出会ってはいけなかった・・・。
惹かれ合ってはいけなかった・・・。
けれど・・・
もう、後戻りは出来ない・・・。
私達は出会ってしまったから・・・。
7Days Love
<<1>>
「うわ・・・」
停戦から2ヶ月・・・。
地球とプラントを繋ぐ空港。
そのロビーに降り立った一人の少女。
見慣れない景色に少女はキョロキョロと辺りを見回した。
ロビーには地球から到着したばかりの人や、
これから地球へと向かう人、
それを出迎える人、見送る人で溢れ返っている。
「!!」
少女は名を呼ばれ、声のする方へ視線を向けた。
「ディアッカ!!久しぶり!!」
・・・・。
オーブ首長国連邦、オノゴロ島に拠点を置くモルゲンレーテ社で働く技術職員。
先の大戦では、新型MSの開発に携わった人物の一人。
自らもアークエンジェルに乗り、大戦の最後を見届けた一人だった。
「悪いな。アイツ、仕事詰まってて来れなくてさ。
自分から招待しておいて申し訳無い・・・だってさ。」
「そう・・・なんだ。」
「夕方には片付けて合流するって言うからさ、とりあえず俺とデート。な?」
「・・・そうね。」
「やっぱ、地球とはだいぶ違うのね。」
「ん〜。そうだな。」
空港を出たエレカは市街地へと入る。
煌びやかな街並みには目を細めた。
「とりあえず腹、減ってない?・・・ってか俺、減ったんだけど。
どっか店、入ろうぜ。」
「いいよ。」
「行きつけの店があるからさ、そこでいい?」
「うん。」
「あら、ディアッカ。いらっしゃい。」
「いつもの席、空いてる?」
「ええ。」
手馴れた様子でディアッカは店の奥へと進んだ。
彼の指定席らしき席に着くと、即座にメニューが1冊置かれた。
「俺はメニュー把握してるからさ。」
そう言われ、はメニューを開く。
「何?ディアッカの彼女?」
ウエイトレスの女の子がディアッカに問い掛けると、
は驚いて顔を上げた。
「まさか。この子はイザークのお客さん。
忙しくて迎えに行けないっつーからさ、代理でお出迎え。」
「へぇ・・・。イザークがねぇ。」
「珍しいだろ?」
夕方まで色々と案内してもらう予定だったが、
気が付けば会話に夢中になってしまい、遅くなってしまっていた。
「もうこんな時間か・・・。そろそろイザークも終わる頃だな。
荷物置きにホテル行こうか・・・。」
「ここから近いの?」
「あぁ、5分くらいで着くぜ。」
泊まる場所も任せてあったから、どんな所か楽しみだった。
エレカは再び走り出す。
「・・・ここ?」
止まって降ろされた場所は驚くほど高級なホテルだった。
「あぁ。」
こんなホテルに1週間も滞在してもいいのだろうか・・・。
「あぁ、気にすんなって。アイツ、金持ちのお坊ちゃまだからさ。」
ディアッカが荷物を持って中に入ってしまったから、
仕方なく彼の後を追いかける。
「何だ・・・来てたのかよ。」
ディアッカがロビーに座っていた人物に声を掛けた。
見覚えのある銀髪にの息が一瞬止まる。
「あぁ。思ったより早く終わったからな。ここで待たせてもらった。」
振り返る銀髪の青年。
彼に会うのは2度目だけれど・・・
初めて会った時と同じ・・・。
本当に綺麗な人だと・・・また思った。
「久しぶりだな、。」
「・・・えぇ。この度は、お招きありがとう。」
視線を合わせた私達はゆっくりと握手を交わした。
「ここのレストランに予約を入れてある。一緒にディナーでもどうだ?」
「あ・・・ありがとう。」
「んじゃ、俺は帰るわ。後はお2人さんでごゆっくり。」
「あぁ、済まなかったな。」
最上階のレストラン。
目の前に広がるのは満天の夜景。
そして、私なんかよりも数倍美しい青年。
「先の戦いでは世話になった。」
「いえ、こちらもカガリを助けてもらったから・・・。」
初めて出会った場所はアークエンジェルだった。
ディアッカの援護をして腕に軽い怪我を負ったイザークは
ディアッカと共にアークエンジェルに現れた。
そこでイザークの傷の手当てをしたのが。
そのお礼がしたいとプラントへ招待してくれたのがイザークだった。
も大戦の後処理で忙しい身ではあったが、
何とか1週間の休暇を貰い、初めてプラントを訪れた。
こうして互いに向き合って話をするなんて初めてで・・・
綺麗な瞳に引き込まれてしまいそう・・・。
高鳴る胸の鼓動を抑える術を知らない・・・。
そんなの心情を知らないイザークは、
遠慮がちに俯くに魅入っていた。
ナチュラルではない・・・コーディネイターの彼女。
初めて会った時、何故地球軍の艦に乗っているのか疑問で仕方なかった。
だが、敵であった筈の自分にも必死に手当てをしてくれる彼女。
腰まで伸びたワインレッドの髪。
寂しげな黒い瞳・・・。
会った時から気になっていた・・・。
この鼓動の高鳴りは何なんだろう・・・。
【あとがき】
イザークのシリアス夢という事で始まったこの作品ですが、
タイトルの通り、「1週間の恋」です。
これから1週間、イザークとヒロインの感情がどう変化していくのか…
どういう展開でシリアスになっていくのか…
ありがちなお話になってしまいそうな予感大ですが、どうしてもイザ夢を書きたかったので…。
種の本編終了後から運命までの空白の2年間にあったエピソードとしてお考え下さい。
では、ここまで読んで下さってありがとうございました。
続きも読んでいただけると嬉しいです。
2005.3.15 梨惟菜