「なぁ……。」


「ん〜?なぁに…?」




人が声を掛けてるのに…。


目の前に居る俺の彼女は他の事に熱中していてこっちを見てくれない。




「なぁ…ってば…!」


「だからなぁにって言ってるじゃない…。どうしたの?」



それでもこっちを見ないにちょっとムカッと来たアスランは、の指の先にある球体を取り上げた。




「あっ!何するのよぉ!!」




「俺と居る時にハロで遊ぶな!!」





















ハロちゃんと一緒



























「何でそんなに怒ってるの?ハロをくれたのはアスランでしょう?」


私からハロを取り上げたアスランは、私の手にそれが渡らないようにしっかりと手の中に収めた。



「これは俺が居ない時に寂しくないように…って思って作った物なんだよ。
 だから、俺と2人で居る時には必要無い。」




『ハロ!ハロ!〜♪』


「だって…放っておいたら可哀相じゃない…。だから返して。」



「嫌だ…。」





可哀相も何も…


俺はこんなプログラミングをした覚えは全く無い。




ちょっとした言語能力と、会話力をインプットさせただけなのに…。





『ハロ!〜アソボ〜』


「ホラ…あたしの事呼んでるんだから返してってば…。」




俺よりもペットロボが良いって事か…?


はハロを取り返そうと一生懸命に手を伸ばす。


その仕草が可愛いから、ちょっと苛めてやろうと思った。





「ホラ…もっと頑張らないと届かないよ?」



俺もハロを持った手を目一杯伸ばす。


そうすると、やはり男女では手の長さにも差が生じて…。


が必死に伸ばしても当然届かないのだ。





「アスランが伸ばしたらあたしが届かないっ!!」



「ホラホラ…あとちょっと…」



「もう…その手、伸ばすのやめてよっ!!」




俺がからかって更に体を伸ばすと、もムキになって追い掛けてくる。





「あとちょっと…なのに………わぁっ!!」






ドサッ…










「アスラン〜!!放してってば!!」



「…押し倒して来たのはだろ?」





勢い余って、はアスランを押し倒してしまった。


幸いにもベッドの上だったから衝撃は無い。



勿論それは、アスランの確信犯。



右手は頭の上に伸ばしたままハロを持ち、左手でしっかりと倒れて来たの腰を捉える。







ジタバタと脱出を試みるが、身動きすらロクに取れない。


ただハロを取り返したかっただけなのに、何でこんな体勢になっているのだろうか…。



けれど、こうなってしまったら最後…。


アスランの力には到底敵わないから、アスランが解放してくれるまでは大人しくするしかない。




こうなったら…




?」


珍しく大人しくなったに首を傾げた。


からかうとムキになって反発してくるから面白いのに…。



大人しいなんて変だ…。






「アスラン…。」



「え…?」


アスランの胸に顔を埋める形になっていたは一生懸命に顔を上げ、アスランの顔を見る。



見上げて来るその表情がいつも以上に可愛く感じる。




「…どうした?」


「…チューしたい…。」



「はぁ…?」


突拍子も無い申し出にただ唖然とする。


からこんな事を言い出すなんて滅多に無い。


…と言うか、初めてじゃないのか…?




「…ダメ…?」



「いや…」



ダメな筈が無い。

むしろ大歓迎だ!


…何て言える筈も無く…



取りあえず、腰を抱いていた左手を少し緩めた。


そうすると、がよじ登って来て俺を見つめる。



やっぱり可愛いな…は…。




そう思っていたら、の唇が俺の唇に触れた。




反射的に目を閉じる。


いつもは自分からするキス…。

だからからしてくれるのが嬉しい。







「…っ!!」


「えへへっ。スキあり〜♪」



しまった…油断した…



キスされたのと同時に緩んでしまった右手…。


それを見逃さなかったは素早くハロを奪い返した。




その為の作戦だったのか…。





はスルリと俺の腕から抜け出すと、ベッドの端に腰掛けた。




「アスランも意外と弱いのねぇ♪」



そう言いながら手の上でハロを転がすはとても楽しそうだ。








そりゃあ…誰だってあんな可愛い顔で迫られたら余裕なんて無くすだろ…。






「もしかして…ハロに妬いてたりする…?」



「な…っ…バカにするなっ///」


図星…v


アスランの顔が珍しく真っ赤になった。





自分が作ってプレゼントしたペットロボに嫉妬してるなんて言えるか…。



それでもアスランの顔は正直に答える。



もっと自分に構って欲しいんだ…って…。




それが嬉しくなったも頬を赤く染め、ハロをベッドの上に転がした。













『ハロ!ハロ!』



「…?」



、アスランスキー』


「…っ///」


『アスラン、アイシテル』




勿論、プレゼントする前に覚えさせた言葉では無く…


が後から覚えさせた言葉。










「…アスランが任務で艦を離れてる時に…ね///」


照れ隠しに側にあった枕に顔を埋めるもまた可愛くて…。



アスランはハロをベッドの下にコトンと置いた。








、顔上げて?」


「ヤダ…あたし今真っ赤なんだもん。」



「だから見たいのに…。」




いつもよりも甘い声で囁いて来る…。


その声に誘われて思わず顔を上げてしまった。











「さっきの…本当?」


「…?」


「『愛してる』…ってヤツ。」


「…嘘言ったってしょうがないでしょ…。」



「そりゃそうだ…。」





まだ火照るの右頬に手を添え、左頬にキスを落とす。


まだ熱の残る頬…。




「俺も、愛してるよ?」








『ハロ!アスラン、スキー』



















【あとがき】

ハロに嫉妬…。

よく考えたら、ハロ持ってるヒロインって初めて書きました。

どうも私の中で、ハロ=ラクスの物というイメージが強かったので。

最近はアスラン得意の電子工作も目立ってないですね。

基本的に運命ってシリアスだし…。

何だかアスランの可愛らしい一面が見たくなって来た今日この頃…。


水城綾様、いつもお世話になっております♪

今回は楽しいリクをありがとうございました〜♪

こんなカンジで良かったでしょうか?

またいつでも遊びにいらしてくださいね♪

私も通っちゃいますよ〜♪






2005.5.27 梨惟菜








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