「まだ・・・フレイの事が好き?」
の問い掛けに、僕は答える事が出来なかった。
の瞳は真っ直ぐで・・・
真っ直ぐ過ぎて・・・
何もかも見透かされてしまいそうで怖い・・・。
小さな頃から
「、ちょっといいか?」
「あ、ちょっと待って!」
部屋の外から聞こえるアスランの声に、慌てて床に散らばった資料を集めた。
「・・・ゴメン、どうぞ!!」
私の返事に扉が開いた。
「今資料見てて・・・ちょっと散らかってるの。ゴメンね。」
「いや、俺こそ急に来たりしてごめん。」
「何か用?」
「ちょっと聞きたい事があって。」
「なぁに?」
「キラと・・・何かあった?」
「え・・・?」
お茶を入れていたの手がピタッと止まり、思わずアスランの方へ振り返る。
「どうして・・・そう思うの?」
「何か・・・微妙に距離を置いてるっていうか・・・避けてるように見えたから。」
アスランは再会する前の私達の事を知らない。
私がキラに片想いをしている事は、月の幼年学校時代から知っていたけれど、
アスランと別れてから、私やキラにどんな出会いがあって、どんな変化があったのか・・・。
「まだ・・・キラの事、好きなんだよ・・・な?」
改めて確認するように問い掛けるアスランに、私は黙って頷いた。
「あぁ、すまない。」
私が差し出したお茶を受け取ったアスランはゆっくりと口に運ぶ。
「キラね、好きな子が居るの。」
『まだ・・・フレイの事が好き?』
の言葉が頭の中をグルグルと回る。
どうして・・・あんな事聞くんだろう・・・。
僕は本当に・・・フレイの事が好きだったのかな・・・?
それさえもが曖昧で・・・どう答えたらいいか分からなかった。
僕はフレイに救われたんだ・・・。
でも、フレイをたくさん傷付けた・・・。
結局、この感情が何なのか分からないまま、フレイと離れて・・・
この想いに決着がつかないままになってる。
話さなきゃいけない事、あった筈なのに。
「そっか・・・色々大変だったんだな。」
「それでも好きなんて・・・馬鹿みたいでしょ?」
そう言って苦笑いするの事を綺麗だと思うのは、未だ幼い頃の恋心が消えてはいないからだろうか・・・。
がキラを想っているのは知っていた。
それでも彼女を好きだという想いは簡単には消せない。
小さい頃から一緒だった3人。
2人の少年の間に1人の少女。
いつか、このバランスは崩れる日が来る。
それは分かっていたのだけれど、未だ幼馴染のまま進展していなかった2人にアスランは溜息をついた。
「・・・、ちょっと外に出ないか・・・?」
部屋でじっと考え込んでても煮詰まるばっかり。
気分転換にフリーダムの様子を見に行く事にした。
「キラ!どうしたんだ?元気ないな・・・。」
様子を見に来た筈なのに、浮かない表情で呆然とするキラ。
「あ・・・カガリ。どうしたの?クサナギに居なくても良いの?」
「あ・・・あぁ。ちょっとアスランに用事があったんだけど・・・」
「アスラン、居ないの?」
ちょっと気まずそうに俯くカガリに、キラは首を傾げた。
「いや・・・邪魔しちゃ悪いと思って・・・。」
「邪魔?」
「と・・・楽しそうに話してたからな。」
「え・・・?」
食堂で楽しそうに話し込んでいるとアスランを見た。
あんな風に2人で並んでる姿は久しぶりに見た。
とアスランはずっと離れ離れで・・・
でもと僕はずっと一緒で・・・。
だから、一緒に居るのが当たり前の存在だった。
でも、僕以外の誰かの前であんなに笑うは久しぶりだったから、
何だか胸が苦しくなった・・・。
「・・・キラお前、アスランに嫉妬してないか?」
「え・・・?」
嫉妬・・・?
「今にも泣きそうな顔。」
「別にそんな事・・・」
「だったら何でそんな顔してるんだ?2人が仲良さそうに離してるのが嫌なんだろ?
私はに嫉妬してるぞ。アスランはが好きみたいだからな。」
僕の横でカガリが不機嫌そうに頬を膨らませた。
嫉妬・・・なのかな・・・?
に一番近い存在は僕だってずっと思ってた。
なのに、僕はフレイを選んだんだ。
は僕がフレイに憧れてる事を知ってたから、笑顔で『良かったね』って言ってくれた。
だから、が僕の事を好きになる事は無いんだって分かった。
アスランと離れ離れになって、僕の方が有利になったつもりでいた。
でも、はずっとアスランを見てる・・・。
「フリーダムの整備?大変だね。」
何も考えたくなくて、夢中でOSの調整をしてた。
が真後ろに来ていた事にも気付かずに・・・。
「・・・もしかして驚かせちゃった?」
僕、そんなに驚いた顔をしたのかな・・・?
「ちょっと・・・周りが見えてなかったんだ。どうしたの?アスランはいいの?」
「・・・?アスランがどうかしたの?」
「いや・・・すごく仲良さそうに話してるから、付き合ってるんだと思ったんだけど・・・。」
キラの言葉に、私は体が硬直した。
伝わらないどころか、勘違い・・・。
「キラ、それ誤解。」
そう呟いたは僕の隣にそっと腰を下ろした。
「私が好きなのはキラだよ?」
「え・・・?」
は眉を寄せながら困った顔で僕を見た。
「ホント、鈍いんだから・・・。ずっと好きだったのに、ちっとも気付いてくれないんだもん。」
「だって・・・フレイとの事だって応援してくれて・・・」
「キラが好きだから付き合わないで・・・なんてカッコ悪い事、言えるわけないじゃない。
ホントはすごく悔しかったわよ。ずっと一緒に居たのは私なのに何で・・・?って。」
嘘なんじゃないか・・・って聞きたかったけど、が嘘をつかない子だって良く知ってる。
「本当に・・・僕の事、好きなの?」
「何度も言わせないでよ。私が知りたいのはキラの気持ちなんだけど?」
「僕だってずっとの事が好きだったよ・・・。」
「・・・じゃあ・・・何でフレイと付き合ったの?」
「さっき、とアスランが一緒に居る所見て分かったんだ。
の側に居る男が僕しか居なかったから、安心してたんだ。
何があってもは僕の近くに居てくれるんだって・・・。」
「勝手ね・・・。」
「うん、そうだよね。」
「でも、そんな所も好き。」
「アスランじゃなくて・・・僕で良いの?」
「うん。キラがいい。」
「ずっとキラの側に居るから、もう私以外の女の子は見ないでね。」
「うん、分かった。しか見ない。」
私達は周りに人が居ない事を確認してから、そっとキスをした。
『ずっと一緒に居ようね。』
小さい声で囁き合いながら・・・。
【あとがき】
ちょっと長くなっちゃいました。
すごく悩んだんです、このお話書くのは。
『お任せします』って難しいですね〜。
最近はキリ番踏んで下さった方にシチュエーションも指定してもらってばかりだったので…
珍しく頭抱えてしまいました。
こんなカンジで良かったでしょうか?
令螺様、キリ番お初ですねw
リクありがとうございましたw
アップが遅くなってしまってすいません。
頑張って書いてみましたがいかがでしょう??
感想を書き込んでくださると嬉しいです♪
2005.3.13 梨惟菜