「艦長、頼まれていた書類、出来上がりましたのでお届けに伺いました。」




「ありがとう、。いつも仕事が早くて助かるわ。」



「いえ。では失礼致します。」








「あ、〜!」



艦長室から出てきた所を同僚のルナマリアに捕まる。



「ルナ、休憩?」


「うん。ちょうど今、射撃訓練が終わった所。
 は?艦長に何か用事?」


「あぁ、うん。頼まれてた書類を届けに…ね。」



「嘘!それって今朝頼まれてたヤツじゃないの!?」


「…そうだけど?」


「…早くない?」


「そう…?」




ルナマリアは驚いた様子でを見る。


何故そこまで驚かれているのか見当の付かないは首を傾げた。












A shy Girl




「ホント、ってしっかりしてるよね…。私と同い年とは思えないもん。」



「それって…私が老けてるって事?」


「そうじゃないって!何て言うのかなぁ…。」




う〜ん…。


ルナマリアは唸りながら考え始めた。





「ま、いいや。私これから射撃訓練行って来るから…。」



ルナマリアが歩いて来た方へ体を向けたその時…



「あ、私と入れ違いでアスランさんが射撃訓練始めてるわよ♪」


「…へ…?」



『アスランさん』



その単語に過剰反応したは思わず振り返る。


「プッ…アハハ…!!」



の表情を見たルナマリアは噴き出して表情を崩す。




「な…何よ!!」


「だって…『アスランさん』って言っただけで真っ赤なんだもの!」


「なっ…!!」




自覚の無いは慌てて両手で頬を覆う。


触れた頬は確かに熱い。




ってば…アスランさんの事になるとすぐ表情に出るのね。」


「だって…」


「お陰で2人の仲はミネルバ公認だもんね。羨ましいわぁ〜。」




ニヤリと笑ったルナマリアは、ひらひらと手を振りながらラウンジの方へと歩いて行ってしまった。



















「はぁ…」



は射撃場のドアの前で深く溜息をつく。



ルナマリアに予告された人物が中に居ると思うと、なかなか踏み出せなくて…。


かと言って、入って急に遭遇するのも困るんだけどな…。









バンッ!バンッ!




扉を開けると同時に響く銃声。


目の前では的に向かって銃を撃つアスランの姿。



真剣な眼差し…飛び散る汗…



思わず見惚れてしまっていた。







も射撃訓練?」



「へっ?あ…うんっ。」



私ってばいつもそう…。


アスランの事を考えてると頭がボーッとなっちゃって…。



アスランに声を掛けられるまで我を忘れてたらしい。




あんまり直視してるとまた赤面しちゃう…



素早く銃を手に取った私は的に向かって構える。




バンッ!バンッ!




あ…当たらない…




それもその筈…。


背後ではアスランが真剣な眼差しで私の射撃を見ているから…。




「ア…アスラン…?」


「何?」



「あの…視線が気になって集中出来ないんだけど…」



射撃は割と得意な分野なのに、的から大きく外れるのは明らかにアスランの視線が気になるから。




「いや、可愛いな…って思って。」


「…なっ…!!」




柔らかく微笑んだアスランは銃を持つ私の手に自分の手を添えた。




「もう少し脇を締めて…背筋は伸ばして。」


「えっ…あの…」



アスランの左手が私の腰に添えられる。


別に腰が弱い訳じゃないんだけど…くすぐったく感じて…。



「視線は真っ直ぐ的に向けて…撃つ。」




アスランの合図と共に引き金を引く。




バンッ!




「ホラ、当たった。」


的の中心に見事に的中した弾…。


私よりもアスランの方が嬉しそう…。




「ア…アスラン…あの…」


「ん?何?」

「…手が…その…」



「あぁ…。」




アスランはゆっくりと私の手から銃を抜き取ると、銃を台に置く。



余った手も私の腰に回し、ゆっくりと抱き寄せた。





「…っ!!」




予想外の行動により一層、頬が熱くなる。



「アスラン!私、射撃の練習が…っ…」



まだ数発しか撃ってないんですけど!!



「…中心に当たったんだからいいじゃないか。」



「そういう問題じゃ…!」







2人きりになった時のアスランは妙に積極的で戸惑う事が多い。



特務隊所属のエリートパイロットが恋人だなんて未だに信じられない。


だから、いつもアスランにペースを乱されちゃって…。



こんな時はどう対応したらいいか分からなくて…。




は…俺にこうされるの、嫌?」



「い…嫌じゃない…けど…」



その顔は反則だろう…

こんな顔見たら、どんな女の子だって赤面するに決まってる…












の反応が素直なお陰で、ミネルバでは公認の仲になったんだけどな、
 逆に2人きりになりにくくなったんだよなぁ…。」



「…え?」



「一応、特務隊だし?艦長の目も厳しいんだよ。
 まぁ、が優秀なお陰で特に何も言われないんだけど…。」



アスランに褒められると何だか恥かしくて…


やっぱり事在るごとに赤面してしまう体質はどうにかならないものか…。


普段は特にそんな事も無いのに、アスランが絡むとすぐにこうなってしまう。



だから良く、ミネルバのクルーにもからかわれちゃったり…。









「だから、2人きりになった時にはイチャイチャしたいと思うんだけど…。」



「イ…イチャイチャ!?」



「そう思うのは俺だけなのかな…?」



「きゃっ…」




アスランが耳元でそう囁く。



絶対にわざとだ…


私の事、からかってるぅ〜!!












「そんな事…ないもん。」


「ん?」


「私だって…アスランとベタベタしたい…と思うよ?」



「ホント?」



「う…うん…」




「良かった。」





チュッv



「なっ…!」



不意打ちで唇を奪われる。


反撃の間も無くアスランは体を解放すると、私の手を引いて射撃場を出た。





「アスラン!何処行くの!?」



「俺の部屋。」


「へ!?」


「それとも、の部屋の方がいい?」




「いや…その…///」



「すぐ赤くなる、可愛くて好きだよ。」








今日もまた、アスランのペースに嵌められてしまいそうです。



いつになったらまともにアスランと目を合わせられるのかしら…


















【あとがき】


照れ屋なヒロイン…。

アスランに振り回されっぱなしになっちゃいました…。

今回のアスランは積極的ですなぁ…。

軽く黒いかもしれません。

しっかり者だけど、アスランの前でだけはどうしてもいつもの自分が出せないヒロインです。


リク下さった夏美様、いかがでしょうか?

また感想頂けたら嬉しいです。




2005.4.22 梨惟菜







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