意地っ張りな性格…


すごく直したいって思うんだけど


そう簡単に直ったら苦労はしない。



だから悩んでるんじゃない。





アイツだって、素直な女の子が好きに決まってる。















強気な姫君


















「はぁ…」





戦艦、ヴェサリウスのラウンジに大きな溜息が響く。




何度も聞こえるその溜息に、隣で読書をしていた銀髪の青年は眉間に皺を寄せた。




「煩い!いい加減に黙れないのか!?」



バタンと勢い良く本を閉じたイザークは隣でうつ伏せる少女に叫んだ。





イザーク同様、銀色のウェーブの掛かった髪が肩で揺れる。



「どうせまたアイツ絡みなんだろ?いい加減に同じ事ばかり繰り返すな!」








良く似た容姿の2人が揃うとなかなかの威圧感がある。



似ているのは外見だけではなく、中身も類似していた。











「あぁ、。ここに居たんですか。」






相変わらず沈んだままのの元へニコルが現れた。




「やっぱりジュール兄妹が揃うラウンジに入る人は居ないですね。」



ニッコリと微笑みながら2人の元に近付く。





「何?」



「ディアッカが探してましたよ?喧嘩でもしたんですか?」




「いや…そういう訳じゃないんだけどね…。」

















ザフト軍クルーゼ隊所属のトップガン、ディアッカ・エルスマン。



軽いノリの彼と付き合うのが同じくトップガンのイザーク・ジュールの妹。



・ジュールはディアッカの2つ年下。




年下の筈なのにそれを感じさせない強気な態度は兄譲りなのだろうか。



その強気な性格が原因で、恋人との仲はなかなか進展しない。










「ディアッカってムカつくんだもん。なんか軽いし…。
ホントにあたしの事好きなのか疑っちゃう。」




「勿論、好きに決まってるじゃないですか。
ディアッカがちゃんと女の子と付き合うの、初めてなんですから。」









「お前も少しは素直になったらどうなんだ?それも原因の一つだと思うぞ。」



「煩いなぁ…。しょうがないじゃん。イザークに似たんだから。」



「いい加減、呼び捨てはやめろ。お兄様だろう!」



「イヤ。今更そんな呼び方出来ない。」






今度はイザークが深い溜息をついた。


昔から仕事の忙しい両親に代わって妹の面倒を見て来たイザーク。



もそんなイザークを誰よりも信頼していた。



イザークが軍に志願した時、迷わずに自分も一緒に志願していた。




そこで出会ったのがディアッカ。



気が付けば惹かれていて…

けれど、兄譲りの強気な性格が災いし、思うように気持ちが伝えられない。



そんな時にディアッカから受けた告白。







ずっと片想いしていた相手が自分の恋人…。


未だに信じられないは戸惑ってばかり。













「とにかく、ディアッカの所に行って来たらどうですか?」




ニコルに背中を押され、は仕方なくラウンジを後にした。


















、ここに居たのか。探したんだぜ?」



ディアッカの部屋へ向かおうと通路を移動していた時だった。



丁度を探していたディアッカがを呼ぶ。




「何?もしかして俺の事探してた?」



無意識の内に顔が緩んでしまっていたを見てディアッカがニヤリと笑う。




「…べ…別に?ニコルが探してたって言ってたから来ただけよ。」



「相変わらず可愛くねぇの。」



「煩いなぁ。じゃあもっと可愛い女の子と付き合えばいいじゃん。」




また可愛くない事言っちゃった…。


『素直になりたい…』



今まで…ディアッカと付き合うまで考えた事も無かった。


別にこの性格で苦労した訳でも無かったから…。








「冗談。俺はそんな可愛くない所も含めてに惚れてんだからさ。」



恥ずかしいとも思わない物言いにだけが頬を赤く染める。




「…こんな所で恥ずかしいじゃん!!止めてよね。」


「じゃあ、俺の部屋行く?」



「え…?ちょっ…!!」




ディアッカはの腕を強引に引くと自分の部屋に向かって歩き始めた。






















「ちょ…ちょっと待った!!」


「ん?何?」



「顔!近いんですけど!!」



気が付けばディアッカの部屋に着いていて…。


ベッドに座ったは壁際まで追い詰められる形になる。




「いや…顔近付けなきゃ出来ないじゃん。」


「だから何が!!」


「キス♪」






戸惑う間にも2人の距離は確実に近付く。



「そろそろ1歩くらいは進展したいんだよね。」


「や…待って…」



「照れてる顔、可愛いじゃん。」





頬に手を添えられたは反射的に目を閉じた。



それをOKの合図だと認識したディアッカはそっとの唇の自分のそれを重ねる。



初めての感覚に頭がおかしくなりそう…。


小刻みに震えるはディアッカの赤服の袖をキュッと握った。

















「言っとくけど、素直すぎるなんてらしくないから止めろよ。」



「何それ…。」




「強気な所が好きなんだって。」



「バカ…。」









、気付いてないだろ…?

口調はイザーク譲りで荒っぽいけどさ。

時々見せる仕草はたまらなく可愛いんだぜ?



こんな可愛い彼女が目の前に居るのに、他の女に目移りする訳ないだろ…?








の肩を抱く手を少し強めたディアッカは、肩を抱き寄せて頬にキスを落とした。



「だからその不意打ちは止めてってば!!」


「やだね。いちいち了承取ってたらさせてくれないだろ?」



「何か…イザークに似て来てない?」


「そうかもな。イザークの妹と付き合うんだからこれくらい強引に行かないと。」








強気な彼女だからこそ、自分がリードしたい。


これからは遠慮なく行くから、覚悟しとけよ?








そのままのあたしでいい…。


そう言ってくれたのが凄く嬉しかったから…。


この人を好きになって良かったなぁって思える自分が居る。




また可愛くない態度取っちゃうと思うけど…。


愛情表現の裏返しなんだって分かってくれるから…。







たまには素直になってみようかな…。




「あたし、ちゃんとディアッカの事好きだからね?」



「分かってるって。俺も愛してるぜ?」



















【あとがき】



久々のディアッカ夢です。

甘々というリクエストだったのですが…。

甘々夢自体が久し振りな気がして…。

大丈夫だったかしら…(汗)


今回のヒロインはイザーク似の強気な妹ちゃんです。

そもそも、強気なヒロインにしたのがいけなかったのかも…。

受け身なヒロインばっかじゃつまらないので挑戦してみました♪



リクエストくださった拓斗様、お初です。

お気に召していただけましたでしょうか?

感想いただけると幸いです。



ここまで読んで下さった様もありがとうございました。




2005.4.4 梨惟菜






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