!艦長が呼んでたわよ!」



ラウンジで紅茶を飲んでいると、ルナマリアが声を掛けてくれた。



「…艦長が?」



「…何かやらかしたワケ?」



あからさまに嫌そうな表情になるにルナマリアは苦笑しながら問う。



「何もしてないと思うんだけどね…。」




重たい腰を上げたは、カップをゴミ箱に向けて投げる。



カップは綺麗な放物線を描いてゴミ箱に収まった。

















かたおもい











「何か御用でしょうか?」




さも迷惑そうな顔で艦長室に入ると、艦長は眉間に皺を寄せながらも笑顔を作る。




「そんなに嫌そうな顔をしないで頂戴。」


「どうせ…仕事のお話じゃないんでしょう?」


「察しが良いわね。」


「もう慣れましたから…。」







「議長から催促の通信が入ったのよ。まだ話はまとまらないのか…って。」



「またそのお話ですか?お断りします…と何度言ったら分かってくださいます?」



「レイなら申し分無い相手でしょう?議長も期待を掛けているのだし。」



「だから、好きな人が居るんです。レイとの婚約の話は無かった事にして下さい。」



















「ルナマリア、を見なかったか?」



さっきラウンジに行ったってヨウランから聞いたんだが…



ラウンジを覗いたアスランは、一番に視界に入ったルナマリアに声を掛ける。



「あら…なら艦長に呼ばれて出て行きましたよ。」



「艦長に…?」



「えぇ。何か用でも?」


「いや…そうじゃないんだが…」




また艦長からの呼び出し…?



「なぁ…艦長は何故を頻繁に呼び出すんだ?」




確かにはミネルバの数少ない貴重なMSパイロットで、赤服でもあるが…


特に目立って優秀なワケでもなければ、責任ある立場でも無い。



だが、艦長が彼女を呼び出す事は日常茶飯事で…。



一体何の用事があって彼女を呼び出しているのか…。











「どうせ婚約者の話だと思いますよ?」


「…婚約者?」


「えぇ。、レイとの婚約話が勧められてるみたいなんですよね。
本人は拒否してるみたいなんだけど、なかなか取り合ってもらえないらしくて…。」



レイと婚約?



「それが艦長と何の関係が…?」



「そっか。アスランさんは知らないんですよね。、艦長の姪に当たるんですよ。
の母親が艦長の姉で…。
艦長は議長に色々と高い評価を得てるみたいだし…。
議長はレイの後見人みたいな存在だから、その2人を婚約させようって話が出てるみたいなんですよ。」




「何か…話が色々と複雑なんだな…。」



「そうですよねぇ。にとっては迷惑以外の何でもないと思うんですよねぇ。」


「レイの方は?」


「特に異議は無いみたい。元々他人に執着するタイプじゃないみたいだし…。」




「…とレイが婚約…か。」

















面白くない話だな…。


とはアカデミーが同じだった同期ではあるが、それ程親しくも無く…。


卒業後の配属先も違ったから先の大戦では顔を合わせる事も無かった。



まさか、戦後の…しかも新型艦で再会するとは思ってもみなかった。


しかも自分が復隊してミネルバに来る事になるとも…。







2年前よりもずっと美人になった…。



やっぱりここでも憧れの存在として輝いてる



ラクスと婚約していた時も、実はずっと密かに想いを寄せていた



今度こそ、自分の想いを伝えようと決意していたのに…。




















「だからぁ、いい加減諦めてって言ってるの!!」


何を言っても取り合ってくれない艦長に痺れを切らせたは思わず言葉を荒げる。





「何度言ったら分かるの!?私が好きなのはアスランなの!2年前からずっとよ!?」



「つまり、2年想っても叶ってない…という事でしょう?
なら、望みの無い恋愛なんて止めなさい。」



「だからって勝手に婚約者決められて納得出来るワケがないでしょう!?
とにかく、何度言われたって婚約なんかしないんだから!
ママに言ったって無駄だからねっ!!」



!待ちなさい!!」





艦長の制止も聞かず、は艦長室を飛び出した。


















全く…冗談じゃないわよ。


ただでさえ、こっちは2年越しの片想いに頭を抱えてるって言うのに…。


これ以上悩みの種を増やさないで欲しいんですけど…。






立場上、艦長が議長の提案を断りにくいっていうのも分かるんだけどね…。

だからってそんな無理な話を強要されても応えるワケにいかないし…。






「あ〜憂鬱…。」


「何が憂鬱なんだ?」



「わ!アスラン!?」




誰も居なかったから呟いた独り言に返事が返って来たら誰だってビックリすると思う。


振り返るとそこにはアスランが居た。



「アスランも休憩?」


「あぁ。さっきからを探してたんだけど…。」



「あぁ…ごめん。ちょっと艦長に呼ばれてて…。」


「知ってる。ルナマリアに聞いた。」




「…ルナ…何か言ってた?」


「あぁ…レイと婚約するとかしないとか…って。」




はぁ…




「嫌だって言ってるのに人の話聞かないんだもん。諦めてくれる方法、ないかな?」



「いっそ、誰かに恋人のフリでもして貰ったらどうだ?」



「…誰かって…?」



「…例えば…俺とか…。」


「…へ!?」





何を言い出すのよ…この人は!



そりゃ、私はアスランが好きだから…嬉しい事この上ないけど…。


冗談にしては笑えないんだけど…。



この場合、どう対処したらいいものなのか…。





「まぁ…俺としてはフリじゃなくて本当に付き合いたいんだけどな。」


「…本気で言ってるの?」


「俺が冗談言うタイプに見える?」


「…見えない…。」


「じゃあ、本気にして貰わないと困るな。」



「…っ///」










反則的な笑顔とに加えて、不意打ちのキスが頬に落とされる。


唇の触れた頬を押さえ、真っ赤になったは慌てて身を引いた。



「…で?の返事は?」


「う…Yes…」



「そのYesはどっち?フリ?本気?」



「ほ…本気…。」











緊張と混乱で下が上手く回らなくて…。


ようやく一言発したその時、アスランがをギュッと抱き締める。




「良かった。」


「え…?」


「2年越しの片想い、やっと実った。」


「嘘!?私と一緒!?」


「…も!?」



「アカデミーの時からずっとアスランが好きだった。」


「俺達…両想いなのに擦れ違ってたんだな。」


「何かバカみたいだね…。」












「でも…これからが大変なのよ?」


「…何が?」



「相手は議長と艦長なんだから…。そう思うと頭が痛いわ。」



「望むところさ。」




を他の男に取られる事に比べたらどうって事は無いさ。



一度捕まえたものを簡単に手放すほどバカじゃないなからな…。



大変なのはの方だと思うよ?


















【あとがき】

何が何だか…。

話が色々と膨らみ過ぎてる気が…。

色々とネタの浮かぶ方が羨ましいです…。

リクの内容としては、アスラン夢でDESTINYのMSパイロット設定という事で…。

一応赤服にもしてみましたが、あんまり関係無かったですね…。


リク下さった神名零様、初めましてですね。

リクありがとうございました。

ご期待に添えられた内容か…非常に微妙だと思いますが、

何かご意見ありましたら気軽におっしゃってくださいね♪

またのご訪問をお待ちしております♪




2005.5.1 梨惟菜





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