「隣、いいか?」




「…あ…はい。」





訓練で昼食が遅くなった今日…


誰も居ない食堂で1人の昼食…のつもりだったけれど。



広い食堂でわざわざ私の隣に腰を下ろしたのは、先日特務隊として配属されたばかりのあの人…。






「あの…」


「ん?」


「またシンが…失礼な事を言いました?」


「いや、特に何もないけど?」



「そう…ですか。なら良いんです。」





















 シスター




















「見ちゃった。」


「…何を?」



「今日、ザラ隊長と一緒にランチしてたでしょ?」



「嘘!いいなぁ〜。」


ニコニコと詰め寄るルナマリアと、それを羨むメイリン。


2人とも、士官学校からの友人。



「見てないで助けてくれたら良かったのに…。」




「何で?」



「だって…あれだけ広い食堂なのにわざわざ隣に座られると困るのよ…。」




ってザラ隊長の事、嫌いなの?」



「嫌いって言うより…苦手…かな?」




















「やっぱアレ?シンが隊長に対して反抗的だから?」




「まぁね。いくら言っても聞かないし…。姉として顔、合わせにくいのよね…。」




「でもわざわざ隣に座るって事はさ、隊長はに好感持ってるんじゃない?」



「まさかぁ。」



あり得ないあり得ない。





「何?何の話?」


話の筋を知らないシンが割り込んで来る。




「アンタの所為でが気まずい思いしてるって話。」



「はぁ?」


「ルナっ…」


「一体何の話だよ…。」



「何でもないない!ルナ、メイリン、行くよっ!!」


「ちょっ…!」




















「あのねぇ…シンに余計な事言わないの。」


「だって…本当の事でしょ?」



確かに気まずいと言えばそうなんだけど…




「シンがおとなしくなってくれたら丸く収まる訳だし…。」


「そりゃあ…そうだけど…。」


「で、とザラ隊長は晴れてラブラブ。」


「だから…何でそういう風になる訳…」






「じゃあ聞くけど…ザラ隊長の事、どう思う?」


「えぇ?」



詮索好きなホーク姉妹の攻撃は更に続く。


「どうって…やっぱ、大戦の英雄だけあって…違うよね…オーラが。」



はぁ…




「何?何で溜め息なの!?」



「軍人としてじゃなくて…男の人としてどうかって聞いてるの。」



「…は!?」







「その顔を見る限りじゃ…満更でも無さそうよね…。」



「何!?私どんな顔してるの!?」



「真っ赤だよ?鏡、見て来たら?」









確かに頬が熱い気がするんだけど…


それを確かめる為に、鏡のあるトイレへと急いでいた。




『男の人としてどうか』…なんて…


そりゃあ…軍人としての能力も抜群で…


優しいし…同い年なのに大人びてるし…


でも…



そんな…恋愛の対象とか…考えた事無いし…




第一、私は彼に対して反抗的なシンの姉だよ?


印象悪いに決まってるじゃん…




あ〜

何か考えてたら頭痛くなりそう…。




















?」




「あ…ザ…ザラ隊長っ…!」



遭遇してしまったのは、今一番会いたくないと思っていた相手。



「どうしたんだ?顔、赤いけど…」



「えっ!?」



やっぱり赤いんだ…

言われてより一層、顔が熱くなる。




「熱でもあるのか?」



「いえ、大丈夫ですっ!!」



「大丈夫じゃないだろ…。」



戸惑う私の事なんてお構いなしに腕を掴まれ…


大きな手が額に触れる…。



至近距離…



近すぎ…っ…








!」


ザラ隊長の不意打ちに戸惑っていると、更に追い討ちを掛けるように登場した弟…。



に何してるんですか!」


「何って…熱っぽいから様子を見ていただけだが?」


、大丈夫?」



「あ、うん。別にたいした事無いから!」



「じゃあ部屋まで…」


「俺が送るよ。」



シンが言い切る前に…ザラ隊長がその役を買って出る。



「何言ってるんですか!姉はちゃんと自分が送りますんで…」



「君はまだ、午後からのプログラムが残っているだろう?」



「…っ!」




















「面白いな…シンは…。」



「はい?」




部屋へと向かう廊下の途中で、ザラ隊長は楽しそうに笑う。




「あの…すみません。いつもシンが失礼な態度ばかり…。何度も言ってるんですけど…。」



「仕方ないさ。大事な姉上に近づく男が気に入らないんだろう?」


「え?」




「何度も言おうと思ったのに…なかなかチャンスが無かったからな…。」




気が付けば肩に置かれていた筈の手が腰に回されていて…



「あの…っ!ザラ隊長!?」


身動きが取れなくて…恥ずかしくて…




「好きなんだ。君の事が…」




そんな馬鹿な…





「信じられない…って顔だな。」




「だって…シンは反抗的な態度ばっかり取るし…」



「シンは気付いてるんだよ。俺がを狙ってるってね。」







嘘だ…


あのザラ隊長が私を…だなんて…






「やっぱりまだ信じられないって顔してる…。」



「…きゃ…!」



空いていた片方の手が私の頬を捉えて…



「な…っ///」


頬に彼の唇が触れる。










「さ、部屋に行こうか。」









固まるの隣でアスランは考える。



やはり、シンから手懐けるべきだな…と。




















【あとがき】

シン、最近はシスコンっぽくなくなりましたね〜。

最初の頃は明らかに「マユ、マユ」って言ってたけど…。

マジで危険な主人公だと思ったくらいに…。

…なので、この作品でもシスコンっぽくさせて頂きました。

ちょいとアスランが黒っぽい?

たまにはこういうアスランもいいでしょう。

個人的には結構気に入っています。

スズカ様、お気に召して頂けましたでしょうか?








2005.7.29 梨惟菜










TOP