!来週のの誕生日はうちでパーティをするからな!!」


「・・・はっ・・・?」


人の部屋へノックも無しで入って来て
第一声がそれですかい!!



「カ・・・カガリ?何を急に・・・。
 誕生日にはもう予定が・・・」



そう


もう準備はバッチリだった。




ホテルの最上階のレストランとスウィートルームを予約してあって。

食事をしてそのままお泊り・・・///


なぁんて少しオトナなプランを立てていたのだ。




「・・・ホテルならキャンセルしといたからな!」


「はぁ!?」


い・・・いつの間に・・・



「まさか私がアスランと2人っきりの誕生日など許す筈がないだろ?」









 Promise










「いい加減、私達の邪魔するのはやめてよね!!」


「だから、何度も言ってるだろ!?
 アスランとの付き合いは認めないって!!」


「イヤだってば!!
 これは私達の問題でしょう!?
 カガリには関係無いっ!!」


「とにかく!!誕生日はうちでパーティーだ!
 ユウナがを紹介してくれって煩いんだからな!!」



「ちょっ・・・カガリ!!」



それだけ言って、カガリは出て行ってしまった。








「・・・はぁ。」


再び1人になった私は、ソファに深く腰掛けた。


この口論で何度目だろう。



毎回、同じ事の繰り返し。


カガリは頑固だから、一度言い出したら聞かないし・・・。



「全く・・・兄さんのせいなんだからね・・・。」


机の上の写真立てをコツンと突いた。


今はもう見る事が出来ない笑顔が写っている・・・。








「そっか・・・。じゃあ仕方ないな。」


「・・・ってアスラン!?本気なの!?」


「だって・・・カガリがそう言い出したなら反抗しても無駄だろう?
 相手はこの国のお姫様なんだし。もう学習したよ。」




だからって・・・アッサリ退かれると悲しいんだけど・・・。



「誕生日のお祝いは次の日にしよう・・・な?」


そんなアスランに対して、ぷぅっと頬を膨らませた。




「・・・どうした?」



「アスラン・・・聞き分け良過ぎ。」

「そう言われてもなぁ・・・。
 カガリにとってカイさんは絶対だから・・・。
 ゆっくり時間かけて説得しようって決めただろ?」



そう言ってアスランは写真立てを手に取った。


「もう1年か。早いな・・・。」

「・・・そうだね。」









カイ兄さん・・・。


私のたった1人の肉親だった人・・・。




両親がコーディネイターに殺されてからずっと、私を守ってくれた人。



大切な家族で、幼馴染のカガリも兄さんを尊敬していた。

・・・って言うか、カガリにとって、兄さんの言う事は絶対だった。

兄さんの信者と言ってもいいかもしれない・・・。



恋愛感情とかではなかったみたいだけど・・・。



とにかく私を溺愛していた兄さんに続いて、
カガリもいつも兄さんの意見に賛同していたくらいだ・・・。



そんな兄さんが常に私に言い聞かせていた言葉・・・。



『コーディネイターとは絶対に付き合うな』



兄さんにとって、コーディネイターは『敵』。


目の前で両親が殺されたんだもの。

仕方の無い事かもしれない・・・。



でも、私は出会ってしまった・・・。


恋に堕ちてしまった・・・。




アスラン・ザラというコーディネイターに・・・。







私とアスランをとことん反対する兄さんを2人で説得していこうと決めた矢先に、
兄さんは死んでしまった。



仕事中の不慮の事故だった・・・。




そして、その兄さんに代わって私達を反対し続けるのがカガリだった。



私達が付き合い始めてもうすぐ2年になるというのに、
未だにまともなデートをした事が無かった。








「・・・初めまして。です。」


「初めまして。カガリからいつも話は聞いてるよ。」



カガリの婚約者・・・

ユウナ・ロマ・セイラン・・・。



私も名前だけは知っていた。

アスハ家に並ぶ名門のご子息・・・。


いずれ、カガリの夫となる人。





私には反対しておいて、自分にはしっかりと相手がいるんだもの・・・。



そりゃ、親に決められた相手かもしれないけど・・・?





「長くて綺麗な髪だねぇ・・・。
 カガリにも伸ばせって言うんだけど、なかなか伸ばしてくれないんだよ。」



そう言って彼は、無断で私の髪に触れた。



「・・・彼が長い髪が好みなので・・・。」


そう答えながら、少し彼と距離を置いた。


「コーディネイターの・・・彼?」



その引っかかる言い方に正直ムッとした。

「・・・ええ。」


それでも笑顔を続ける私・・・。


「・・・すみません。人に酔ってしまったみたいなので、
 少し外の風に当たって来ます・・・。」








気分悪い・・・。


アスラン以外の人に触られるだけで気持ちが悪い・・・。




最低の誕生日。


どうでもいい人達に笑顔振り撒いて何やってんだろ・・・。



本当に祝って欲しい相手は・・・1人だけなのに。

その人が・・・ここには居ない・・・。



アスランに会いたいよ・・・。






ガサッ・・・




「だ・・・誰!?」



テラスの目の前の木が、風も無いのに揺れる・・・。


、俺だよ。」


木の葉を避けて顔を出したのはアスランだった。


「・・・アスラン!?何して・・・」

「しっ!見つかるだろ?
 迎えに来た。抜け出そう?」


そう言って、アスランが片手を差し出した。

嬉しくて笑みがこぼれる・・・。



作り笑いじゃない、ホントの笑顔・・・。








「きゃっ・・・」

ゆっくりとアスランの手を取って木に移った私を
アスランは軽々と抱き上げた。


「しっかり掴まってて。」

そう言われ、両手を彼の首に回した。

それを確認したアスランは私をしっかり抱いたまま、
フワリと木から飛び降りた。




「大丈夫?・・・。」

「ん。アスランこそ大丈夫なの?」

「これくらい平気さ。」



アスランに手を引かれながら、アスハ家の庭を静かに横切る。

屋敷からは笑い声や音楽が聴こえ、誰一人外の様子など気に掛けていなかった。



少し離れた場所に置かれた車に乗り込むと、
アスランの運転で車は走り出した。


「・・・どこ行くの?」

「マルキオさんの別宅。今使ってないって言うから借りたんだ。
 あそこなら見つからないだろ?」


「・・・ちゃんと考えてくれてたんだね。」


「当たり前だろ?恋人の誕生日くらい、誰にも邪魔されたくないさ。」



車は海岸沿いに差し掛かり、目的地へ向けて速度を上げて行った。











「キレイ・・・」


月明かりで海がキラキラに輝いて


波の音だけが静かに響き渡る・・・。


「ごめん。シャンパンしか用意出来なかった・・・。」

「ううん。十分だよ。乾杯しよ?」


アスランの向かい側に腰を下ろす。


彼が用意してくれたシャンパンがグラスに注がれ・・・


「誕生日おめでとう、。」

「ありがとう。アスラン。」

お祝いの言葉と共に、2つのグラスが音を立ててぶつかった。








、これ・・・。」

アスランが小さな小箱を渡す。


「・・・ありがとう。開けてもいい?」

「勿論。」


小箱の包みを丁寧に剥がしてゆく・・・。


「コレ・・・」


中から出て来たのは、指輪だった。

小さなダイヤが埋め込まれている事に気付き、思わず顔を上げてアスランを見る。



。結婚しよう。」

「・・・え・・・」



「必ず説得してみせるから。
 俺の妻に・・・
 俺の家族になって欲しい・・・。」



「・・・はい。」



私から指輪を取り、左手の薬指にゆっくり通す。

私の指にピッタリと合う指輪を見た瞬間、
瞳から涙が零れ落ちた。




「一緒に・・・幸せになろう。」

「うん。」


ゆっくりと互いの唇が近付いて・・・

その距離がゼロになる。



私の全てをアスランで満たして欲しくて・・・

そっと腕を彼の背中へと回した。


それに応えるように、アスランも私を力一杯抱き寄せる。




耳に残るのは・・・波の音・・・



目に映るのは・・・月の光・・・





まどろみの中で


私達は静かにシーツの海へと沈んでいった・・・。














【あとがき】



ヒロインの誕生日設定の夢でした。

今回も登場させてしまった・・・ユウナ様・・・。




しかも今回なんかキモイ・・・。


無断で女の人の髪に触る男は最低ですね。



連載で本編沿い書いてるんで、
最近は戦後の話を書くことが多いです。


こんな感じの作品に仕上がりましたが、
沙羅様、いかがでしたでしょうか?

また感想教えてくださいね〜〜♪

リクありがとうございましたぁ(○’▽’)ノ





2005.1.28 梨惟菜








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