俺は馬鹿だ・・・。


今頃気付いたってもう遅い・・・。




でも・・・





出来る事なら、あの頃に戻ってやり直したい。



お前と出逢ったあの日からやり直したい・・・。












「オハヨ。」




いつもと変わらない、明るく元気な声。



決して俺に対して放たれた言葉では無いけれど・・・。








は俺達ザフトレッドのアイドル。


可愛くて明るくて優しい女で・・・



でも、決して飾らない、イイ女。




そんなが一時でも俺の女だった・・・。




そんな事、誰が信じてくれるだろうか・・・。












「なぁ、俺と付き合わねぇ?」





初めて2人きりになった時、俺は冗談のつもりで言ってみた。



どうせ俺なんて相手にされる筈ないし・・・。




「いいよ。」



「・・・マジ!?」




だから、まさかそんな返事が返って来るなんて思ってなかった。



お堅いイメージもあったしな・・・。






「冗談だったの・・・?」



「いや、マジだぜ?」




咄嗟に出た嘘。



その日から、は『俺の女』になった。












俺は本気じゃなかったし、もそう思ってる。



だから俺は、同時進行で何人もの女の子と遊んでた。



本命は

他の子は遊び。



バレないように・・・


まるでスリルを楽しむかの様だった・・・。





他の女に触れた手でに触れたし


他の女と重ねた唇でにキスもした。




が気付かないのをいい事に、俺は何人もの女を抱いた。




と同じ様に・・・。















狂った歯車が壊れるのは簡単だった。







あの日は朝から雨だった。


雨は好きじゃない。




ジメジメした空、空気、薄暗い部屋・・・。




前の晩から降り続く雨で機嫌を損ねていた俺は初めて以外の女を部屋に泊めた。



長居させる訳にはいかないから、玄関先まで見送ってキスしてやった。




大抵の女はそれで機嫌良く帰る・・・。




唇を離したその瞬間、俺の視界にが映って・・・










歯車が狂い始めた・・・













!待てよ!!」






気に入っていた水玉模様の傘を投げ出し、雨の中を全力で走る



仮にも軍人だから足は速い。




でも、必死に追い掛けて・・・



追い付いて手首を掴んだ時には既にびしょ濡れだった。






「あの子は違うんだ!本気なのはだけだから!!」



肩を掴んで俺の方を向ける。




冷たい雨に頬を打たれて、の頬は赤く腫れ上がる。


顔を伝う雫は雨か涙か・・・


それすら分からなかった。





「どっちでも一緒だよ。本気でも遊びでも・・・。」




怒ることすらしてくれないに、肩の力が抜けて愕然とした。





「サヨナラ・・・」









失って初めて気付く、大切なものの大きさ。




確かに始めは冗談のつもりだった・・・。



自分でも気付かない内に、その想いは確かなものへと変わっていった。




今ここで、どれだけ『愛してる』と叫んでも・・・


決しての心には届かない。



それ程に、俺の犯した罪は愚かで大きい・・・。









「ディアッカ、どうした?」




イザークの声に我に返った。



珍しく昔の事なんか思い出ししまった・・・。


ガラじゃないっつの・・・。




「いや、何でもねぇよ。」








自らの腕をアスランの腕に絡めて幸せそうに微笑む




ずっと・・・そうして欲しかったんだよな・・・。



もう、俺の元には戻らない彼女・・・。



2人で過ごした日々が、想い出に変わってゆく。







次に俺が本気で人を愛せるのはいつの事だろう・・・。
















【あとがき】



めっちゃシリアス…(汗)


このフレーズからはどうしてもシリアスな話しか浮かばなくて…。


ディアッカをめっちゃ悪者にしてしまいました。




でもね、最後にはちゃんと本当の愛を見つけて貰って…。


でも結局、初恋は実らなかった…という事で…。




あぁ…次はほのぼの系にしたいと思います♪









2005.3.1 梨惟菜












TOP