。



明らかに想い合っている2人なのに、なかなか噛み合わない想い。



端から見ているととてももどかしく感じるけれど、これは2人の問題だから・・・。



そう思うと何もしてあげる事が出来ない・・・。









「ただいま・・・。」




ちょうどそこへ、が仕事から戻った。



「お帰りなさい、。」



笑顔で出迎えるラクスにも微笑を返す。



「お疲れになったでしょう?先にお風呂に入られてはいかがですか?
その間に夕食の支度をしておきますわ。」



「あ・・・いつもゴメンネ。ありがとう。」



ラクスに勧められ、は荷物を置きに部屋へ入ろうとした。



「あ、そうだ。私明日から4日お休み貰ったの。
ラクス、買い物行きたいって言ってたでしょう?一緒に行かない?」



「まぁ。それは良かったですわね。
でもお買い物はもう済みましたの。今日アスランとイザーク様に行って頂きましたから。」



「・・・そうなの・・・?」



「えぇ。ですから、明日は久しぶりにゆっくりお休みくださいな。」

























「キラ、アスラン。ちょっとよろしいですか?」



がバスルームへと入ったのを確認したラクスは2人にそっと耳打ちした。








「では、そういう事でよろしくお願い致しますわね。」





の知らない所で静かに何かが動き始めていた・・・。
















【あとがき】


4日目です。

ちゃんと絡むとか言っておきながら、ほんの少しかい!!

こんなんで本当に大丈夫なのだろうか・・・?

私自身も不安になって来ました。

ホントすいません!!


えっと・・・イザークが見知らぬ男に嫉妬してます。

まぁ、アスランの一言で誰か気付いた方もいらっしゃるとは思いますが・・・

ノイマン氏です♪


好きなんですよ〜。

あぁ、でも大した障害にはならないんで気にしないで下さい。

友情出演程度です。



では、ここまで読んで下さってありがとうございましたw





2005.4.2 梨惟菜






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