「たまには連絡をちょうだいね。」




「はい。」




「アスラン、娘を頼んだよ。」




「はい。必ず幸せにします。」





とアスランの手には大きなバッグが一つ。



あまり沢山持って行くと後が大変だからと言って、最小限にまとめられた。





後は2人で揃えて行けばいいから・・・。














  戦場の歌姫


   ACT.10 祈りの果てに
















「何お前・・・まだ未練あんの?」




「煩い。そう簡単に割り切れる程単純な気持ちでは無い。」






幸せそうに・・・

でも、どこか名残惜しそうに両親と別れの言葉を交わすを見つめながら、
イザークとディアッカはその光景を傍観していた。






「お前もモテるんだからさ、その内見つかるだろ・・・。」


「余計なお世話だ。」





そんな2人の様子に気付いたが駆け寄って来た。




「イザーク、ディアッカ。見送りに来てくれたのね。」



「当たり前だろ?大事な戦友の門出だからな。」




に続いてアスランも歩み寄る。




「色々・・・世話になったな。
 これからまだ忙しいと思うけど・・・頑張れよ。」



「それはこっちのセリフだっつの。
 お前の方が数倍大変だろ?
 ま、お前なら大丈夫だと思うけどね。」



「あぁ。ありがとう。」






「イザーク。」


の瞳がイザークを捉える。



「色々と・・・ありがとう。
 私、イザークに出会えて本当に良かった。」



「・・・幸せになれよ。」



「うん。」




この人を沢山傷付けた。


でも、祝福の言葉を贈ってくれる。



それが何よりも嬉しくて、は目を細めて微笑みを返した。






「アスラン、を泣かせたら承知しないからな。」




「分かってるよ。」















少しずつ遠くなっていくシャトル。



ようやく終わりを告げようとしていた、イザークの初めての恋。





「ディアッカ、戻るぞ。」



「え!?もう!?」



「当たり前だ。仕事はまだまだ山積みだ。」















オーブに向けて飛び立ったシャトルは、暗い宇宙へと飛び出した。




生まれ育ったプラントの姿が次第に小さくなって行く・・・。





隣同士に腰掛けた2人はとても幸せそうで・・・。



どちらからともなく絡められた指がそれを物語っていた。






「・・・不安?」



「当たり前でしょ?」




でも・・・1人じゃないから・・・。




不確かな未来だけれど、今はあなたが居てくれるから・・・。





先の事なんて誰にも分からない・・・。


このまま平和な世界が続くとも限らない・・・。




でも、今を大事に生きなくてはその先に何も見出せないから・・・。









「アスラン・・・」




「何?」





「愛してる。」






そんな言葉を口に出して言ったのは初めてだった。



「俺も。愛してるよ。」









「地球へ降りたら・・・毎日の歌声を聴きたいな。」




「うん。アスランの為だけに歌う。」




「いつか、俺達の子供にも歌って聴かせような。」




「もう。まだ先の話だってば。」




「・・・そうなのか?」




「多分・・・ね。」












でも、いつかきっと・・・。




私とあなたと・・・


そして、私達の子供と・・・。





そんな平和な未来を夢見て・・・。




私達は母なる大地へと還って行く・・・。


















 戦場の歌姫




  end











【あとがき】



長かったです。
最後、もうボロボロでした。
特に10章入ったらちっとも本編沿いじゃないし…。
お許し下さい。



本当に最後をまとめるのが苦手で…
でも、ダラダラ続ける訳にも行かないし…。


…ってカンジで、ラストは本当に試行錯誤でした。


こんな長編連載は初めてだったので、何と言うか…。
達成感と後悔が同時に押し寄せて来た感じです。


いつか感動できるような作品を書きたいと本当に思う。





この作品全体としては反省すべき点はたくさんありますが、
ここまで書けたのも読んで応援してくださった皆様のお陰だと思います。
本当に心から感謝しております。
感想や励ましのお言葉が何よりも嬉しいです。


『戦場の歌姫』本編はこれでひとまず完結です。
もし、今後ご希望なんかあれば番外編という形で色々と書かせていただきたいなぁ…と。



ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。
今後も沢山の長編・短編等、企画してます♪
また他の作品も覗いて頂ければ幸いです♪








2005.3.14 梨惟菜







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