、明日初詣に行かないか・・・?」



「へっ・・・?」




イザークにそう誘われたのはカウントダウンパーティーの真っ最中だった。



12月31日・・・。




同じ赤服のイザークが隊長になって数ヶ月。


隊員同士の交流を深めようというイザークの提案でジュール隊で集まっていた。









New Year








日付が変わるまであと1時間・・・。


会場の熱気に酔ったはテラスに出て体を冷やしていた。





そこへイザークがやって来て、今に至る。






「いや・・・予定が無いならどうかと思ったんだが・・・。
 ひょっとしてシホと約束していたか?」


「ううん!!シホは他で約束してるみたいだから!!」


イザークの約束を断れる筈が無い。




「じゃあ・・・明日な。」














「よしっ!!完璧♪」


「ねぇ・・・ホントに変じゃない?」


「何よ。私の着付けに不満でもあるの?」




1月1日 早朝


シホに着物の着付けをして貰い、私は鏡の前で自分の姿を見る。



「そうじゃないけど・・・着物って初めてなんだもん。」





民族学好きのイザークの事だ。

和服で来るに決まっている。


シホがそう言うから着物にしたんだけど・・・。




着慣れないせいかどうにも苦しい・・・。



「これでジュール隊長もイチコロね♪」



シホは着付けの仕上がりに満足そうだった。




「今日こそバシッと告白しちゃいなさいよ!」


「な・・・何言ってるのよ!!」



「あれだけ仲良いくせにまだ付き合ってないなんて信じられない。
 隊員は皆、2人は恋人同士だって思い込んでるのに。」




「それは・・・私とイザークが同じクルーゼ隊出身だからでしょ?」




アカデミー時代からの同期で、
卒業後の配属先も同じで・・・。


更にジュール隊結成時に私も転属になって・・・。


何だかんだ言って、軍に入ってから一番一緒に居る時間が長かったせいか、
そう見られる事が多い私達。



でも実際は付き合ってないし・・・

私の片想いってヤツ。


あれだけ噂が先行しちゃってるとどうも意識しちゃって・・・。


未だに告白のタイミングが掴めないまま。






シホの笑顔に後押しされて私は待ち合わせ場所に向かった。









約束の5分前。


待ち合わせ場所の神社の大鳥居の下にイザークは居た。


さすがは隊長。

時間には絶対に遅れない。



そして、予想通りの和服姿。


思わず彼の和服にドキッとしてしまった。



見とれてる場合じゃないでしょ!!


私は自分の頬を軽く叩いて彼の元へと歩き出した。









「イザーク・・・お待たせ。」


イザークはの着物姿を見て目を丸くした。


赤い晴れ着姿・・・。


「へ・・・変かな?」


「いや・・・そんな事は無い。」


イザークは思わず俯いてしまった。



「・・・行くか・・・。」


そう言ってイザークは片手をに差し出した。


「歩き辛いだろう?」




「ありがとう。」


も素直にその手を取った。







元旦の神社はすごい人手で・・・

イザークと手を繋いでいなかったらはぐれてしまいそうだった。



何とか境内に辿り着き、2人はお参りを済ませた。













じゃん。何してんの?」


イザークが露店で何か買って来ると行って人込みに戻った数分後の事。



一人座って待つを見つけたのはディアッカだった。




「・・・ディアッカ!?何してんの!?」


「何って・・・初詣に決まってんじゃん。
 こそ・・・一人?・・・じゃないよなぁ?
 シホと一緒か?」



「え・・・あ・・・」



ヤバイ・・・

イザークと一緒の所なんて見られたらからかわれるに決まってるよぉ・・・。


せっかく2人きりの初詣なのに・・・。



何とか追い払わなきゃ・・・。





そう思った時だった。



「悪い。遅くなった。」



りんごあめを片手に持ったイザークが戻って来てしまった。





「何だ・・・イザークと一緒なのかよ♪」


「・・・ディアッカ!?貴様・・・何でここに・・・」



「だからぁ、元旦なんだし、ここに居たっておかしくないだろ?」



まさかこれだけ人が居る中で知り合いに会うとは思っていなかった。


「で?2人で初詣デートってワケ?」



「「なっ・・・///」」



2人は同時に顔を真っ赤に染めた。



「ま、あんまり邪魔すると後が怖いからな。
 俺は行くぜ。仲良くな♪」












「見られちゃったねぇ・・・。」



「・・・そうだな・・・。」



イザークはを見返して、手に持っていたりんごあめを渡した。


「ありがとう。」









「ね、イザークは何をお願いしたの?」


神社の石段をゆっくりと降りながらイザークに聞いた。




「・・・早く軍人として一人前になれるように・・・だな。」



「・・・十分一人前だと思うけど?」




・・・って言うか、これ以上出世されても困るんですけど。


ただでさえ隊長になっちゃって壁が出来ちゃったのにな・・・。




は?」



「・・・私・・・?
 私も・・・イザークみたいに隊長になれますように・・・かな?」



嘘ばっかり。


イザークが上司になっちゃったのはイヤだったけど、
また同じ隊にいられて嬉しいくせに・・・。


「それは俺が困るな・・・。」



「へ・・・?」



「何の為にを俺の隊に転属させたと思ってるんだ?」



・・・え・・・?



「私の転属って・・・」


「あぁ、俺の希望だ。」




し・・・知らなかった・・・



「隊が離れたら一緒に居られなくなるだろう?」




イザークは繋いでいた手をギュッと握り締めた。


「・・・うん。」



私は俯いたまま答える。



「皆に噂されてるからなかなか言い出せなかったが・・・
 俺はをいつも側に置いておきたいんだ。
 それだけは忘れるなよ・・・。」



「・・・うん。」




「お前・・・他に言う事はないのか!?」



「・・・好き・・・。」



私はイザークの顔を見上げて一言だけ告げた。




「・・・・っ・・」



ストレートな告白にイザークは思わず赤面する。



「・・・俺もだ。」


そう言ってイザークはもう一度手をギュッと握った。





「・・・来年も一緒に初詣に来ようね。」


「・・・当たり前だ・・・。」












【あとがき】


お待たせしました!!

イザーク夢です♪


初詣ネタという事でしたがいかがでしょう?



一応、イザークとヒロインは赤服同士という事だったので、
隊長になった直後のイザークとヒロインという設定にさせていただきました。



この話の中で2人に和服を着せてみましたが、
梨惟菜は種キャラの中では一番イザークが和服似合うと思いますね♪



リクして下さった沙羅様、いつもコメント本当にありがとうございます♪






2005.2.2 梨惟菜









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