ピピピピッ・・・




部屋のアラームが鳴り響く。

カーテンの隙間からこぼれる朝の光に
うっすらと開きかけた瞳は再び閉じそうになる。


それを防ぐ為、自らの手でそれを遮った。




私の体は、隣に眠る人の腕にしっかりと包まれていて


とても・・・

暖かい・・・




まだ眠る彼の顔に視線を送ったら、
すぅっと瞼が上がって、深緑の瞳に私が映った。






「おはよう。。」


「・・・おはよう。アスラン。」





そんな、何気ない朝がとっても愛しい・・・










Sweet Home











キッチンから甘いパンケーキの香りと
深みのあるコーヒーの香り・・・。



朝ご飯を作るのはアスランの役目。



その香りを楽しみながら、私はアスランのシャツにアイロンをかける。

やっぱり、かけたてのシャツを着て欲しいから、
何があってもこれだけは欠かせない日課。







、出来たよ。」

「はぁい。」



彼の着替えを片手に部屋を出る。


「ねぇ、アスラン。今日の格好、どうかな?」


「うん。やっぱりの色使い、好きだな。」




アスランのスーツ、シャツ、ネクタイ・・・。

全部、私がコーディネートする。


それを見て喜んでくれるあの顔が、とっても好き。








「じゃ、いただきま〜す。」


朝食も予定通りの時刻に始まる。


「このパンケーキ、美味し〜い♪」




アスランの料理は絶品だった。

・・・と言っても、本人曰く
『簡単な物しか作れない』
らしいから、軽食しか食べた事がないけれど。

その『簡単な物』がこれだけ美味しいなら十分だと思うけど・・・。







「今夜は何が食べたい?」

「・・・ロールキャベツが食べたいな。」


「また?ホント、好きなのね。」

の作るロールキャベツ、最高なんだ。」


「分かった。作って待ってるから、早く帰って来てね。」

「あぁ、行って来るよ。」




アスランは私の手からカバンを受け取って
そのまま私に唇を寄せる。

触れるだけの、甘いキス。



何度キスをしても
まるで初めてのキスみたいにドキドキする。



「行ってらっしゃい。気を付けてね。」









「え〜。またロールキャベツなのぉ?」


私と並んで歩くミリアリアが口を尖らせた。


「好きなんだよね・・・あの人。」


「私、未だに形が崩れちゃうのよねぇ・・・。」


「じゃあ他の物にすればいいのに・・・。」


「だって、献立考えるの面倒臭いじゃない?
 アイツ、何でもいいって言うしさぁ・・・。」



ミリィは私より半年先にディアッカと結婚した。


毎日彼女と夕食の材料を買いに行くのも日課の一つ。


『何でもいい』

そう言うディアッカに困っているミリィの買い物カゴには、
私と同じ物ばかりが並んでいる。

そう。
我が家とエルスマン家の夕食は大抵同じメニューだった。



「アスランさん、ちゃんと食べたい物言ってくれるんでしょ?
 羨ましいわぁ〜
 お陰で私も助かってるし。
 今度、美味しいロールキャベツの作り方教えてね。」


「いいよ。」


私達は買い物袋を片手にマーケットを後にした。












ピンポーン・・・



チャイムが鳴ったのと同時に、私は玄関へと駆け出していた。



「お帰りなさい!早かったのね!!」


笑顔で出迎える私に、アスランは必ず笑顔で応えてくれる。


「ただいま。いい匂いだな・・・。」

「しっかり煮込んであるのよ。
 先にご飯にする?シャワー?」

「ん。シャワー浴びて来る。」

「分かった。後でタオルと着替え、持って行くね。」





受け取ったアスランのシャツからは
私と同じ香りがする・・・。

同じ洗剤を使ってるんだから当たり前なんだけど
何だか、不思議な気分だった・・・。





結婚して3ヶ月が経った今でも、何だか夢みたいだった。





「うん。やっぱりの作るロールキャベツは最高だ。」


そう言われ、思わず頬が赤くなる。

料理はそこまで得意とは言えないけれど
ロールキャベツはアスランの好物だからすごく特訓したんだ。

正直、この料理だけは自信を持って人に出せると思う。





。俺、来週1週間休みが取れたんだ。」

「そうなんだ。良かったじゃない♪」


普段、忙しい仕事をしていて、なかなか休みが取れないアスラン。

1週間も休めるなんて良かった・・・。



「どっかに旅行しないか?」

「え?急にどうしたの?」

「新婚旅行、行ってなかっただろ?
 だから、行こう。」

「・・・本当?」


「2人でゆっくりしよう。」

「うん!嬉しいっ!!」



私は食事の手を止めてアスランに抱き付いていた。





「アスラン、大好き。」

「うん。俺も。」


「・・・あいしてる。」

「俺も、愛してるよ。」


何度言葉にしても足りない気がして

私達は何度も囁き合いながら

何度も何度も・・・キスをした。






「旅行、どこ行こうか?」

「やっぱ・・・地球?」


「オーブ?」

「・・・それはヤダ。」

「何で?」


アスランは私の髪に細長いその指を絡ませながら問い掛ける。



「知ってる人が誰も居ない所でのんびりしたい。」

「・・・それもそうだな。
 そろそろ寝ようか。
 明日、パンフレット貰って来る。」


「うん。」





「お休み、。」

「お休みなさい。アスラン。」



そうして私達はお休みのキスをして、同じベッドで眠る。

愛する人の腕に抱かれながら・・・。



ありきたりな毎日だけれど
あなたが居れば十分幸せな毎日。

同じ家へ帰って、同じ場所で同じ時を過ごす。

それが一番幸せなんだと
あなたが教えてくれた・・・。









【あとがき】



ヒロインとアスランの新婚夢でした。

初めての試みでドキドキです。

果たして上手く書けていたのか…(汗)


甘甘のつもりですがいかがでしょう?

糖度も人それぞれだと思いますので勘弁してください〜。


梨惟菜的には甘甘です。きっと。



キリ踏み報告とリクをしてくださったゆり様、

本当にありがとうございます♪


連載の方も少しずつですが頑張って行きますので、

今後もよろしくお願い致しますね〜〜♪


是非感想も聞かせてください。

今後の参考にさせて頂きたいです!!



でわ。





2005.1.26 梨惟菜











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