何アレ!?何なの!?
私は今、無性に腹が立っていた。
周辺にワレモノが無いのをいい事に、とにかくひたすらクッションを壁に投げ付ける。
「!!いい加減にしてくれっ!!」
そう言って私の部屋へ飛び込んで来たのは隣室のアスランだった。
「だってムカつくんだもん!!」
「だからって壁に物投げ付けられたら俺が休めないだろ!?
文句があるならちゃんとディアッカに言ってくれよ!!」
Lavender
ディアッカと私は恋人同士・・・のはずだ。
少なくとも、私はそう思ってる。
いや、実際に告白してOKもらって・・・ってちゃんとした過程もあって・・・。
でも、事態は急速に変化していた。
ザフトの軍人として前線で戦うディアッカと、
プラントの軍本部でオペレーターとして働く私。
戦争が始まってからは本当に会う時間が少なくて・・・
それでも、2人で合わせて休暇を取って過ごしたり・・・
本当にラブラブで幸せだったのよ!?
そんな私の元へある日届いた連絡。
『ディアッカ・エルスマンがMIAと認定された。』
ディアッカが・・・MIA・・・?
行方どころか、生死すら判明していない・・・。
戦場に出ると聞いた時から覚悟は出来てた・・・。
でも・・・
泣いても泣いても涙は枯れなくて・・・。
いっそ、後を追って死んでしまおうかとも思った。
でも、生きてるかもしれない・・・。
わずかな可能性を信じて・・・。
私はディアッカの居ない日々を懸命に生きる事しか出来なかった。
愛する人の無事を祈りながら・・・。
その間にもプラントでは色々あって・・・。
オペレーション・スピットブレイクの失敗・・・
ラクス・クラインの反逆行為・・・。
彼女と親しかった私はどうしても信じられなくて・・・。
その後、ラクスと再会した私は、彼女の戦争に対する思いに同調して、
クライン派として軍を抜けた。
更に驚いたのは、エターナルでアスラン・ザラと再会した事。
そのアスランから、
『ディアッカは生きてる。アークエンジェルで元気にしてた。』
そう言われた時・・・
あまりの嬉しさに皆の前で声を上げて泣いてしまった事を覚えてる。
なのに!!
アークエンジェルと合流して、感動の再会!!って時に・・・
何なのよ!!アイツはっ!!
『よっ、心配かけたな・・・。』
その一言だけ!?
頭を軽くポンッって叩いただけ!?
強く抱き締めて、
『会いたかった』
とか、そういうセリフは無いワケ!?
・・・信じられない・・・
マジで首絞めてやろうかと思った・・・。
しかも、それだけじゃない。
アイツ・・・アークエンジェルの捕虜になってる間に、
CICの子と仲良くなってんの!!
そりゃ・・・同じ艦に乗って戦ってんだからさ、多少は仕方ないと思うよ?
でもムカつく!!
アイツ・・・何も分かってない・・・。
私がどれだけ心配してたか・・・
私がどれだけ泣いたか・・・
私がどれだけ・・・ディアッカを想っているか・・・。
「、おはようございます。」
「おはよう、ラクス。」
最近のラクスはとっても上機嫌だ。
どうも、ストライクのパイロットと良い関係らしくて・・・。
アスランもオーブのお姫様と何気に良いカンジだし?
ホント、羨ましい限りで・・・。
朝食後、ミーティングで私達はアークエンジェルへ向かった。
「おはようございます、キラ。」
嬉しそうに声を掛けるラクスを横目で見ながら、
ディアッカの方へと目をやる・・・。
ディアッカが私の視線に気付き、笑顔で片手を挙げた。
そんなディアッカを軽く睨み付け、私は視線を逸らした。
自分でも可愛くないと思う。
でも、簡単に許してなんかやるもんか・・・。
「お〜い、何怒ってんだよ?」
ミーティング後、ディアッカはごく普通に私に話し掛けて来た。
そんな態度が余計に私を苛立たせた。
「心当たりが無いって言うなら最低ね。
付き合ってられない。」
「お・・・おい・・・。」
人前で遠慮なく声を出す私に焦ったのか、
ディアッカは私の腕を引いてブリッジを後にした。
展望デッキまで私を連れて来たディアッカは、
周囲に人が居ないのを確認し、腕を解放した。
「心当たりって言われてもピンと来ないんだけど?」
「最悪。」
「だから言ってくれよ!!俺が悪いならちゃんと謝るし!!」
違う・・・
誰が悪いとか・・・
そんなんじゃ無い・・・。
「ディアッカは・・・私と会えなくて寂しくなかったの?」
「・・・え?」
私の真剣な眼差しに、ディアッカの体が硬直した。
「私は寂しかったよ?苦しくて悲しくて・・・
ディアッカが生きてるかどうかも分からなかったし、
私、死んじゃおうかとも思った。」
「・・・」
「ディアッカは・・・違ったんだね・・・。」
アークエンジェルで戦う事を決めて、
軍やプラントや私は捨てちゃった?
それが・・・ディアッカの選んだ道なの?
「行くね。仕事、残ってるし・・・。」
とにかく自分の気持ちは伝えた。
ディアッカの気持ちが私に無いなら仕方ない。
すがり付いたって情けないだけだもの。
ディアッカに背を向けたその時だった・・・。
「ディア・・・ッカ?」
ディアッカが私を背後から抱き締めた。
「ごめん・・・。」
「何が・・・『ごめん』・・・なの?」
「、泣いちまうような気がして・・・
だから、明るく振る舞ってた。
いつもと変わらないから安心してた。」
私を抱き締める腕が少し緩み、私は彼の方へ体を向けた。
「会いたかった・・・。」
「・・・その言葉が聞きたかったの・・・。」
抑えていた涙が溢れ、私はディアッカに抱き付いて大声で泣いた。
ディアッカの温もり・・・香り・・・
抱き締める腕の強さ・・・
その全てが懐かしくて・・・愛おしくて・・・
2人しか居ないデッキで、私は泣き続けた。
「私、ちょっと嫉妬もしてたんだけど・・・。」
「何に?」
「CICの女の子。すっごい仲良さそうだった。」
「あぁ、ミリィな。
アイツ、に似てるからさ、つい目が追ってただけ。
でもやっぱ似てねぇわ。」
ディアッカと私の額がコツンと当たる。
「やっぱ、の代わりなんて居る訳ないんだよな・・・。」
【あとがき】
ディアッカのリクを頂きました☆
ディアッカ夢を書くとどうしてもギャグに走りがちなので、
今回は頑張ってシリアス傾向にしてみました・・・。
上手く書けているのか非常に心配です。
タイトルの『Lavender』はそのまま『ラベンダー』と読みます。
花言葉が『あなたを待っています』だったので、このタイトルにしました♪
幻夜 愁 様、この度はリクエストくださって本当にありがとうございました。
ご希望通りに書けているか分かりませんが、
よろしかったら感想一言くださいませ☆
またよろしくお願いしますね♪
2005.1.18 梨惟菜