「え〜!?何で行っちゃ駄目なの??」




「どうしても!」



「だから理由を教えてよ!じゃないと納得出来ない〜〜!!」










頬を膨らませ…可愛い彼女は彼に迫る。




普段ならあまりの可愛さにクラッと理性も飛びそうなシチュエーションなのだが…



流石に今日のアスランにそんな余裕は無いらしい。












「ねぇ!私を学園祭に呼べない理由は何!?」
















…言える筈が無い…




言ったら激怒するに決まってる。




…ってか、怒ってくれないと立場が無い気もするし…





それを考えたら言っておくべきか…?






頭を巡らせる思惑はあくまでも自分の願望…むしろ…欲望??






彼女と違う学校で良かったと…改めてアスランは感じるのだった。






















Festival






















「来るなって言われて素直に聞く私だと思ってるのかしら…。」







一応、変装と思われる格好を施したは校門から中の様子を伺う。






今日は恋人のアスランが通う学校の学園祭。






この学園祭は2人が出逢った大事な想い出の日だから、絶対に一緒に過ごしたいのに…。






アスランからは「絶対に来るな」の一言。






理由だって教えてくれないし…。



余計に気になるじゃない。








一応、了承したって事で引き下がったけど…




そんなの嘘に決まってるじゃん…。







勝手に捜索させて貰うんだから!





















「アレ?じゃん?」






とりあえずアスランのクラスに向かおうと廊下を歩いていたその時…





「…ディアッカ??」





私に声を掛けたのは、アスランの友人のディアッカ。







彼の格好は…ウエイター??






「何してんの?そんな格好で…。」







普段は下ろしている腰まで伸びた髪は1つに束ねられ…



決して悪くはない視力にも関わらず、顔には眼鏡…。





でも目立っているのはが一目置かれる容姿だから。












「…アスランに来るなって言われちゃって…。」





「…あぁ…」






ディアッカにも心当たりがあるのか…罰が悪そうに視線を逸らす。







「ねぇ…アスランのクラスは何やるの??」





「いや…俺、違うクラスだし…」





怪しい…



明らかに知ってる顔なのに何で誤魔化すかなぁ…









「ねぇ!教えてよ!!」


























「ありがとうございました。」





「楽しかったぁ。本当にありがとう♪」








笑顔で去って行くお客を笑顔で見送る。




こんな事を職業としている人の気が知れないな…。




そう思いながら、アスランは襟を軽く緩めた。










「アスラン!次のお客さんが来るから準備して!!」





「あぁ…分かってる!」





いくらクラスの方針とは言え…


こんな姿を彼女に見せる訳には行かない…。





そう思いながら、アスランは部屋へと戻る。



















「いらっしゃいま…」





部屋で待つ次の客に挨拶をしようとしたその時…





「…!?」





ソファに腰掛けて待つのは恋人の…。








「へぇ…随分と板に付いてるね、その姿♪」







笑顔だけど…笑顔じゃないその顔に全身が凍り付く。







「ホストクラブかぁ…考えたねぇ。アスランにピッタリ♪」







怒って…無い…?







「なんて言うと思ったら大間違いよ!!」





…な訳ないか…







凄い剣幕では身を乗り出した。







「ホスト!?そんな格好で他の女の子の前でサービスしちゃう訳!?」






信じられない!



よりにもよってホスト!!




こんなにカッコいいアスランがホスト!?




似合い過ぎなのよ!







悔しいけど…カッコいい…




だから許せない…そんな格好で他の女の子に愛想笑いしてるなんて…。




仕事だとしても嫌…













「ごめん…その…クラスで決まった事だから…」





「だったら尚更、言ってくれないと困るのよ。」




「え?」







目を潤ませたは乗り出していた身を正し、立ち上がった。








「このクラスの責任者は誰?」





「は…?」








は教室の隅に設けられたスタッフルームへと入る。







「アスランを今日一日、貸切にしたいんだけど…いくら出せばいい?」





「はぁ!?」





の突拍子もない発言…。




貸し切るって…本気で…?






















結局、は有無を言わせずアスランを貸し切る事に成功。






「…早く言ってくれればアスランを朝から貸し切れたのに…。」





用意されていた衣装から私服に着替えたアスランに腕を絡め、は文句を零す。






「貸し切るって…何考えてるんだ…」




まさか…こんな行動に出るとは予想もしていなかった。





「だって…自分の恋人が他の女の子と一緒に居るなんて耐えられない。」





本当には…可愛い事ばっかり…







「それは嬉しいけど…」




「何…?」




「いや…何でもない。」







流石は良家のお嬢様…って言おうと思ったけど…









「さ、俺は今日一日、嬢の専属ホストです。何なりとご注文を。」





の目の前に回ったアスランは、笑顔でその手を差し出す。






そんな仕草も様になってて…



この人…本当にホストの才能あるかも知れない…。




そう思うと何だか怖かったり…。















「じゃあ…」




差し出された手を取り、そっと耳打ち。







『私以外の女の子、見ちゃダメだからね。』






小さく囁いた後には…案の定、赤面する自分。










「それは注文じゃないな…。」




「え?」




「俺は最初から以外の女の子なんて見て無いから。」







握った手を持ち上げ…手の甲にキスを落とすと、更に頬が熱くなる。








「…せっかくの学園祭だから…全部見て回りたい。」




「仰せのままに…。」





















【あとがき】

学園祭ネタ…。

いやぁ…色々と妄想は膨らみつつも話纏まらず…

書いては消し…書いては消し…の繰り返し。

結局、アスランのホスト落ち…。

いやぁ…マジで似合いそうなので…ね。

それを貸切にしちゃうヒロイン…恐るべし…です。

一体いくら出したかって…?

それは読者様のご想像にお任せしましょう(笑)


林檎野愛様、この度はリク、ありがとうございます♪

学園祭の季節ですね〜。

学生時代が懐かしくなりましたよ♪

こんな感じでいかがでしたでしょうか?

これでちょっと…いや、かなりカッコいいアスランを想像していただければ幸いなのですが…。

また感想頂ければ嬉しいです♪







2005.10.1 梨惟菜










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