Mother&Father






















…」



耳元で囁かれる、少し低めの…甘い声…


その心地良い声が私の名を呼ぶ。


優しく…慈しむような声で…







「ん…」


開かれたカーテンが、部屋を明るくする。


普段、遮光カーテンで遮られる部屋に朝が訪れる。


眩しさに耐え兼ね…そっと瞳を開くと濃紺が広がる。





「おはよう。。」


「…おはよう…アスラン。」








優しく差し伸べられた手を取り、そっと身体をベッドから起こす。



「身体…辛くないか?」


「うん…今日は調子良いみたい。」



「朝ご飯、出来てるよ。食べれる?」


「…いつもごめんね…。任せっ放しで…」


は今が一番大事な時期なんだから…無理しなくて良いんだよ。」








スクランブルエッグにサラダ…

焼きたてのパンには大好きないちごジャム。


カップには淹れたてのコーヒーが湯気を立てる…。





「「いただきます」」



2人、声を揃えて朝の食事が始まる。






「今日は…病院だったよな?」


「うん。午後から…予約入れてる。」


「じゃあ、お昼までに帰って来るから。」


「1人でも大丈夫よ?」


「そんな訳には行かないよ。俺だって父親になるんだからね。」



嬉しそうにそう答えてくれるアスランに思わず頬が紅潮する。


「早く産まれて来ないかな…俺達のお姫様は。」


「…女の子とは限らないのに…」


「きっと女の子だよ。に良く似た可愛い女の子。」





















お腹の中にアスランとの新しい命が居ると分かって5ヶ月…


アスランと結婚してもう1年…


こうして宿った命がとても愛しくて…



未だ、体調が不安定な私を気遣ってくれる旦那様はとても優しくて…


特に朝はつわりがひどくて…


だから、アスランは毎朝代わりに朝食を作ってくれるの。


仕事が忙しいけれど、定期健診には必ず同行してくれる。




『いつも同伴してくれるなんて…素敵な旦那様ね。』


先生がいつもそう言ってくれる度に、思わず赤くなっちゃうの。
















「あ…コレ、可愛くないか?」



午後の定期健診の帰り道、アスランがショーウィンドゥの前で立ち止まる。



「もう…まだ早いって。」


アスランの視線の先にはベビー服。


勿論、女の子用の。


「性別…調べて貰えばすぐに準備出来るのに…」


アスランが少し拗ねた顔でそう言う。


「産まれてからのお楽しみの方がいいじゃない。」


「それはそうだけど…」





アスランは早くベビー用品を揃えてたくて仕方が無いみたい。


色んなカタログを仕事帰りに集めてきては楽しそうに眺めている。


普通、そういうのって奥さんの私の方がする事なんじゃ…

そう思いながらも、楽しそうに微笑むアスランが可愛くて…



結婚する前には決してこんな顔、見せてくれなかったから…


あらたな発見…ってカンジで嬉しい。





「何か…女の子が産まれたら溺愛しそうよね…アスランって。」


何だか妬けちゃうな…


そう言いながら、軽く頬を膨らませてみる。


「そりゃあ…溺愛するに決まってるさ。と俺の子供なんだから…。」


「もし男の子だったらどうする?私はアスラン似の男の子も可愛いなぁ〜って思うんだけど。」



「男の子だったら…俺が父にして貰えなかった事、してあげたいな。」


「…例えば?」



「一緒にスポーツ観戦に行ったり…」


「したかったんだ…パトリック様と。」


「しかったって言うか…もう少し、父親との思い出が欲しかったなぁ…って。」



少し遠い目で空を見上げる…。


その瞳が少し寂しそうに笑っている…。



側に在る、彼の左手に右手をそっと添えた。



「…この子が産まれたら…色んな世界を見せてあげたいね。」


「そうだな…。」




そのまま互いの指を絡め、微笑み合いながら再び歩き始める。




「…久し振りに外で食事して帰ろうか?」


「…うん。」















【あとがき】


突発的に思い付いたお話です〜。

結婚ネタ…久し振りに書きました。

結婚して1年経ってるので、新婚ではない…かな?

でも、2人は常に新婚気分かなぁ…と。

アスラン、かなり奥様愛してますよ。

すげぇ頑固パパになりそうな予感大です。

こんな夢で宜しければ是非お持ち帰り下さいませ。

お持ち帰り希望の方、下の文章も必ず読み、ご理解頂いた上で宜しくお願いします。








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40000Hit記念、フリー夢とさせて頂きたいと思います。

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宜しくお願い致します。







2005.7.2 梨惟菜






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