「うわっ!!見た!?今跳ねたっ♪」


目の前で嬉しそうにはしゃぐを見て思わず顔が綻んだ。


久し振りのデートにもご機嫌の様子。


軍人であるアスランがプラントに戻って来る事は珍しく、も寂しい日々を送っていた。



だからアスランは休暇で戻ると、と過ごす時間を最優先にしている。



一緒に居る間くらいは笑顔で居て欲しいから…。





















デート日和






















「こういう時って便利よね。プラントの天気って。」



テーブルを挟んで座るが窓の外を見ながら呟いた。


今日の天気は終日快晴。


絶好のデート日和だった。





「だったら遊園地の方が良かったかな…?」



「ううん!今日は水族館の気分だったの。」


アスランの一言には笑顔で返す。


今日のデートは水族館。


珍しい白イルカが期間限定で来ているという情報を聞いてとここへ来る約束をしていた。





流石に限定と聞くと皆考える事は同じで…


天気が良いにも関わらず、室内は人で溢れ返っていた。





はとにかく『珍しい』と『可愛い』が大好きで…。


今日のデートは最適だったと思う。


現に、白イルカを見てはしゃいでいた姿は可愛くて…。

お陰で俺の気分も上々だ。






「食事終わったらどうする?」


館内は広いから、回り切るにも時間が掛かる。


まだ3分の1といった所だろう。


まだオープンして間も無い水族館だからここへ来るのは共に初めて。




「そうだなぁ…あ、北極エリア行きたいな♪」


案内図を広げてが指を指す。



「お目当てはペンギン?」


「あ、分かった?」




当然。


の考える事はお見通しさ。





「クリオネも気になるんだけどな…でもペンギンが見たいな。」




「まだまだ時間はあるんだし…全部回れるよ。クリオネは後にして先にペンギンに行こうか。」



「うん。」














やっぱり女の子だな…。


普段は大人しくて穏やかな雰囲気のだけど、今日は子供に帰ったみたいにはしゃいで…。


こんな彼女も新鮮で可愛いな…。




付き合って結構経つけれど…


軍人でプラントを離れている事が多いからなかなか共に過ごす時間が無くて…。


一緒に出掛ける度に新しい発見がある。


それがとても嬉しいという気持ちを言葉にせず、アスランはただ嬉しそうに微笑む。





今にも走り出しかねないの手をそっと握りながら、ゆっくり歩こうと促す。


まだ時間はたっぷりあるんだから…。
















「う〜ん…。」


ほぼ全てのエリアを回り切った2人は最後にショップに立ち寄った。


が友達にお土産を買いたいと言うから…。


目の前に揺れるのは2種類のキーホルダー。



片方はイルカ、もう片方はペンギン。




「どっちがラクスに似合うかなぁ?」



ラクスへのお土産だったのか…。


目の前で真剣に苦悩するには悪いと思いながらも、その可愛らしい表情に笑みが零れた。









そうだ…


、俺ちょっと隣のショップに行って来てもいい?」


「あ、うん。ごめんね、悩んじゃって…。」


「いいよ。ゆっくり考えて。」



そう告げるとは頬をちょっぴり染めて頷いた。


を残して隣のショップへと入って行く。












「う〜ん。」


本当、優柔不断な自分が情けない。


でも、どっちも可愛くて…悩んじゃうよ…。


どっちか同じ物を2個買ってお揃いにしたいなぁ…なんて思うんだけど。


アスランとお揃いの物も買いたいな…。


未だラクスへのプレゼントが決まっていないのに、早くも他の商品に目移りしてしまう。


その時だった。




「ね、彼女、1人?」


「え?」



私…?


声を掛けられ、振り返ると男の子が2人。


「おっ、かっわい〜♪」


「1人…じゃないよね?友達と一緒?」


「え…いえ…その…」


困った…


アスランが居ない時にこんな…


コレって…ナンパ??

こんなの初めて…

どうしよう…




「俺達さ、女友達と4人で来てたんだけどさ…急に帰るとか言い出しちゃって…困ってんだよね。

 暇だったら俺達と一緒に回らない?」


「あ…私、人を待ってるから…」


「それって女の子?だったらその子も一緒でいいからさ…ね?」


「ちょっ…離して下さい…っ…」



見ず知らずの男の子に掴まれた手首…

気分が悪い…



助けて…アスラン…っ…
















「俺の連れに何か用?」


「「!?」」


脅えて身動きが取れなくなっていたを不意に後ろから抱き締めたのはアスラン。



「女の子の体に気安く触れるのはどうかと思うが…?」


ギロリ…と鋭い視線で相手の2人組を睨み付ける。


から死角になっているからか…その表情は激しく恐ろしい。


その背筋も凍ってしまいそうな視線に、2人も硬直してしまった。



「あ…す、すいません!連れが居るなんて知らなかったから…!!」




アスランの黙殺によって、2人は慌ててその場を退散した。
















「全く…少し目を離しただけでコレだ。」


「ご…ごめんなさい…。」



は悪くないさ。」


そう…悪いのはを好奇の目で見る輩。


を特別視してもいいのは俺だけなんだから…。




「キーホルダー…決まったのか?」


「あ…ううん。まだ迷ってて…お揃いで同じのにしたいんだけど…。」


「じゃあ、こうしよう…。」



ペンギンをラクスとお揃いにして、イルカを俺とお揃いにしよう?


そうしたら両方買えるだろ?



そう提案すると、は嬉しそうに微笑んだ。


「じゃあ…買って来るね♪」

















ようやくお土産が決まったのも嬉しいけれど、アスランがお揃いに買おうって言ってくれたのが嬉しかった。


レジでアスランが買ってくれると言ってくれたけど…


コレだけは買わせて欲しいと懇願して、私からのプレゼントになった。



のカバンには早速イルカとペンギンのキーホルダーがシャラシャラと揺れる。


そして、アスランの車のキーにも同じ物が…









「アスランは何を買ったの?」


「ん?」


戻って来たアスランの手には小さい紙袋があって…。


それを大事そうに持っているから気になった。





「コレは、俺からへ。今日の記念に。」


「…私…に?」


「そう。に似合うと思って買ったんだ。」


開けてみて?



アスランに促され、丁寧に袋から中身を取り出す。





「あ…」


出て来たのはイルカのネックレス…。


「気に入ってくれた?」


「…うん。ありがとう!」


思わずアスランに飛び付いたをアスランはそっと抱き止める。




「…俺がプラントに居ない時も忘れない様に…」


「…忘れた事なんて一度も無いよ?」


ううん…一瞬だって無い。


いつも頭の中はアスランで一杯。




今何してるのかな…?


元気かな?


辛い思い、してないかな…?


私の事…考えてくれてるかな…?




常にアスランが私の心を支配してるんだから…。







「次の休暇は遊園地に行こうか…」


「うん。」



アスランと一緒だったらどこだって楽しいけれど…


こうやって少しずつ、お互いの事をもっともっと知っていきたい…。




「じゃあ、その時には私がお弁当作るからね。」


「楽しみにしてるよ。」













少し陽が傾きかけた駐車場までの帰り道…


幸せそうに指を絡める2人の影がどこまでも長く伸びていた…。





















【あとがき】

水族館…好き♪

最寄に水族館が無いのが悲しくて仕方ないです。

今度大阪行った時に海●館行こうかな…。

久し振りに…何だかほのぼのとした夢でした♪


ふうら様、リクありがとうございます♪

八●島、行った事が無くて…(汗)

とりあえず私の中の水族館デートはこんな感じです。

こんなんで宜しかったでしょうか…??


これからも宜しくお願いしますね♪




2005.6.18 梨惟菜







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