「こんにちは、アスラン。お待ちしておりましたわ。」







「ラクス…いい加減、の振りをして出迎えるのは止めて下さい。」





婚約者のの元を訪ねると、時々こうして出迎えてくれる双子の妹。



俺がと間違えるのを期待しているのか…


の洋服を着て…の口調を真似て…





「アスランは何度やっても間違えませんのね…。つまりませんわ。」



「何度なさっても間違えませんよ。ですから止めて下さい。」



「だって…楽しいんですもの。」



「楽しいって…。」



「わたくしだって…少しは未来のお義兄様とお話がしたいだけなのですわ。」




「お義兄…っ///」





















陽だまりの中で





















「ラクス!またアスランを困らせているの!?」




玄関の方で話し声が聞こえて行ってみると、玄関先にはアスランとラクスの姿。



どうやらまた…ラクスがアスランを困らせてるみたい。







「アスラン?顔が赤いけど…調子でも悪いのですか?」



「あ…いや、何でも無いんだ。」




『お義兄様』




まぁ…仮にもの婚約者で、いずれは夫となる身…。


つまり、双子の妹であるラクスは義理の妹になる。



改めて言われると…恥ずかしい。




















、今度の休日は何か予定がある?」



サンルームへと場所を移した2人は暖かい陽射しを浴びながらティータイムを楽しむ。



「今度のお休み…ですか?いえ、特に予定はありませんけど…。」



「だったら…外へ出掛けないか?」


「えっ…?」







婚約者として会うようになって1ヶ月…。


こうして1日おきに会いに来てくれて、少しずつお互いの事を知り始めて…。



そう言えば…こうして会うのはクライン邸の中だけの事…。







「たまには外でデートしよう。」





















「デートって何着ていけばいいのかしら…」




その日の夜…



クローゼットの前で悩むと、その光景を嬉しそうに見守るラクスの姿があった。




「あら。は何を着ても似合いますわよ?いつも通りのでいいのですわ。」



「そう…かなぁ…。」




「お2人でどちらへ行かれますの?」



「湖へ行くの。私がお弁当を作るのよ♪」



「まぁ、ピクニックみたいで素敵ですわね。」


























「で…ラクス、何で僕なの?」



「あら。いいじゃありませんか。キラも気になるでしょう?」




助手席でニコニコと微笑むラクスから感じる威圧感。



これ以上の反論は危険だと判断したキラは黙ってハンドルを握る。






そう…



2人はとアスランの初デートの尾行をしていた。





















「空気が気持ち良いわね。」



「そうだな。」





湖のほとりに車を停め、2人は水際に腰を降ろした。



太陽の光が反射する水面に2人の姿が揺れる。





「…アスラン、見て!」



「ん?」



「あそこ、ボートがあるの。」




が指を指した先には1艘のボートがゆらゆらと揺れる。





「乗ってみる?」



「はい♪」


















「うわぁ…透き通ってて綺麗…。」





湖底まで見えてしまう程に透明度の高い湖にウットリするを見てアスランも微笑む。



ボートを漕ぐという行為もの笑顔を見れば苦にはならない。



こうして外で過ごしていても…といると時間の流れは穏やかに感じる。



過ごす相手によって時間の早さが違うように感じるのも…相手に対して抱く感情が違うからだろうか。






それでももっと一緒に居たいと…一緒に同じ時間を過ごしたいと思う。


一日がもっと長かったら良かったのに…。

















「ねぇ…ラクス…」



「はい?」



「僕達はいつまでこうしてたらいいの?」



「2人が帰るまで…ですわ。」





















「ご馳走様。凄く美味しかった。」



「そう言ってもらえて嬉しいです。」




誰かに手料理を披露する機会もなくて…


家族以外の人が自分の作った料理を食べてくれるなんて…。



恥ずかしいけれど、何だか心が温かくなる気分…。






「何だか…お腹も一杯になって眠くなりそうだな…。」




陽射しも心地良く照らしてくれて…。



芝生の上で転がったら気持ち良いだろうな…。




「あら。では、少しお昼寝でもしませんか?」



「え?」



そう言うと、は何故か正座をした。




「…?」



「私の膝で良ければ…どうぞ。」



ポンポンと自分の膝を叩くは屈託の無い笑顔を見せる。




「いや…でも…///」




相変わらずの天然っぷり…。



膝枕…


に見詰められて…果たして眠れるのだろうか。





「じゃ…じゃあ…お言葉に甘えて…」



















暫くすると、アスランからはすぅ…っと寝息が聞こえ始めた。



寝ちゃった…。



あどけない寝顔が普段のアスランとは全く違っていて…。


なんだか可愛い。



そっと濃紺の髪に触れると、フワリとした柔らかい感触。




あぁ…好きだなぁ…って



そう実感するには十分なその寝顔…。




















「ねぇ…ラクス…」



「はい?」



「僕、お腹空いたんだけど…。」



「あら、わたくしはまだ平気ですわ。」











ぐっすりと眠ってしまったアスランが再び目覚めるのは1時間後のお話。




















【あとがき】

『Twins』続編という形で書かせて頂きました。

天然ヒロインってあんまり書かないので難しいかなぁ…と思いましたが。

書いてて楽しいですね。

アスランとキラはラクスに遊ばれてます。

黒いラクスは大好きです。

キラとラクスの関係?

聞かないで下さい。

考えてませんでしたから(オイ)

まぁ、いいように使われてる…ってカンジでしょうか?


こちらのリクエストをしてくださったのは引き続き沙迦羅様でした。

いつもメールをありがとうございます♪









2005.7.23 梨惟菜














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