「来週の日曜、の誕生日だったよな?」
「え…?うん。そうだね。」
「その日、休み貰ったから2人でお祝いしよう。」
「ホント!?」
ベッドでコロコロと転がっていたはガバッと起き上がって体勢を整えた。
「あぁ。だから何したいか考えておいて。」
Fou You
「いらっしゃい♪アスラン。」
チャイムを鳴らして暫くすると、ドアの奥からが顔を出した。
「ハッピーバースデー、。」
腕から溢れそうに抱えたバラの花束がに差し出される。
「誕生日は明日よ?」
クスクスと笑いながらも、は嬉しそうにその花束を受け取る。
「じゃ、早速始めるか。」
「楽しみにしてます♪」
は満面の笑みを浮かべてキッチンを見つめる。
視線の先にはキッチンに立つアスラン。
が誕生日にして欲しい事…
『アスランの手料理が食べたい』
アスランって器用そうだから…料理もきっと美味しいに決まってる。
その証拠に、キッチンからは美味しい香りが漂って来る。
テーブルの上には貰ったバラの花が生けられた花瓶。
自分の家で恋人が料理を作ってくれてるなんて…新鮮なカンジ。
「うん!美味しい♪」
「簡単な物でゴメンな?本当は料理ってあんまり作った事無くて…。」
「十分だよ。アスランの料理が食べれて嬉しい♪」
「でも…どうして今日なんだ?」
誕生日は明日なのに、が指定したのは前日の夕食。
「あのね…今日、泊まっていかない?」
「えっ…!?」
の突然かつ大胆な発言にアスランは持っていたスプーンをカシャンと落とした。
泊まる…って…
つまり…そういう意味…なのか?
「や…深い意味はないのよ!?」
明らかに動揺の色を見せるアスランに気付いたは慌てて言葉を付け足す。
「だって…日付が変わった瞬間に『おめでとう』って言って貰いたくて…。」
「あ…あぁ…それで前日の晩だったのか…。」
「うん///」
「アスラン、タオルここに置くね。」
「…あぁ。」
ガラス越しに聞こえるの声…。
この浴室に置かれている物は勿論、の物ばかりで…。
いつもを包んでいるシャンプーやソープの香りが一杯に漂う。
その香りを嗅ぐだけで頭がクラクラしそうだった…。
「アスラン、何か飲む?」
アスランの後にシャワーを浴びたの髪から雫が滴る。
昇華し切っていない湯気がアスランの心音の速度を速めた。
「いや…大丈夫。」
「そう?」
は冷蔵庫からミネラルウォーターを出すと、一口含んだ。
熱を帯びた全身をゆっくりと冷やすように喉を通過する。
時計は23時半を指していた。
もうすぐアスランと同じ…18歳になる。
その瞬間をアスランと2人きりで迎えられるのが嬉しくて…。
はアスランが腰掛けていたベッドの隣に並んだ。
ヤバイ…
の香りが…理性を支配しそうで…
「…」
「え…っ…」
ドサッ…
アスランがを押し倒した重みでベッドが深く沈んだ。
「アス…」
戸惑うに、そっとアスランがの唇を塞ぐ。
やっぱり好きな子と同じ部屋で2人きりなんて耐えられる筈も無く…。
「アスラン!ま…待ってってば!!」
は慌ててアスランを制止する。
あまりの至近距離に頭がおかしくなっちゃいそう…。
「無理…もう待てない。」
「だって時間!!もうすぐ日付変わっちゃう!!」
「あ…」
ようやく我に返ったアスランの胸を思い切り押すと、アスランがゆっくりと腰を抱き寄せた。
そのまま体を起こすとベッドに座らせてくれる。
「ゴメン…つい…。」
「ううん。大丈夫。」
こんな風に強引なアスランも珍しいから…。
ビックリしたけど嫌じゃなかった…。
好きな人なんだから当たり前なんだけど…。
その時…時計の針が0時を指す…
「、誕生日おめでとう。」
不意にを腕の中に抱き締めたアスランが耳元で囁く。
「…ありがとう。アスラン。こうやって一緒に過ごせて嬉しい。」
「俺もだ…。」
アスランが額に…頬に…
そして、唇にキスを落とす。
「来年もこうして一緒にお祝いしよう…な。」
「うん…。」
アスランは優しくを抱き締め、2人は再びシーツの波に沈んで行った…。
【あとがき】
ヒロインのお誕生日&お部屋訪問です。
甘甘?
ちゃんと甘く仕上がってますか??
本当はヒロインの手料理…の予定でしたが、逆にしちゃいました♪
アスランの料理姿も魅力だし、何よりヒロインの誕生日だからアスランに頑張ってもらいました♪
アスラン、料理も上手そうですよね♪
夏美様、いかがでしたでしょうか?
いつもありがとうございます♪
またいらしてくださいね〜♪
2005.4.30 梨惟菜