幸せ探し























はどんな花が好き?」



紫の瞳がを見つめる。


その瞳に移る彼女は柔らかく微笑み…目を細めてこう答えた。





「お花はみんな大好き。好きな人から貰えるんだったら、道端の草でも嬉しいな。」














「…だってさ。」



「困ったな…全然参考にならないじゃないか…。」





間もなくやって来るの誕生日…。



それに合わせ、2人で花と何かのプレゼントを贈ろうと考えたキラとアスラン。



相談の末、キラがさり気なく聞き出そうとして返って来た答えがアレで…。




2人は更に頭を抱え込む。







「好きな人からだったら…って…その『好きな人』が誰だか分からないから困るんだよな…。」




「やっぱり一番喜んで貰えるお花がいいよね…。」









気が付けばいつも3人一緒で…



けれど、男2人に女1人…。



その間に恋愛感情が芽生えてもおかしくは無い。



そして案の定、2人はに想いを寄せている。




友情は勿論大切だけれど、を想う気持ちは互いに譲れない。



かと言って彼女の気持ちが分からないからお互いに動けない。




















「う〜ん!いい天気♪」





久々に遠出したある日…


小高い丘へとやって来た3人は眼下に広がる広大な景色にウットリしながら芝生に並んで腰を下ろす。




勿論、を2人が挟む形で…。




このポジションもいつしか定着しつつあって…。



初めはドキドキしていたもこの位置にはだいぶ慣れつつあった。







一面に広がる、シロツメクサの花畑。



風でユラユラと揺れる緑が春の匂いを運んでくる。





「四つ葉のクローバー…無いかなぁ…」




ポツリと呟いたが何となく四つ葉を探し始めた。




幸せを運ぶ…四つ葉のクローバー…




その響きに2人は同時にピンと来た。






、僕たちが探してあげる。」




「え?本当?」




「あぁ、だから座って待ってて。」





「うわぁ。じゃあ、楽しみにしてるね♪」








どちらが先に幸せを見つけるのか…




その幸運を求めて、キラとアスランは左右に散って行った。

















…退屈…だなぁ…






離れてクローバー探しを始めた2人を遠目に見ながら…


は景色をぼんやりと眺めていた。




…が、それも次第に退屈になって来て…。




でも、2人は一生懸命探してくれてるし…。








ふと…周りに咲くシロツメクサの花に手を掛けたは、花を摘み始めた。




丁寧に…丁寧に…




一つ一つ編み上げて行く。





















「なかなか見つからないものだな…」



1本1本…丁寧に葉を確認しながらアスランは四つ葉を探す。



の為に…



そして、自分自身の為に…。






もしもキラより先に見つける事が出来たなら…



告白をする勇気が出るかもしれない。




もしかしたら、キラも同じ気持ちで探しているのかも…と思うと余計に焦りを感じた。













「アスラン、見つかった?」







いつの間にか傍に来ていたに気付かなかったアスランは思わず顔を上げる。



そこには…シロツメクサの冠を頭に乗せたの姿…。




「…自分で編んでみたの。どう?」



「あぁ、可愛いよ。は本当に器用だな…。」



「アスランだったら…これくらい簡単に作れちゃうよ?ハロよりもずっと簡単なんだから。」



「そうかな?」



「うん。後で教えてあげる。」






ニッコリと笑顔を返したはアスランの隣に腰を下ろした。





「何だか…嬉しいな…。」




「え?」




「こうして、アスランが私の為にクローバーを探してくれるの…嬉しい。」




小さく呟くように…でも確実に届けられた言葉…。



の頬は少しだけ赤くなっていて…愛らしさが増す。





「アスランが見つけてくれたら…きっと大事な宝物になるよ。」




『好きな人から貰えるんだったら、道端の草でも嬉しい』




キラがから聞いた言葉がリフレインする。




…」




「私・・・ね、いつもキラと3人で過ごせて凄く幸せなの。」



いつも一緒に居てくれて…


色んな話をしてくれて…



いつも私を楽しませようと…真剣になてくれる。





「でも、私に最高の幸せをくれる人が居るとしたら…それはやっぱりアスランがいいな…って。」





精一杯の気持ちを…は言葉に乗せてアスランへと贈る。





「俺がに道端の草を贈ったら…それは花束になるかな?」



「…うん。凄く大事にする。」




…大好きだよ…。」



「私も…アスランが好き…。」




















〜!あったよ〜!!」




四つ葉を持った右手を高々と上げ、キラは嬉しそうに微笑む。




…が…




「あ…」





視線の先には、花畑の中で気持ち良さそうに並んで眠るとアスランの姿…。



指先を絡め…幸せそうに寝息を立てている2人に、キラは苦笑した。




「あ〜あ。先、越されちゃったなぁ…。」




目覚めたらビックリするかな?




絡められた指の隙間にそっと挿した四つ葉のクローバー。




2人の行く末に幸運が待っていますように…と…




















【あとがき】

ほのぼの系が最近お好きなようで…。

今回もほのぼの系にしてみました。

やっぱりVSモノを書くと、敗者が何だか哀れな扱いに…。

キラ好きさん、済みませんです(汗)

いえ、キラも大好きですよ?

こちらはお誕生日に頂いた夢のお礼として、櫻井華憐様に捧げる夢です。

お持ち帰りは華憐様のみ可とさせて頂きます。



【櫻井華憐様へ。】

お誕生日の際には素敵な夢をありがとうございました。

とりあえず、キラVSアスラン…にはなっていると思いますが…。

こんな駄文で宜しければ…是非お持ち帰りしてやって下さいませ☆

いつも本当にお世話になってます。

これからも色々とお話させて下さいね♪







2005.7.24 梨惟菜












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