相手は年下・・・。
すごく優しくて繊細な人。
そんな相手と私、本当に釣り合うのかな・・・?
あの子とは正反対の私・・・。
それでも、私を見てくれますか?
恋のメロディ
・・・婚約の話、断ろうかなぁ・・・。
どうせ、ニコルから断られるんだろうし・・・。
ニコルの好みは私と正反対。
それは十分承知してる事。
でも、気になるのよ・・・。
どうしてなんだろう・・・?
ニコルのピアノが入ったディスク・・・。
どんな曲を弾くんだろう・・・。
ディスクをデッキに入れてスイッチを入れる・・・。
「・・・あ・・・」
部屋中に響き渡る、優しい旋律。
ニコルらしい、繊細な音・・・。
その中に感じる、ちょっと切ないこの感情・・・
この気持ちは・・・何?
「ニコル、ディスクありがとね。すごく良かった・・・。」
「喜んでもらえて嬉しいですよ。」
から手渡されたディスクを受け取ると、は僕の隣に座った。
「プラントに戻ったら生演奏、聴かせてね。」
「えぇ、是非。」
の顔を見ていたら、婚約の話を思い出して・・・。
どんな人なんだろう・・・?
純粋に気になった・・・。
「ニコルの音・・・さ」
「・・・はい?」
「すごく・・・いい音だね・・・。」
「あ・・・ありがとうございます。」
から貰った褒め言葉に、思わず赤くなってしまった。
「その曲は・・・を想って作った曲?」
「・・・え?」
の言葉に思わず顔を彼女に向ける。
はとても複雑な表情をしていた・・・。
「ニコルにそんな風に想われる女の子は・・・幸せね。」
は微笑して、ラウンジを後にした・・・。
・・何なのよ・・・
ニコルのピアノを聴いてから、心に霧が掛かったみたいで晴れない。
胸を締め付けられるような旋律・・・。
きっと、を想って奏でる曲・・・。
とディアッカが両想いなのは分かってる。
それでもニコルは・・・
きっとを想ってる・・・。
どうしてそんな風にひたむきに想えるの?
ワカラナイ・・・。
「?どうしたんだよ・・・?」
「・・・ディアッカ・・・。」
いつもそう。
人が落ち込んでるとタイミング良く現れる・・・。
ディアッカに話すと結構スッキリするんだ・・・。
「・・・話、聞いて貰ってもいい・・・?」
「俺で良ければ・・・な。」
「それって恋じゃねぇの?」
「・・・え?」
「ニコルに惚れてんだろ?それ。」
「・・・嘘・・・。」
「お前、案外鈍感なんだな。」
ズバリ言われてしまった・・・。
第三者から見ると、こうも簡単な事なんだろうか・・・?
「でもお前、婚約者居るんだろ?ニコルから聞いた。」
「・・・ニコルなの。婚約者候補の相手・・・。」
「マジ?だったら問題ないじゃん。」
「大ありだよ・・・馬鹿。」
「何で?」
「私・・・と正反対だもん。ニコルの好みじゃない・・・。」
情けない・・・こんな相談してるなんて・・・。
「・・・俺もそうだったぜ?はニコルみたいなヤツが好きなんだと思ってたし。
言ってみないと結果なんて分かんないもんだろ。」
ディアッカのセリフに思わず言葉を失った・・・。
「ディアッカに諭される日が来るなんてショック・・・。」
「おい。怒るぞ・・・。」
「うそうそ。ごめん。ありがとうね。やっぱあんた、いいヤツだわ・・・。」
「最高の友達だろ?」
「・・・だね。」
とディアッカが居た・・・。
二人で親密そうに話している・・・。
何度も見た光景だけど・・・明らかに違うのは、二人の間にある感情は、友情だという事・・・。
それは分かってるはずなのに・・・
笑顔でディアッカと話す・・・。
とても楽しそうで・・・僕の心は落ち着かない・・・。
それはどうしてなんだろう・・・
「あ・・・ニコル!!」
通路を歩く僕の姿をが追って来た。
「休憩終わり?」
「えぇ、これから射撃の訓練に行く所なんです。」
「そっか。」
「も・・・射撃訓練の時間ですよね?」
「あ・・・うん。でもちょっと部屋に寄って行くわ。実家に通信入れたいし・・・。」
「何かあったんですか?」
「うん。婚約の話、OKしようと思って・・・。」
「・・・え?」
「じゃ、後でね。」
そう言って、は部屋へと戻って行った・・・。
の言葉が頭から離れない・・・。
結局、全く集中できなくて、射撃の結果は最悪だった・・・。
ラウンジに行く気力にもなれなくて、真っ直ぐ部屋に戻った。
ビーッ
突然、部屋の通信音が鳴った。
「はい。」
「あぁ、ニコルかね?」
通信の相手は、クルーゼ隊長だった。
「隊長、どうかなさったんですか?」
「自宅から通信が入っているが、繋いでもいいかな?」
「はい、お願いします。」
実家から通信なんて珍しいな・・・
「こんにちはニコル。元気にしている?」
モニターの前には父さんと母さんが揃っていた。
普段から仲の良い二人だけど、揃って通信に出るのも珍しい事。
「えぇ、お久し振りです。」
「今日はあなたにお知らせがあるのよ。」
「・・・何でしょう?」
「婚約者が決まったのよ。」
「・・・えぇ!?婚約者・・・ですか??」
突如、言い渡された一言・・・
「えぇ、先方にお話を通していてね、良いお返事を貰えたらあなたに伝えようと思っていたのよ。」
・・・という事は・・・
「その・・・相手の方が了承したと・・・いう事ですか?」
「・・・あら、聞いてない?」
「・・え?」
「!!どういう事ですかっ!!」
艦内を散々探し回った後、をラウンジで発見した。
珍しくラウンジには全員が揃っていた。
「・・・なぁに?何の話??」
「婚約の話です!!」
そう言って思わず、我に返った・・・。
案の定、以外の全員は口が半開き・・・。
「あぁ、お義母様からお聞きになった?」
「・・・お・・・お義母様って・・・ここではちょっと・・・。」
僕はの手を引いて廊下に出た。
「婚約者って僕の事だったんですか!?」
僕は散々悩んでたのに・・・
「やっぱ・・・私じゃ迷惑なだけだった・・・?」
「・・・いえ、そういう訳じゃ・・・むしろ僕はが・・・」
が泣きそうな顔になって、思わず焦って口走っていた・・・。
「じゃ、婚約成立・・・ね?改めてよろしくね、ニコル♪」
・・・えぇ!!?
そんな・・・急に・・・
普段、大人っぽいが無邪気に笑うので、
僕は反論の言葉が浮かばず、ただ見とれてしまっていた・・・。
あ〜あ・・・
やっぱショック受けてるよ・・・。
倒れなかっただけマシかなぁ・・・。
ま、焦る必要もないしね。
ゆっくり時間かけて・・・
絶対に夢中にしてみせるんだから♪
それにしても・・・
ニコルが全員の目の前で言っちゃうとは思わなかったなぁ・・・。
間違いなくディアッカにからかわれるじゃない・・・。
それだけは勘弁なんだけど・・・ね。
【あとがき】
ようやく「Four Hearts」シリーズ完結です。
遅くなっちゃいました〜。
ニコル編、やっぱり強制終了の状態に・・・(汗)
キャラ絡めるのに苦労させていただきました・・・。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
2005.1.5 梨惟菜