しとしと…





しとしと…







街中が雨色に染まる。







そんな日は






あなたと2人







静かに…


























Rainy Day
























「……?」








シャワーを浴びて部屋に戻ると、窓際に転がる彼女の姿が見えた。








声を掛けても返事は無い。








「寝てる…のか?」






「…ん…」






すぅすぅと寝息を立てて…






「ったく…髪も乾かさないで…」






触れた毛先はまだ湿り気を帯びていた。













「ん…ムウ…?」







肩を揺すり起こしてやると、小さな声で名前を呼ばれた。








「こんな所で寝てたら風邪引くだろ?」






「ん…。」







目を擦りながら、必死に睡魔と戦うが愛しく感じる。








いくら季節が夏とはいえ、朝晩は冷える。





まさに早朝と言えるその時間に冷風の入る窓際で寝るなんて無防備すぎるだろう。










「ホラ。さっさと起きる。」






「ん〜。もっと寝たい。」






「だったらベッドで寝ればいいだろ?」








「…ムウのベッド…眠れない。」






正確には『寝かせてくれない』?






彼のTシャツに短パンといったラフな格好がまた男心を擽る。









強引に彼女を抱き上げると、ベッドに腰を下ろした。







瞼に唇を寄せると、閉ざされていた瞳がゆっくりと開く。








「覚めたか?」





「ん…。」















雨の日のはテンションが低い。






昨夜も少し不機嫌で、ご機嫌を取るのが大変だった。







だが、ご機嫌取りも決して苦にはならない。














「夜景…見たかったのに…。」









のお気に入りはムウの部屋から見渡せる夜景。






キラキラと輝くネオンの光が大好きで、泊まりに来てはベランダから動かない。









そんなの楽しみも、ここ数日に渡る雨続きで叶わないまま…。





















「いっそここに住めばいいのに…。」







「たまに見るのが新鮮でいいの。」







さり気なく持ち出す同棲の誘いもやんわりと断られてしまった。







素なのか狙っているのか…







年下の彼女の一挙一動に振り回されているのは気のせいだろうか…。











それでも可愛いのだから仕方が無い。







俺とした事がベタ惚れだなんて…






















「それってさ…の人生プランの中にこのマンションに永住ってのが無いって事?」







「へ…?」






問われて首を傾げる




間違いなく天然だ…。










「永住って…」






「このマンション、持ち家だし?」







「若いのに思い切ったよね…。」








「そりゃ、色々と先を見越して用意したんだぜ?」







「ふうん…。」









はぁ…






深い溜息が漏れた。











まぁ…そんな所も好きなんだけどな…。


















「折角の連休なのに台無し…。」







先週から立てていた週末プランは全て中止。







晴天を想定したプランだったから仕方の無い事だけど…。










「遊園地行きたぁ〜い!」







ムウの腕から抜け出したはベッドに豪快に寝転んだ。








「ま、たまにはこうやってゆっくり過ごすのもいいんじゃないの?」








の隣に寝転び、薄手の布団に潜り込んだ。









「昼くらいまで寝るか。」






「…何もしない?」






「さぁ?」








大きな大きな…ムウの腕。






力強くてホッとする。







この人が私の一番大事な人。







私を一番大事にしてくれる人。







誰かを愛する事が…




誰かに愛される事がこんなに幸せな事だと…






教えてくれたのは他でも無い貴方。














『たまに見るのが新鮮』だなんて嘘。





本当はいつだって一緒に居たいよ。







ムウと同じベッドで眠って…ムウの為に朝ご飯を作る。





行ってらっしゃいってムウを送り出して…






ムウを待ちながら2人分の夕食を作る。





そしてキラキラに輝く夜景を眺めながら…また同じベッドで眠る。











それが当たり前の日常になったら…どんなに素敵だろう。





















でも…





今はまだ…このままがいいかな…。








もう少し…貴方に釣り合う女になれたら…






そしたらその時は…きっと首を縦に振る事が出来る。









人生はまだまだ長いから…。










ムウとの恋はまだ始まったばかりだから…















「ね、次の休みこそは遊園地…ね?」









「晴れたら…な。」








優しく微笑んだムウが小指を差し出す。







「約束…ね。」






目を細めて笑ったがそれに小指を絡めた。























外は雨






しとしとと響く雨音が心地よく耳に響く。








暑い夏も、貴方と居れば輝く夏になる。








この雨雲が遠くに去れば、光り輝く夏が待ってる。








そしたら今度は太陽の下で…
































【あとがき】

ん〜

微妙な仕上がり。

最近雨が続くのでこんなの書いてみました。

スランプ…かなぁ…

ムウさんに思いっきり甘えたい!って感じにしたかったのに中途半端。

たまにはこんな短編もいいかもしれない。

駄文です…すいません。







2006.7.22 梨惟菜









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