うわ・・・すっごい高い・・・



遠くから見ても一際目立つ建物。


真下から最上階を見上げると、首が痛くなりそうだった。




「アスラン・・・こんな所に住んでるんだ・・・。」













Welcome!

















「いらっしゃい。迷わなかった?」



「うん。大丈夫だったよ。」




こんな目立つ建物、迷う筈が無い。


アスランに導かれ、は部屋へと入った。



「お邪魔しま〜す。」




部屋の中は至ってシンプル。


アスランらしいと言うか・・・。



必要最小限の物しか置いてない。



外観だけじゃなく、室内も相当キレイで高級感漂う。


窓から一面に広がる絶景には思わず声を上げた。





「すご〜い!何この景色!!」




無邪気にはしゃぐを見て、アスランの顔は綻んだ。
















「今度の休暇は2人だけでゆっくりしたいな。」




きっかけはのその一言だった。



同じクルーゼ隊に所属する俺達は、付き合ってそれなりに経つ。


でも、常に前線に出ている事が多く、休暇もロクに取れないから

いつも休暇は2人で買い物に行ったり慌しかった。



勿論、楽しい時間ではあったけれど・・・。








結局、どちらかの家へ行こうという話になり・・・

今回は俺のマンションにを招待する事になった。




本当はの部屋に興味があったんだけど・・・


『掃除してないからまた今度!!』


が断固拒否するから・・・。









「凄いね〜。こんな所に一人暮らしだなんて。」



さすがは国防委員長の一人息子・・・と言うべきか。



アスランにもちゃんと実家はあるみたいだけれど

血のバレンタインでレノア様を亡くされて父と息子の2人暮らし。



お互いに忙しいから・・・と、互いに別宅を構えているらしい。






金持ちって・・・やる事が違うよなぁ・・・。











「疲れただろ?適当に座ってて。今お茶入れるから。」



「あ・・・私やるよ。」



はお客様なんだから座ってて。」




そう言われ、は椅子に腰を下ろした。








棚からカップを取り出すアスランの後姿を見つめながら

は頬を赤く染める。





よくよく考えたら・・・2人きりで過ごすなんて本当に久しぶり。



そりゃ・・・ヴェサリウスの中ではよく互いの自室で過ごしたりもしたけど・・・。




どちらかの自宅で過ごすなんて初めてだし。




何だか緊張してきちゃった・・・。











「お待たせ。」


「あ、ありがとう。」





アスランは私の好みも把握してくれてるから何も聞かずにコーヒーを入れてくれる。


ミルクに砂糖が2個。



私の好きな味。



猫舌だから少し冷ましてから渡してくれる、そんな気配りが嬉しい。
















「せっかく来てくれたのに、何も無くてごめんな。
 何も無いから退屈じゃないか?」


「ううん。そんな事無いよ。一緒に居られるだけで・・・嬉しいし・・・。」




返事に、アスランも頬を少し染めた。










「あ・・・DVDとか持ってるんだね〜。意外。」



ちゃんとしたホームシアターセットが設置されていて、は嬉しそうに物色を始めた。



「・・・そんなに意外か?」


「うん。アスランっていっつも電子工作ばっかしてそうだし。」





「・・・いつもって・・・。」



「あ、結構最新の映画とか持ってるんだぁ・・・。」



「何か見たいのあった?」




アクション系にSF・・・意外にもコメディ・・・。


コレ見て一人で笑うのかしら・・・。



一人で小声で笑いながら、1本のDVDに目が止まる。




「あ・・・コレ・・・コレ観たい。」



「どれ・・・?」




が手に取ったのは・・・ホラー。


、怖いの苦手じゃなかった?」


「スクリーンで観ると怖いじゃない?
 TVでだったら大丈夫じゃないかなぁ〜と思って。」




いや・・・大して変わらないと思うけど・・・。


でも、珍しくが興味津々だったから・・・



「いいよ。じゃ、コレ観よう。」




















「・・・・」



「・・・・・・・・・」






並んでベッドに凭れて座って数十分。



序盤は大した変化も無く、大人しく画面に魅入っていたに異変が起き始めた。






「・・・っ・・・。」



声にならない声で怯えている。


時折、ビクッと肩が跳ねて画面から視線を逸らす。



その仕草が妙に可愛かった。



「大丈夫か?」


「だ・・・大丈夫。ちょっとビックリしただ・・・きゃあっ!!」





主人公役の女優が悲鳴を上げたのと同時に、も叫んで俺に抱き付いた。




「やだ!!無理無理!!こんなの有り得ないぃ!!」



「・・・だから言ったのに・・・。」








停止ボタンを押し、薄暗い部屋の明かりを点けてやると

はホッとした表情で顔を上げた。




「・・・怖かった・・・?」


「うん。どうしよう・・・今日、怖くて眠れないかも・・・。」




「・・・何なら、泊まってく?」


「へ・・・?」





すぐに赤面するはいつも以上に真っ赤になった。



「ここからの夜景、最高なんだよな。
 いつかにも見せてあげたいな〜って思ってたんだけど・・・。」




「う・・・」




『最高の夜景』



あまりにも魅力的過ぎる単語・・・。


「夜景見ながら2人きりで晩ご飯・・・最高だろうなぁ・・・」



「・・・泊まってってもいい?」



「勿論♪」













【あとがき】


アスランのお宅訪問〜♪

書き始めるまで迷ったのが、アスランの実家にするかマンションにするか…。

でも、やっぱ2人きりの雰囲気を演出するにはマンション?
実家だと使用人さん居るだろうし…。

本編でもアスランのマンション、出て来たしね。
…ってアレはアスランの一人暮らし用のマンションなのか…
それとも単に軍から与えられた部屋なのか…。
結局分からないままです。

ま、一人暮らししてるって設定にさせて貰いました〜。



前原彩乃様、初リクありがとうございました♪
お気に召して頂けたでしょうか?
また感想聞かせて頂けるととっても励みになります〜♪







2005.3.1 梨惟菜





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